コーヒーとチーズケーキで至福の時。
大事なことを忘れる。頭の中にうねりがあって思い出す。ちょっとした思いつきなどは、浮かんでは消えていく。大事なのに、なぜ忘れるのか。人間は忘れる動物だから?
その代り忘れたいことが、忘れられないことがある。忘れたいと思えば思うほど、そのことを強固に記憶されていく。脳に刻み込まれていく。なぜ?
記憶したいと思っていることと同じくらい、忘れたいこともある。記憶したいのに、できない。忘れたいのに、忘れない。ここにちよっとした不合理があるのだけど、その不便さは人間は自分が思うほどに記憶力があるがゆえの悩みなのだろう。
忘れるだけの人間も、記憶するだけの人間もいない。忘れたり、記憶したりするのが人間ということになる。そして、記憶をしたり、忘れたり、ということはひとつのドラマを作る場合もある。記憶には油断できないが、同時によき友でもあると思う。よき記憶には、人間は支えられることがあるから。