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NEWS No.16040「浅井真理子 つるつるのみちをとおってかなたをさわりに」

2016.07.17

714浅井真理子
NUMERO DEUX NEWS 16040 
札幌のアートなニュース。


美術館を、
インタラクティヴ
机の上の小さく深い世界

美術館で私達は五感のなにを使うのか。その多くは「見る」ということではないだろうか。そこにある行動は「立って」いること。美術館でわたしたちは「立って」「見る」。そんな先入観で、本会場に入ると、少し戸惑う。

なぜか、会場には複数のテーブルに、ノートが置かれている。まるで「生徒のいない教室」のようである。不思議な謎を残したホームルームのような印象を僕は持った。手がかりは机に置かれたノート。それを証拠品を調べるように手袋をして、表紙から、ていねいにページをめくっていく。そこに描かれた線。ひらくごとに曖昧感じられてていく世界。

それをなんとか読み解こうと、ページを進めたり、戻したりしたりする。目を本から離すと、ノートの置かれた他の机が目に入る。しばらくして、ほかの机に行ってみて僕はまた同じことを繰り返す。アート展示における、この僕の「行動」は何なのだろう?僕はこれは普通、インタラクティヴな仕掛けのある作品に対する行為だと思う。しかし、本展それは存在しない。すべては一人芝居。

作品自体が、なんらかの反応をする仕掛けがある理由ではない。でも、僕は自分がノートのページをめくって、そこに書かれていて見る。考える。それを複数のテーブル間に存在し、それぞれに移動していく自分。その動きが、作品との相互コミニュケーションしているように感じる。さらには机、ノート、抽象的なドローイングというのが、アートであり、同時に日常感もある。そこが、本作品との相互感を強めているのではないか。そして、その世界に「迷う」感じが僕にはとても魅力的だった。シンプルに思える作品が、実はその深さに底までみえない感じである。

浅井真理子は東京・埼玉を拠点にするアーティスト。映像やオブジェ、写真、ドローイング等、多様なメディアを組み合わせた作品を制作。近年はとくに人の営みの中にある五感を捉え直すような作品を発表している。今回の展示では、机に手製のノートに感圧紙へのドローイングした作品を展示している。見るものは白い手袋をつけてノートの中身をのぞいていく。

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

浅井真理子 つるつるのみちをとおってかなたをさわりに
会期: 2016年6月25日(土)− 7月14日(木)・日曜休
会場: CAI02 (大通西5 昭和ビルB2)

 


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