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NEWS

NEWS No.180401「Fuminori Kagajo/ Timeless」

2018.04.01

Timeless

音楽が無くても生きられる…けどね。
“NO MUSIC YES LIFE”を考える。

“NO MUSIC NO LIFE”。考えてみよう。実はそんなことはない。
音楽がないので心臓が止まりましたとか、脳死しましたという話は聞かない。
音楽が無いと生きられない、ということはない。つまり僕たちは音楽が無くても生きられるのだ。残酷なことに。

“NO MUSIC YES LIFE” だとすれば、音楽が無くなった後に人生のいろいろな場面で、何を耳にすればいいのだろうか?言い換えれば、何に助けられれば?音楽がなくても生きられるけど、リズムとメロディーは僕の人生に彩りと深さをくれる。

朝起きた時の時間。仕事場むかう時間。
ワークタイム。
自宅の寝るまでのひととき。
音楽は僕のそばにありクールに(時には泥臭く!)僕に語りかける。

音楽にもいろいろあるから、僕はその時気分で、いろいろな音楽を聴く。

Fuminori Kagajo/ Timeless。このアルバムのもってるポジティヴ感が凄く好きだ。一曲目から、本当にクールであると同時に楽しい。気持ちが高まる。徒歩でもクルマでもいい。このアルバムを聴くと少し気持ちアガってくる。自分がカッコいい人間になったような気分になる。その直後に自分の容姿を思い出し苦笑いする。だが、そんな自分もカッコいいと思う悪循環(笑)。
楽しく背伸びした気分にさせてくれる。そんな魅力が、このアルバムにはある。

個人的にはアシッドジャズ・ムーブメントの「あの時」の熱気を思い出されるのも気持ちいい。聴く前に想像したよりずっと生音感のあるアルバムであり、そこが親しみやすさにもつながる。日本語女性ヴォーカルのトラックもあり、そこにもFuminori Kagajoの底の深さに驚くのだ。
やはり音楽は楽しい! 手元に置いて欲しいアルバムだ。

ishikawa
Text by  メディアリサーチャー石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
#Fuminori Kagajo

Timeless_Sleeve
Fuminori Kagajo / Timeless
Release Date: Jan 24, 2018
Price : ¥2,400 (税込)
Catalog #: SSP-001CD  Label: scherzosketch production
Amazonで購入

Fuminori Kagajo
DJ/プロデューサー。96年より札幌を拠点としながら日本国内 、イギリス等でDJとして活動する。2010年にNYの名門HOUSE レーベル、King Street Soundsよりリリースした『Piece of Heaven』がヒット。その後も海外のレーベルを中心に精力的に作品をリリースしながらCM音楽の制作やホテルのサウンドプロデュースをするなど活動中。そして2018年には待望のCDアルバム『TIMELESS』をリリース。(下記ウェブサイトより)
http://scherzosketch.com/blog/fumi/

NEWS

NEWS No.180303「葛西由香 個展 「日々とあそび」」

2018.03.24

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日本人だけど「日本画」って 馴染みがないよね、という話。
でも、おもしろいよ。札幌の素敵なアーティストを紹介します。

春が近づいている、気持ち良い。雪を忘れたい…そんな季節でも、どうしたら前向きになれるの?と自問する毎日。そんな時はアートを観るのがいい。少なくても僕はそうだ。

日本画を知らない。日本で生まれても、目にするのは圧倒的に洋画である。実家に飾ってあった父の知人が描いたという絵も。ホテルや、和風の旅館でも公共の空間でも。なぜそんなことになってしまったかわからない。まぁ、考えてみれば不思議なことでもない。なぜなら、私達の衣食住の大部分は西洋化されている。純日本風なものは少なくなっている。珍しいくらいだ。

日本で和風なものが珍しいとは!そこが日本のおもしろいところかもしれない。さて、日本画とはなにかと言えば、一番大きいのは岩絵具という絵具の違いかなと僕は思う。岩絵具は天然の鉱物を砕いてつくったものが基本である。岩絵具を使えば日本画と説明できるのではないかと僕は思っている。この絵具の色彩や質感は、日本人にどこか親しみやすさを感じさせる。それは、きっと自分たちが、普段目にする日本画以外の和風のカルチャーと共通する部分があるからだろう。だから、日本画の世界は難しくはない。もっと、気軽に楽しんでもいい。

葛西由香は1993年北海道網走市出身。2016年札幌大谷大学芸術学部美術学科日本画コース卒業。卒業制作として制作した襖絵「明治物語」(500m美術館にて展示)では、お菓子の「きのこの山」と「たけのこ里」を鎌倉時代の「平治物語絵詞」に見立てたユニークな襖絵「明治物語」は注目を浴びた作品。その後もさまざまなアート企画に出品。伝統的な「見立て」や「やつし」の技法を取り入れつつ、想像力を刺激し、ユーモアのある日本画作品を制作する新鋭のアーティストである。その初個展が開催された。

葛西由香の作品について僕の短めな感想は、びっくりするほどセンスがいい。そして、そのセンスを日本画という世界で展開したのも、とってもいいなと思う。加えて大変良い方向で「若さ」が作品から感じられるのも素敵だ。そのため、僕たちは彼女の作品のこれからの展開を楽しみにすることができる。すべてとはいわないが、僕はアート作品にユーモアがあるのはとてもいいと思っている。ユーモアとは、批評性でありセンスである。簡単なことではない、それを作品に品良く着地させるのはとてもむずかしい。それを彼女は軽やかに(と感じさせる)日本画として定着させている。そのセンスの定着性は、インテリアとしても調和があり、彼女の作品を家に飾るのもおすすめできる。日本のアートの未来を見るようで楽しくなってきた。

ishikawa
Text by  メディアリサーチャー石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

葛西由香 個展 「日々とあそび」 会期:2018年3月3日(土)〜25日(日) 時間:11:00~19:00 休廊:月・火曜日 会場:クラークギャラリー+SHIFT(札幌市中央区南3条東2丁目6 MUSEUM 2階) http://www.clarkgallery.co.jp

NEWS

NEWS No.180302「500m美術館 vol25 第6回500m美術館賞 T Kit_A」

2018.03.15

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三角コーンを目にするたびに、
僕は現実がぐるりとまわる。

僕は普段の日常がふとすべてが「嘘」なんじゃないかと思うことがある。そんなマイナスな妄想を現実をぐるりとまわしてに引き戻すモノがいくつかある。そのひとつが「ロードコーン」。知っているだろうか?別名三角コーンという名で知られている。現物を見れば、みんな思い当たるよ。どうしてもわからなければ本記事写真の左に写っているものモノである。道路や駐車場や工事現場で、区分け等に使われる立体的な標識といえる。見知らぬ土地でも、これを見ると「ああ、夢じゃない」と僕は思う。

三角コーンは可愛らしい。標識というと平面が普通だが「彼」は立体。彼は外の世界のいろいろな場所に存在し、パブリックな空間なら大体の場所が似合う。僕はなぜ彼に支配されるのか?それは彼が「意思」を持っているからだろ思う。彼のいる場所には理由がある。その理由によって僕の行動は多くの場合制限される。

例えば「僕はそこに行きたいのに」彼は「それはやめろ」と存在で注意する。時には、ポールのように結ばれた複数に「彼ら」によって僕の自由は激しく制限される。多分、無力に近い彼らには反抗はできるのだけど心理的抵抗があったできない(または人間である「彼」のボスの存在が怖い)。ただ、見知らぬ土地の見知らぬお店に駐車場にある三角コーンはなんとも僕に安心感を与えてくれる。また、工事現場跡や、工場のような場所で役目を終えた彼の姿は哀愁を感じる。仕事と失われた仕事。考えさせる。

Kit_Aは1966年北海道生まれ、札幌在住。北海道教育大学大学院教育学研究科修了。道端のロードコーン(三角コーン)の写真を撮り続ける、それをテーマにした作品を多く制作している。本展示でも大量の三角コーンの写真や、それをモチーフにした作品がディスプレイされている。僕は本展示を通じて三角コーンのことを思い出す。逆に本展示がなければ三角コーンのことはいつまでも無意識のままだろう。

アートには「思い出させる」という役割があると思う。それはとても重要な役割である。なぜなら、僕達は日々の生活の中で目の前の「するべきこと」ばかりに追い立てられる。その状況の中では「それをやるか」「(半分絶望的な)現実逃避」の2択しかない。そこにアートは人生の調和と多様性を教えてくれる。Kit_A の三角コーンの作品もまさにそうだ。人生の余白を教えてくれる。

ishikawa

Text by  メディアリサーチャー石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「500m美術館 vol25 第6回500m美術館賞 T Kit_A」
会期:会期 : 2017年1月27日(土)〜2018年3月28日(水)
会場:500m美術館(地下鉄大通駅と地下鉄東西線バスセンター前駅間の地下コンコース内)
http://500m.jp/

 

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