REVIEW

ブラックユーモアは生き残れるか?

2010.04.03

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Film Rview「デス・トゥ・スムーチ」(2002)

 あらすじ。子供向けTV番組の大スターだったランドルフ(ロビン・ウィリアムス)は、裏であくどい取引をしていたため、逮捕される。困ったTV番組担当者のノラ(キャサリン・ターナー)は、ランドルフとは逆に、潔癖なスムーチー(エドワード・ノートン)に声をかけ、彼の番組はヒットするが、ランドルフを彼の失脚を狙って陰謀をたくらむ…

 子供番組で、歌ったり、踊ったりするシーンは多いものの、内容は完全に大人向けのブラックユーモア。なので、子供と一緒に楽しめる種類の作品ではないのに注意。大人が見てもかなり危ない感じがする。

 ヒロインがキャサリン・ターナというも、かなり大人むけ。元子供番組のおっかけという設定もニヤリとする。主役はエドワード・ノートン。子供向け番組を舞台にしながら、とっても大人な世界を描く、それが監督のねらいだろう。

 なので、作品は、善と悪、という単純な構成にはなっていなくて、外見よりずっとアート的な作品だと思う。そのためか、ラストを迎えてもスッキリ感はほとんどない。なので、どこが楽しいの?という感想もあるだろう。

 この作品の魅力は起承転結より、個々のシーンのおもしさだと思う。だから、観る姿勢としては、話の展開を追うより、個々のシーンを楽しみたい。と、擁護しつつ、自分は楽しかったと聞かれれば、まぁまぁかなぁ、という感じ。

 僕はエドワード・ノートンは好きな俳優なので評価は辛めかもしれない。彼の出演作品にしては、まあまあかな。ノートンのキャラクターとしては、新しい境地をみせてくれたけど、ただ新しいだけで、彼の新たな魅力を引き出すまでは到達はしてないと感じた。ノートンは器用だなぁ、とは思ったけど。

 大きな予算がかかっている作品にしては、エンターテイメントとしては弱いし、アート系作品にしては、舞台のメジャー感が強すぎる、と辛口気味に書きつつ、今の社会を舞台にしつつ独自のブラックユーモアに包まれた「世界観」は、なかなか見どころだとは思った。

 


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