REVIEW

ヒーローの不在・存在

2007.10.28

44
DVD REVIEW
「44ミニッツ」( 2004年・アメリカ)

 よく映画でパトカーがたくさん集まったものの、無力な警官隊のシーンが出てくる。犯人を包囲したがいいが、まったく効果がなく歯ぎしりする警官達。そこにヒーローが登場して、超人的な活躍で解決する訳だ。本作はそのヒーローが最後まで登場しない作品である。
 実際にロサンゼルスであった銀行襲撃の事件の映画。犯人の完全武装の2人組は早々に人質を放棄し、取り囲んだ警官等の正面から対決し脱出しようとする。                       犯人のパトカーのドアもぶち抜くAK47ライフル。全身に防弾アーマー(足にまで!)を身に付けた犯人は、警官の発砲が当たってもまったく平気。しかし、なんとかして犯人の逃走を食い止めないといけない。そんな悪夢の44分間が本作。
 ここで描かれる警官達の人物像は決してカッコ良くはない。泥臭く、右往左往している。しかし、立ち向かう、その姿が素晴らしい。観終わった後にわかる。ヒーローは不在ではない。警官全員がヒーローなのだ。


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