E X I S T E N C E
奇妙で、そして優しげな存在感…ミヤタケイコの作品から受ける印象はそういったものだ。そのデザインは、決してわかりやすい愛想の良さはないものの寡黙で信用できるクリーチャー、と肌で感じるの僕だけではないと思う。家に帰ると「BLACK BOX」(上写真)が部屋でおとなしく、待っているという生活も悪くないと思った。
SOSO CAFEで、エキシビションをおこなったぬいぐるみデザイナーミヤタケイコとその展示用のサウンド・トラックを作ったハマサトケンタロウ (ニッポニア・エレクトロニカ)にインタビューしてみた。
text&Interview NUMERO DEUX
NUMERO DEUX SPECIAL 042b "EXISTENCE"
Interview With Keiko Miyata & Kentaro Hamasato
取材日時:2002.09.1(sat) 18:00-20:00
Interview by NUMERO DEUX
Photograph by NUMERO DEUX Art Direction & Design:NUMERO DEUX
NUMERO DEUX Copyright.
Interview with Keiko Miyata
ミヤタ ケイコ インタビュー(ぬいぐるみアーティスト)
—–簡単にプロフィールを教えてください?
学校では油絵を学んでいました。卒業してから人形劇団で人形を作ったりしていて、そのうち就職のため、ぬいぐるみの会社に入社しました。もともと、ぬいぐるみが大好きという訳ではないです。会社ではぬいぐるみの型紙を作ったりイラストを立体にしたりする仕事をしていました。
—–ぬいぐるみを作ることについて?
ぬいぐるみを作るようになって立体の仕事をしていくうちに立体で表現することが楽になってきて、逆に絵をあまり描けなくなってきました。絵で抽象的なことを描こうとすると説明的な絵になってしまって、やりにくいのです。今は、立体のほうが簡単にできるような気がします。
—–デザインはどうやって考えるのですか?
興味のあるものを写真にとっておいたり、思いついたことをノートに書いておいたりします。そして、いろいろなアイディアを頭の中のスロットマシンでまわすのです。まわしておいてもしょうがないので(笑)。適当なところで止めて、アイディアを形にしていきます。
—–自分の作品についてコメントをお願いします
「BLACK BOX」のようにこんなに大きいぬいぐるみを作る人は、他になかなかいないと思います。存在感がありすぎておかしいなぁ、と思うし、そこが面白さだと感じます。
—–今回、ハマサト氏に音楽をつけてもらったきっかけを教えてください?
以前から彼のイベントを観に行っていました。何か機会があったら一緒にやりたいなぁ、と思っていました。彼に自分のぬいぐるみをイメージして音楽を作ってもらってそれを聴いてみると、「こんな風に感じてるのか」と新たな発見がありました(笑)。
———-今後の活動について教えてください
もっと巨大なものを作りたい(笑)。それと、アニメーションにしてみたいですね。ぬいぐるみ以外のものも作っていきたいです。
Interview with Kentaro Hamasato
ハマサト ケンタロウ インタビュー(ニッポニア・エレクトロニカ)
—– 簡単にプロフィールを教えてください?
僕は今、33歳です。音楽活動のキッカケは、16歳の時、「東京グランギニョル」というアングラ系の劇団を観て、衝撃をうけて入団をして、舞台音響の担当になりました。既成の音楽を編集してそれを舞台でかける裏方の仕事です。25才迄約9年間やりました。元々音響さんだったそこの座長の影響で、SPKとかヨーロッパのアヴァンギャルド・ミュージックをよく聴いていましたね。
—–自分でオリジナルのサウンドを作って、現在のような活動を始めるようになった経過を教えてください?
座長が劇団を解散して現代美術の活動をはじめた時、パートナーとしてエキシビション用の音楽を打ち込み/サンプラーでオリジナル・サウンドを作るようになったのです。この時26歳くらいだったと思います。
そして、そのうち舞台に関わっていた友人達と面白いことやりたいね、というノリでクラブ・パーティも始めました。96年頃からです。思いついたらやる!という不定期な感じだったので、パーティ名は「イレギュラー」にしました。(笑)内容としては、ライブ、映像、パフォーマンス、ダンスなど複合的なアート・イベントでしたね。
—–ミヤタさんとコラボレーションすることになったきっかけを教えてください?
ミヤタさんとは9年前に舞台の仕事で一緒になったことがあるのですが、実質的には5年くらい前の「イレギュラー」からのつきあいになります。それからミヤタさんの展覧会もよく観に行っていて、一緒に何かやりたいねと以前から話していて今回、やっとコラボレーションすることになりました。
僕は個人的にもミヤタさんの作品が大好きなんです。キッチュという言葉だけには収まらなくてフリークな感じ、そして暴力的な匂いがするところに魅力を感じますね。
—–現在の活動名義「ニッポニア・エレクトロニカ」の今後の展開を教えてください?
今のような活動スタイルになったのは、もともとやっていた舞台音響が孤独な作業だったので、もっといろいろな人と関わって活動したかったからです。なので、今回のようにエキビション用のサウンドといった、コラボレートをたくさんやっていきたいですね。
自分が作る音は今流行っている洗練されたエレクトロニカと違うと思います。そういった今ふうのものを作りたいけど、ルーツがアングラなので生々しくなってしまうのです(笑)。
なにか新しいものを作ろう、と無理をするより昔の舞台での記憶をイメージして音にしてみたり、今迄の経験を最大限に活かして音楽を作っていきたいです。
ミヤタケイコ サイト
http://www.h3.dion.ne.jp/~k-miyata