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NEWS No.16044「鈴木悠哉 city language」

2016.07.31

831鈴木悠哉

NUMERO DEUX NEWS 16044 札幌のアートなニュース。

記号と可視化は、
終わりではなく、はじまり。

定義だけではダメなのだ。記号化、可視化だけでは物足りない。それに批評なり、評価があるべきだと思う。つまり、それは送り手、受け手の両方を巻き込んで考えていく問題なのではないか。作り出されたその表現方法について、どう考え、どう行動にするかことである。これはもっといえば、現状に過剰供給される情報に対して、自分たちはどう対応すべきかという問題にもヒントになると思う。なぜなら、記号化や可視化とは、今の情報のひとつの集約「点」だからである。しかし、それは「点」に過ぎないのだ。まだ、歴史というのもが終わっていない以上、僕たちは点を線にしないといけないと思う。

話を戻すと過剰な情報源の代表といえばやはりインターネットだと思う。しかし、その登場の少し前から、放送・紙媒体はバランスの欠いた過剰供給になりつつはあった。そに決定打になったのがネットだった。だから、ネットがすべてが悪い訳ではい。技術の発達の中で、ひとつの到達点だったのだ。

鈴木悠哉 は1983 年福島市生。現在は札幌とドイツを拠点として、国内外での企画展示等の活動を積極的におこなっている。その表現の興味は、視覚的言語としてドローイングの機能に着目している。 今回の出展作品であるドローイングのシリーズ「city language」は、街の中に潜在する記号的 な要素を、ドローイングという行為を通して抽象化、記号化し、イメージという文字形態とは 別の視覚言語の形態に翻訳するというものだという。

鈴木悠哉 の作品は、街の中の「記号」的な要素について、アーティステックな解釈により表現がされている。それには「2つ」の素晴らしさが隠されている。ひとつは、作家の目によるありきたりではないポップで多彩な感覚による表現。もうひとつは「解釈」の大切さと多様さが伝わるところ。この2つは未来を考える大切なヒントであり、この「2つ」はセットであるのが大切で、記号や可視化された点は解釈によって線になる。そして、線は未来をつくると思う。

今回の展示は、都市の人の行き交う駅の中にある空間にある。まさに、都市の記号の中に、記号によってインスパイアされた作品がならぶ。その入れ子のような二重性を受け手は刺激的と捉えてほしい。そして、考えよう。そこに置かれたcity language。

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「鈴木悠哉  city language」
会期:2016/06/01(水) ~ 2016/08/31(水) 08:00~22:00
場所:ARTBOX(JRタワー東コンコース)

 

NEWS

NEWS No.16043「伊賀信展『GEO SPACE』」

2016.07.27

0816伊賀 信
NUMERO DEUX NEWS 16043 札幌のアートなニュース。

良質のアートは、
刺激と心地良さが同居する

アートに自分が一番求めるのは刺激ある、心地よさなのかな、と思う。矛盾するような2つの反応だけど、ただ心地よさ「だけ」だと、自分の中でぬるい感覚で終わってしまう。それはまるで休日の寝坊のように空しい。心地よさに、自分の視点を変えさせるような「刺激」が加わるといい。言い換えれば「刺激のある、心地良さ」とは「新しい視点であり、自分の中に素直に受け入れる」ことだと思うのだ。それが「ある」展示を紹介したいと思う。

僕は伊賀信の作品を見るといつも一瞬、戸惑いがある。幾何学的作風に美術やアートという視点で考えることを、少しためらってしまう。これはアートなのか、デザインなのか、両方なのか、両方違うのか。心で問答する。そして、結論が出る。これはアートだということ。そして、刺激と戸惑いの理由は、伊賀信の持つ良質のオリジナリティだと思うのだ。そう考えると、僕の心情は刺激から心地よさになっていく。これは最初に書いた僕の好きなアートのひとつの見本が、伊賀信の作品にはあることの証明になる。

伊賀信は1961年生・札幌在住。細い木材を主な素材として、綿密に構築した設計図上にパーツを積み上げた幾何学的な作品を制作。作風は平面を超えて、立体的であり、インスタレーションとして空間を作り出している。「幾何学的抽象芸術実験室=G.A.A.L」主宰。

本展示を見て、刺激を感じて欲しい。
そして同時に心地よさも。

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)


伊賀信展『GEO SPACE』
会期:2016年7月21日(木)~8月16日(火) 11:00~19:00 最終日17時迄)
会場:グランビスタギャラリー サッポロ(札幌グランドホテル1階ロビー)

 

NEWS

NEWS No.16042「500m美術館vol.19 いつかきたみち、こどもみち『光陰矢如』」

2016.07.25

1012500石田
NUMERO DEUX NEWS 16042 札幌のアートなニュース。

歩くのは、はじまり。

は生まれて、よちよち「歩く」。シンプルな動作。そこから人生が広がっていく…カフェでの会話もいい。でも時には「歩きながら」話をするももっといい。例えば、打ち合わせの帰り道、お互いの次に向かう方向が別れるまで、企画等の話の続きの話をしていく。相手の横顔、身振り、少しづつ変わっていく風景。足を運ぶことに、話も進んでいく。お互いの人生も流れ、交差する。時には一人で歩で歩く。そこで浮かぶアイディアも、デスクに座った時より良い気ががする。いや、きっといい。つまり「歩く」と良いことがおこる、僕はそう思うのだ。そして、僕達は毎日歩く。

「500m美術館vol.19 いつかきたみち、こどもみち」の出品作品のひとつを紹介しよう。それは「光陰矢如」石田勝也・船戸大輔の2人よるインタラクティブな作品。そのタイトルは「月日が矢のように瞬く間に過ぎ去ってしまうこと」を意味することわざ。壁面に設置されたLEDは、歩行者を探知して光り輝く。作品タイトルとなった普遍性のある言葉をテクノロジーを使って実体化している。その表現を見て、僕たちは気がつき、考える。歩くことについて。これは現代アートの表現として、素晴らしい実験だと思う。なぜか、気がつき、考えさせることによって、「昔」と「今」をつなぐものだから。そして、結果「未来」を考える「思想」となる。

公共空間に配置されたアート。それは足早に歩く今を生きる人に反応していく。それは自分が光らせても、他者が光らせてもいい。歩くことは、未来にむかって進むこと。

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

500m美術館vol.19 いつかきたみち、こどもみち
『光陰矢如』

会期 : 2016年7月9日(土)~2016年10月12日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館

 

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