『草原の実験 』(2014年)
無声映画。でも、その分映像がかなり「語りかけて」くれる。そのためか、無声なのを忘れるくらい。シンプルな構成。登場人物も少ない。映像は美しく、主人公の少女をはじめキャストもいい。また、そのためか僕にはリアリティというところが、いろいろ揺らいでくる。まるでSF映画を観ているような気持ちになる。非現実感。不思議な映画だと感じる。本作にはスクリーンの背後に自分の信念を語るようなアート映画特有の理屈っぽさはない。だからといって、素直なエンターティメント作品でもない。でも、楽しかったり、悲しい作品である。本監督には、この雰囲気で別のテーマの作品を観てみたいと思う。しかし、このテーマがあってのこの物語を考えれば、本作にしかありえないバランスということなのだろうか。
70点(お役にたったらシェア願います)
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)