毎日の字間

2016.12.10-2 映画の琴(コト)『戦国自衛隊1549』

2016.12.10

戦国自衛隊
『戦国自衛隊1549』(2006)

随分、酷評されている。でもね、DVDで旧作レンタル程度の負担でみたなら、そんなに悪くない、というのが僕の感想。少なくても2時間近い作品だけど退屈はしなかったしね。たしかに悪口はいろいろいえる。僕が一番欠点だと感じたのはスケール感の小ささ。なんか、ちまちました感じで、ひとつの城のまわりではじまって、それで終わって行く感じ。そこはもっとハッタリが欲しかった。

登場人物も実に定型的というか、江口洋介も鹿賀丈史も好きな俳優なんだけど、こじんまりと浅く演技を終えていると感じた。これは役者というより脚本の問題で、深みを感じる部分がないんだよね。ただ、それを単純に悪だと僕は思わない。その中で、北村一輝は役回りも含めて印象は残している。

僕は、本作を戦国自衛隊(1979)と比べるのはなかなか手厳しいと思う。なぜなら、話の構造がまったく違う。制作者の目指している作風も違うと思うから。『戦国自衛隊』(1979)はある意味青臭い「迷い」の作品だったと思う。タイムスリップした自衛隊員は、信じられない出来事に自分たちはどうすればいいのか?迷うわけ。そこに人生のドラマが重ねる。そんな作風。

対して『戦国自衛隊1549』の作品は「迷っている」人物がいない。みんな自分の役割や使命について自覚的で迷いがない。日本を変えようとする鹿賀丈史。それを止めようとする江口洋介。その他、キャストも「迷う」ことなく突き進む。そうなるとドラマの厚さを出せないから、作風はエンターティメント中心で進めるしかない。そこで、僕はスケール感、アクションが欲しいところだけど、そこは物足りなかった。でも、エンタメ作品としては、そこそこ満足できたよ。

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)


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