洋画★シネフィル・イマジカ
「カサンドラ・クロス」(1976)
アメリカ軍が極秘に実験していた病原菌にテロリストが感染。逃亡先は乗客が1000名以上の大陸横断特急。密閉された列車でのパニックに軍の対応と、列車に乗り込んでいた主人公の医学博士、作家、牧師、セールスマン、カップルらのドラマが絡む。
クラシックなパニック映画の名作。ヨーロッパ映画なので、ハリウッド映画とは違った味わいがある。例えば、主人公もヨーロッパ的で、シニカルなインテリな感じがカッコいい。ヨーロッパな大陸の鉄道というのも、ゴージャスな雰囲気は悪くない。
パニックといっても、乗客がカゼのような感じで倒れていくだけだから、ビジュアル的な見せ場は少ない(まぁ、後半にはそれなりのアクションシーンも用意されている)。見せ場の中心はドラマ。乗客のそれぞれにドラマがあり、アクションより小さなドラマが積み重ねが魅力となっている。
軍側の描写は、重大事件なのに大規模感がないのがやや不満。コントロールセンターみたいなところに3人ぐらいしかいない。でも、軍人らの人物像の掘り下げもキチンとされている。つまり、本作はドラマに注目する作品なのだ。主人公カップルの大人な組み合わせもシャレている。ラストもヨーロッパ映画感じで余韻あり。