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NEWS No.180101「500m美術館がみた札幌国際芸術祭2017」

2018.01.07

500mm

芸術祭を成功させるには、
「芸術祭がやっていない期間」が大事だと思う。

タイトルどおりことを僕はいつも思っています。僕は他の「お祭り」はわかりませんが、芸術祭については、やや極論ですが芸術祭の直前でもない「芸術祭がやっていない期間」が一番大事だと思うのですよ。

これは単純に「芸術祭広報をがんばる」ということと少し違う。ただ単に「芸術祭がある」ということを知らせるのでは足りなくて、札幌に住む人や会社が「芸術祭」っていいな、という「近づく気持」を作り出すことなんです。凄く難しいと思います。「アート」だから。

アートとは時代とともに変化していくものですし、知識も必要になる分野です。そして、決して趣味や仕事ではない限りアートは決して日常的なものでもない。でもね、別に札幌市民がみんなアートの専門家になれ、ということではないのです。ただ「札幌はアートのまちだよね」ということを市民が基本認識してもらうことなんです。

僕は昨年の札幌国際芸術祭で、大通やススキノエリアの商業ビルの空間をつかって展示をしたことが、とても素晴らしく「札幌らしい」と思った。札幌は、郊外のモエレ沼公園や、芸術の森は国内でも有数のアートスポットだと思うけど。やっぱり中央区中心部のテレビ塔、大通公園があり、北最大の繁華街すすきのがくっついた「地方都市」の姿が札幌だと思うのですよ。

だから、次回もメインはかならずこのエリアの展示を重視して欲しい。同時に、このエリアで「芸術祭ではない期間」でも小規模でいいから「まちの中のアート展示」をやって欲しい。もちろん「500mm美術館」は、まちの中のアート展示として素晴らしい。これをもっと拡張して欲しい。すすきの駅や、西11丁目駅でもやってほしい。

また、市役所や区役所の市民が一番利用する場所に、常にアート展示があるような状態をつくれないだろうか。また、クロスホテルやグランドホテルがやっているようなロビーでのアート展示が、もっと市内のホテル等の宿泊施設で常設できないだろうか。きちんとキュレーションされた作品が1〜2点でもロビー等に常設であれば、それは「札幌=アートのまち」という印象を残せると思うのだ。

500m美術館では、昨年の札幌国際芸術祭2017を振り返る展示がおこなされている。その内容は、ふたつある。ひとつは参加アーティストが描いたスケッチ、プランドローイング、 模型、作品の一部や作品制作の過程を紹介。もうひとつは、写真で、各会場の作品展示やプロジェクト、イベントなどを展示。芸術祭の先駆けとなった札幌ビエンナーレ・プレや札幌国際芸術祭2014のアーカイブ、北海道美術史年表なども展示されている。

本展示、札幌というまちの「芸術祭をやっていない」期間の素晴らしい広報活動だと思う。地下鉄構内にある本展示を道ゆく人がこれらを見て「今札幌はアートをがんばっているんだ」ということを一人でも多くわかってもらう機会だと思う。それは、次回の芸術祭の成功につながるカギになると思うのだ。

ishikawa

Text by  メディアリサーチャー石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「500m美術館がみた札幌国際芸術祭2017」
会期:会期 : 2017年11月3日(金)〜2018年1月16日(火)
会場:500m美術館(地下鉄大通駅と地下鉄東西線バスセンター前駅間の地下コンコース内)

 

 

NEWS

NEWS No.17061-7「MACHINAKA ART-X_edition vol.26「超日本」展 」

2017.12.30

sjapan

年末年始。日本の伝統アートの持つ強さ、
知ってみよう。

ネットを楽しみ、コンビニエンスストアの前を通る日常。その中ではどうも「日本の伝統文化芸術」は意識しづらい。でも年末年始はなんとなくそれを感じる時期ではないか。

仕事納めの後から、三が日のぼんやりとした時間。そこで思うのは「日本の伝統文化芸術」は、想像以上に海外に評価されている日本の「資産」ということだ。でも、それを意識することは少ない。どちらかとえば、自動車や電気製品、IT企業等などの「モノ(技術)づくり」の国という印象ではないか。たしかにコミックやアニメーションを中心としたポップ・カルチャーが海外で受けている、という断片的な情報を耳にする。また、京都は外国人から人気が高い、ということも。でも、僕達はどこかピンときていないのではないか。

本展示はJR札幌駅から近い「クロスホテル札幌」と「クラークギャラリー+SHIFT」の共同企画。その内容は書、盆栽、漆、日本画、浮世絵、枯山水など「日本の伝統文化」をモチーフにした現代アート作品を、ホテルのロビー、ラウンジに展示。無料で誰でも自由に観ることができる。これは、僕が最初に書いたことと関連してとても興味深い内容。なぜなら、これは日本の現代アートの最前線であり、同時に日本の「伝統文化」とリンクしていることだ。

芸術は「点」ではない。「線」なのである。日本で起こっている文化や芸術に関するすべては、過去のどこかにつながっていて、未来にもつながる。本展示には「日本」が日本を「超える」ための
新しいアートのカタチがわかりやすく展示(提案)されている。年末年始という僕達が一番「日本」を感じる今の時期、足を運んでみてはどうだろうか。

ishikawa

Text by  メディアリサーチャー石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

MACHINAKA ART-X_edition vol.26「超日本」展
会期:2017年10月4日(水)〜2018年1月14日(日)
会場:クロスホテル札幌  ロビー(北2西2 )

 

 

NEWS

NEWS No.17060-6「hugvilla 1st album “hug” 」

2017.12.23

cd

僕に「ゆらぐ感情」を生み出す、
日常と非日常の間を行き来するポップ・ミュージック。

北海道に住んでいる。
真冬の朝。思い切って窓を開けてみる。冷たい空気、白くなる息。
目に写るのは雪でフラットになっている景色。単純な気持ち良さ、
というより「感情のゆらぎ」に魅力を感じることがある。それは何だろう…

hugvillaは札幌在住のMiku Fukazawaによる女性ソロ・ユニット。その名はアイスランド語で「妄想」という意味である。電子楽器や、トイピアノ、ピアニカ などで音楽を作り出す。2014年にシングル『Ást』 をリリース。それからは国内及びアイスランドや台北でライブをおこなっている。そして今回、1stアルバム『hug』をCDでリリースした。店舗及びネット通販で入手することができる。

その音楽は、エレクトロニカ(電子音楽)と紹介することができる。ただ、それだけ書いても伝わらないだろう。このジャンルの音は意外と幅広いもので、ダンスミュージックに近いものもあるし、非常に尖ったノイジーなものもある。

本作はそのどちらでもなく、ゆったりとしてサウンドの中にはアナログな手触りが感じられる。アルバムを聴き進むにつれて、最初のイメージよりはずっと深度の深い音作りだとわかってくる。hugvilla の未知なる妄想の世界の奥に進んでいく感覚。ただ、それが暗めの印象にはならず、強い優しさを感じる音になっているのは、音作りのうまさと、キャラクターだと思う。「感情のゆらぎ」を感じさせる音がここにある。冬の今、部屋でも外でも楽しめる音だろう。

加えて本作のメディア形態の魅力も書いておくべきだろう。ダウンロード販売や、CDでも簡素なパッケージが当たり前の今。本作は紙製のオリジナル・ジャケットに、特典のブックレットと、いうとても凝った仕様になっている。これらのアートワークも本作の魅力だろう。僕は今後も本作のようなCDで凝ったアートワークで包み込んだ音楽作品は、アーティストのこだわりの中でこれからも作られ、受け入れられていくと思う。それが芸術なのだ。

ishikawa

Text by  メディアリサーチャー石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

cd2

hugvilla 1st album 「hug」
CD 1,620円(税込)
https://hugvilla.jimdo.com/
 

 

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