NUMERO DEUX NEWS 16047 札幌のアートなニュース。
アートと「個人」そこにあるもの。
「アートとは、何なのか?」という問いには、いろいろな角度で回答は可能だと思う。僕は、その答のひとつとして「個人(パーソナル)な成果物」だと思う。これは、結構大切なことではないか。商業デザインやイラストレーションにも「個人」はあるけど、他の要素の中に隠されている。良い意味で隠れる。なぜなら、そこに個人が前に出る必然がないからだと思う。
しかし、アートには「個人」は絶対的に前に必要である。条件であり、要件である。これは譲れない。なぜなら、アートの中には「個人」しかない。もちろん、個人とは実は個人の中だけで、完結して作られる訳ではない。さまざまな外的要因、社会、環境やコミニュケーションによって作られる。ただ、それらを取捨選択して、作られるのが「個人」なのだ。
小島歌織は、札幌在住のグラフィックデザイナー。同時にアーティストとしても活動している。そのジャンルは、平面からインスタレーションなど幅広い。作風も年を重ねるごとに変化もある。本展示では、平面中心の作品の中に、当然に「個人」であるべきアートを、あらためて「個人」というタイトルで表現を試みている。そこが鋭い視点だと思う。見る側は作品のイメージから「小島歌織」という「個人」と対話して欲しい。そして、自分という「個人」に橋渡しをして欲しいのだ。
展示のほか、会場内には制作現場が作られ特定の日にZINE(アート性のある小冊子)の公開制作もおこなわれる。それ自体はインスタレーションのような作品だと思うし、クリエイティブの現場を生で見られるのは貴重だと思う。ここにも「個人」というテーマがある。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「小島歌織展『個人』」
会期:2016年8月4日(木)~31日(水)11:00~19:00
時間:11:00~19:00(月曜日休廊)※8月10日~15日は休廊
公開制作:8月6日(土)、21日(日)、27日(土)、28日(日)12:00~17:00
会場:クラークギャラリー+SHIFT(南3条東2)