ARCHIVES / ARTICLE

NEWS

NEWS No.180202「図書館はカフェである〜 平成29年度室蘭工業大学市民懇談会 」(3)

2018.02.12

 

IMG_8848

平成29年度室蘭工業大学市民懇談会
そこに出席して考えたことを、
3回にわたって書いていきます。

図書館はカフェである、
と考えるとわかりやすい。

みなさん。図書館にいきますか?僕は両親が図書館好きだったので、子供の頃からよくついていって借りてました。父が転勤族だってので、いくつかの土地に住んだことがりあります。引っ越して最初のほうに確認するのが図書館の場所。それぞれ住んだ先の図書館の思い出があります。東北に住んでいたころ、そこの図書館は札幌より大きくて立派だった記憶があります。大学時代のヒマな時は大学の図書館でよく時間をつぶしてました。そこでいろいろな本を読めたことは、財産になっている。

社会人になると図書館に行く機会は少なくなりました。でも、最近増やそうかと思っています。図書館は、今の時代はなんのための場所なのでしょうか??

僕は室蘭工業大学市民懇談会の委員をしています。本会は大学と地域がともに発展するため、広く地域の方々と意見を交換することを目的した会議。室蘭・登別・伊達の3市の市長、商工会議所、教育関係者、メディア関係者と同大学の委員で構成。大学の会議室で実施されています。その内容は、大学側の地域にむけた取り組みの報告(教員の研究紹介、学生の活動報告)と委員と大学の意見交換である。今まで2回コラムとして書いてきました。リンクは以下です。お金は一番大切か?〜平成29年度室蘭工業大学市民懇談会 」(2) エビデンスがないと生きられない平成29年度室蘭工業大学市民懇談会 」(1)

本会議の後半は僕のような外部委員によって提案や議論がされる時間となった。その中で印象深い議論があった。それは図書館のことであった。登別市長から、室蘭工大の大学図書館をより外部の一般市民が利用しやすい仕組みをもってほしいという要望があった。

具体的には現在、室蘭・登別・伊達のそれぞれの市の図書館は、相互間に図書の貸出・返却が可能となっている。つまり、いつれかの3市の図書館で利用のカードを作る。すると前記3つの市の図書館でそのカードで借りることができる。加えて、返却も伊達の 図書館で借りて、登別の図書館で返すこともできる。 これはなかなか便利なこと。例えば、僕の住まいである登別は伊達と距離はある。伊達のドライブに行った時、伊達の図書館で本を借りる。返却は僕の自宅の歩いて10分くらいのところに登別の図書館分室がある。そこで伊達の図書館で借りた本を返すことができるのだ。

話を戻すと登別市長の要望はこの3つの市のネットワークに室蘭工大の大学図書館も入れて欲しいということだった。その理由としては大学図書館には市の図書館にはない専門書があり、これも市民と共有できるとメリットがあるということだった。僕は思った。現在の図書館の利便性を高めることは何の意味があるのだろうか?

読み物は今インターネットにあふれている。今はもうパソコンを立ちあげなくてもスマートフォンでどこでも読める。ネット発信の情報だけではない。電子書籍によって図書館のあるような書籍も読むことができる。では、今の図書館の存在意義はどこにあるのだろうか? まず浮かぶのは「無料」ということだろう。これは大きい。電子書籍でも図書館にあるような本はほとんど有料だと考えられる。おおきなメリットだ。

図書館はただ本を借りるが無料というよりも、図書館という「空間」を無料で利用できるのより大きなメリットではないだろうか。図書館はふらりと入って、開館時間中なら何時間いてもいい空間。僕も若いころ、図書館に半日ぐらいはよくいたことがある。それなら借りて家で読めばいいのでは?と思うかもしれない。でも、本を借りても読書する空間を用意しないといけない。図書館内なら本とそれを「読む時間」も確実に確保できる。(なぜか、自宅では読書が進まない時があるよね)。

もちろん、図書館利用のマナーには気をつける。混雑時には長居はできない。図書館によって状況は違うと思うけど、僕の経験でいえば、平日の図書館のただ椅子だけの読書スペースなら混雑することは少ない。僕の今住んでいるところの図書館なら土日でも読書スペースのほとんどの時間5割くらいは空いている。だから、安心して長居ができる。図書館で過ごすのいい余暇の使いかだと思う。

ここまで書いて図書館って、どこかカフェっぽいなと思う。ひとりカフェでおこなう行為…お茶を飲んだり、考え事をしたり、本を読んだり…それらは実は自宅でも可能である。でも、僕らはカフェに行く。それはなぜだろう。それと同じなのが図書館に行き、図書館で本を読むことではないか。読書は図書館を利用しなくてもできる。でも、僕らは利便性だけでは生きられない。

図書館に行くという行為、図書館で本を読む体験。そういった「制約」が実は行動を深く、意味を持たせることがある。読書というパーソナルな行為を、本を借りに行く、図書館で本を読む、というパブリックな空間に身を置くのは感覚が違う。例を書くなら図書館で読書をしていた時、ふと利用者の方が目に入ったり、本棚に興味のあるタイトルに気がつく。そこに読書と「プラスアルファになる気持」があるのだ。室蘭工大の大学図書館も、そういった図書館=カフェとなる存在になってくれると嬉しい。   

ishikawa Text by アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

平成28年度室蘭工業大学市民懇談会
会期 : 2018年1月17日(水) 会場:室蘭工業大学

NEWS

NEWS No.180201「お金は一番大切か?〜 平成29年度室蘭工業大学市民懇談会 」(2)

2018.02.04

IMG_8764

平成29年度室蘭工業大学市民懇談会
僕が考えた事。3回にわたって書いていきます。
前回はここから。

お金は一番大切か?

お金はどこからくるのだろうか?僕は夢想することである。僕は働いている実感が少ないと思う。これは別に「遊んでいたらお金になってる」とかまったく違う。毎日、大変だ大変だと思いながら働いている。あー失敗もあったなぁとは感じてる。ただ、その結果として、お金をもらっている感じがしないのだ。月に一度振り込まれるお金。

ここ数年良く聞く「クラウドファンディング」を知っているだろうか。簡単にいえば、インターネットを使って自分のやりたいことについて発表して、お金を集めることである。単なる寄付ではなくて、出資した金額に応じた「お返し」が用意されていて、そこから選ぶ形になっている。クラウドファンディングはすべて個人で発信しておこなうことも可能だが、それを仲介をする専門会社によるインターネットサービスがあり、それを利用すると宣伝や集金手続きが容易になる。近年大きく注目されている。

さて本会議にて、学生の地域に対する取り組みについて紹介があった。それは、クラウドファンディングを利用して「イタンキ浜の清掃をして、鳴り砂を守っていきたい!」というプロジェクトである。

「イタンキ浜」は室蘭にある浜。室蘭は工業都市というイメージかと思いますが、実際は自然に見るべきものもいろいろあります。有名なのは「地球岬」です。でも、僕はより自然な感じのイタンキ浜も好きです。ここはよくサーファーの方もみかけます。海のまわりの断崖や山等が美しい場所です。イタンキ浜の鳴り砂とはこの砂を踏むとキュツキュッと音がすることから呼ばれています。

本クラウドファンディングは目標額には届かなかったようですが、清掃は実行されました。寄付をした人の中には清掃にも参加してくれた人もいたそうです。一定の成果もあり、今後の展開も考えているようです。主催した学生さんは友人の「なんかおもしろそう」という言葉に手応えを感じたそうです。この話は僕も好きです。みんな行動のためのキッカケを求めていると思う。

僕自身は、クラウドファンディングは素晴らしい仕組みであり、単なる集金ではなくて、新しいコミニュケーションや問題提起にもなると思っています。ただ、ひとつ個人的に思うのは、こういった仕組みが時には人間の行動原理にワナを仕掛けないかということです。ここでいうワナとはクラウドファンディングを提供するサービス会社のことではありません。私達の心から生まれるワナです。僕達はお金について、より複雑に考えないといけな時代に入っていると思うのです。お金を得る手段として「クラウドファンディング」という新しい方法とどう付き合うべきか、ということは、よく考えるべきだし、教育に盛り込んでいけないと思う。

僕は今の10〜20代の人は本当に大変だと思う。スマートフェンにSNSに、そしてクラウドファンディング…どれも僕の学生時代にはなかったものだ。そこには素晴らしさと同時に危険性も隠されている。いい大人がこれらを使って失敗するのはいいとして、まだ成長過程の彼らのは、失敗を批判する前にそうならないようにメディア・リテラシーを教示すべきだと思う。

お金というのは、これだけ一般性あるのに、すごくパーソナル(個人的)な問題でもある。それと付き合うのは、自分がしっかりとした意思を持つ必要がある。冒頭にお金について、ぼんやりとした実感を書いたが、これはこれで不完全ながら自分のスタイルだろ思っている。お金は大事なんだけど、それ意外のこととのバランスを取るのが大事。「お金」以外のことを考えると結果的に「お金」についてのポリシーもできあがるのと思う。なぜなら、お金自体はただの手段にすぎないのだから。お金が一番大切、という論理は合っているけど、矛盾もある。お金自体はただの交換ツールにすぎない。その使い方がその人になるのだ。

次回は、意見交換について(続く)  

ishikawa

Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

平成28年度室蘭工業大学市民懇談会
会期 : 2018年1月17日(水)
会場:室蘭工業大学

エビデンス

 

 

 

 

 

NEWS

NEWS No.180106「エビデンスがないと生きられない〜 平成29年度室蘭工業大学市民懇談会 」(1)

2018.01.28

koudai


「直感」も大事。だけど同じくらい
「根拠」も意識しないといけない。
エビデンスがないと生きられない〜

僕は室蘭工業大学市民懇談会の委員をしています。本会は大学と地域がともに発展するため、広く地域の方々と意見を交換することを目的した会議。室蘭・登別・伊達の3市の市長、商工会議所、教育関係者、メディア関係者と同大学の委員で構成。大学の会議室で実施されている。その内容は、大学側の地域にむけた取り組みの報告(教員の研究紹介、学生の活動報告)と委員と大学の意見交換である。それに出席して僕が考えた事。3回にわたって書いていきます。1回目です。

本会のはじめに、研究紹介として、本大学の准教授有村幹治の「情報化時代の都市地域交通計画」というテーマの話がおこなわれた。その僕の感想を書いていきたい。

冒頭から、有村准教授の研究の基本的な研究スタンスとして「エビデンス・ベースド・アプローチ」を大切にしているという。その意味は「客観的な根拠」に基づくということです。これは僕は少しオーバーですが、ショックを受けました。そして、これを冒頭にはっきり言うのは素晴らしいと思うのです。

自分も「メディア」をテーマで、人前でお話しすることもある。その時どうしても自分の個人的体験をベースにして話す場合が多い。それ自体は実体験からのリアルだから、間違いだとは思いません。ただ、それだけではダメだと再認識した。

自分の調査や信用できる根拠をにして自説を展開していく。シンプルな正論。でも意識していないと、ついついおざなりになる。准教授有村幹治の話は地域の災害時のシュミレーションや、交通インフラの整備、人口減少の対策等すべて「今」のリアルな問題を調査結果に基づいて自説を展開していく、まとまりのある聴きやすい話だった。そして「人づくり」というが根底にあるのもとても共感できた。とても新鮮な気持ちになれた。メディアに関しても考える時はエビデンスを意識したい。

次回は、学生のとりくみについ書いてみますね。

ishikawa
Text by
メディア・リサーチャー   石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

平成28年度室蘭工業大学市民懇談会
会期 : 2018年1月17日(水)
会場:室蘭工業大学

 

 

 

 

 

«...10...373839...50...»
ARTICLE

CATEGORY

LATEST ENTRIES

ARCHIVES

CLASSIC CONTENTS

website design by shie sato

SAPPORO ART & DESIGN MAGAZINE NUMERO DEUX 札幌 アート&デザインマガジン ニュメロデュー

copyright @ NUMERO DEUX allrights reserved.
top