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NEWS No.16049「小林俊哉個展「何も語らざるものたち。-森にて-」

2016.09.10

小林俊哉M
NUMERO DEUX NEWS 16049札幌のアートなニュース。

語らず、語ることを感じること。
アートで「森」を表現すること。

身近に植物があると、気分がいい。森を歩くと、もっと気分がいい。それはなぜだろう?それは、人間の単なる思い込みなのか。植物には実際にそんな力があるのか。僕はそれについて、理論的、客観的説明はできない。そこを追求しようとも思わない。ただ、森に対して気分がいい、それは森との交流ではないか、という「感じ方」を大事にしようと思っている。

森は動くことも、話すこともできない。しかし、はるか昔から、わたしたちのすでのそばにいた。一緒に生活していたのだ。その事実は間違いのないものだ。

外界の刺激・印象を受けいれる能力。物を感じとる能力、それを感受性という。僕はそれは極めて大切な人間の機能だと思っている。そして、感受性は生きているうえで、ずっと育むべきものだと思う。それは、子供のころだけの話ではない。

小林俊哉は1959年北海道生まれ。1983年から作家活動をはじめる。現在は東京・ドイツ・スイスを中心に活躍。作風は、植物をモチーフにした平面作品。ほか、草花の写真を使用したインスタレーション作品も発表している。その活動はギャラリー展示だけではない。2007年にはハンブルグ動物公園駅構内に縦2.4m長さ14mの作品を設置。2011年は足利日本赤十字病院、2012年パレスホテル東京、札幌天使病院等でアートプロジェクトをおこなっている。

 本展示の魅力は、森を単に「鑑賞物」として捉えたものではない。人間と共存する「森」というひとつのキャラクターをテーマにした作品が展示されている。それは優しく、強く、生きている印象を受ける。作品は森に対する写実的な表現ではないが、森の魅力がアートとして、表現化されていて、本物の森がそばにあるような存在感がある。これはアートの役割として、小林俊哉の作品の素晴らしさであり、病院やホテルなどのパブリックの空間に設置される理由もよくわかる。なぜなら、建築の中に「森」を入れることができるからだろう。本展示で魅力を感じて欲しい。

 

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「小林俊哉個展「何も語らざるものたち。-森にて-」
会期:2016年9月2日(金)~30日(金)11:00~19:00(月曜休み)
※9月19日は祝日のため営業、20日・21日は休廊
会場:クラークギャラリー+SHIFT(南3条東2)

 


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