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NEWS No.16063「東京・リトルプレスのある風景(4)『タコシェ』 」

2016.10.29
タコシェ

NUMERO DEUX NEWS 16063 アートなニュース


表現は楽しい。小さくて大きい「紙メディアの世界」=リトルプレス
「タコシェ」昔も今も未来も変わらないこと。

A.)連載の(お約束の)イントロダクション

リトルプレスとは…個人や団体が制作から流通までを手がける小さな出版物。Zine(ジーン)ともいう。少し前なら、インディマガジンとかさらに昔はミニコミ誌とか呼ばれる種類のものかもしれない。もっと昔ならズバリ「自主制作」という感じですね。歳がばれるなぁ。意味合いはいろいろ変わっていく。「リトルプレス」のニュアンスは、規模さえ小さければテーマは自由。取材記事等のある雑誌ふうのものから、個人のアート作品に近いものまで幅広く感じる。

2016年9月。まだまだ暑かった都内。リトルプレスをあつかう魅力的なお店を7つ訪れてみました。今後、7回に分けて、ひとつひとつ紹介していきたいと思う。ひとくぎり、4回目です。

B.)第4回目 「タコシェ」のもっている、アンダーグランドな安定感。

初回はジュンク堂池袋店について書いた。2回目は同じく大型書店の代官山蔦屋書店について触れた。2つの大型書店の「未来」。その中でのリトルプレスという視点で続けてみた。3回目は、未来という部分を引き継いで今の書店のスタイルとして渋谷にあるユトレヒトを紹介した。今回のキーワードは、「過去と未来」という視点で考えたいと思う。中野にあるタコシェを紹介していこう。

まず立地。中野駅を降りる。人は多い。でも、僕が感じた渋谷のような圧迫感は少なく、心地よい賑わいを感じる。アーケードサンモールを進んでいって、その先にある中野ブロードウェイの3階にある。わかりやすい位置だと思う。ウェブサイトにも親切に写真入りの行き方が記載さえているいて、それをみればさらにわかりやすい。

タコシェは1993年に開店。サブ・カルチャーや現代アートに関する、新刊および古本。自費出版物、インディーズ音楽、アーティストが制作したアイテム、雑貨等を扱っている。サブカルチャー、インディーズの歴史を考えると、新しめのお店に感じる。しかし、このようなお店で現在まで続いている点では貴重なお店だと思う。店内は狭いワンフロアで、壁面の両端にびっしりと棚。真ん中にも本等が置かれるスペースがある。

このお店は、中野ブロードウェイの雰囲気もあわせて、アンダーグランド、サブカルチャーの香りがする。自分が学生時代に通っていたインディーズCDショップ、古書店の記憶が甦る。僕はこういう空間が好きだ。学生時代は週に2回は足を運び、雑誌等で得た知識をもとに、本やCDのタイトルを注意深く目で追う。そんな時を思い出す。その経験は、今の自分を作っていると思う。懐かしい。懐かしさを感じるが、タコシェは現存するお店でもある。多くのこういったお店が、歴史の中のひとつ(つまり閉店)になっている今、現実に存在するが素晴らしい。品揃えだって、過去のもありが、今のアンダーグランドに確実に更新されている。この現役感が素晴らしい。つまり、タコシェとは歴史であり、未来にもつながっている。このままのスタイルで未来まで進んで欲しいと思うのだ。

タコシェは前回「ユトレヒト」とは違う空気が流れている。でも、「空気」という点では同じ。両店にクリエイティヴな成分があると思うのだ。

ishikawa

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

タコシェ
所在地:東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ3F
営業時間 12:00-20:00 (年中無休)
最寄り駅:JR・地下鉄東西線 中野駅 徒歩4分
http://tacoche.com/

 

NEWS

SAPPORO GUIDE+ No.011 「札幌市青少年科学館。中年でもOK」

2016.10.23

青少年科学館
SAPPORO GUIDE+  No.011 札幌を<初めて楽しく>アートに歩くガイド。

 No.011 「札幌市青少年科学館。中年でもOK」 ————————————————–

さて、札幌のまちに、はじめて旅行等で訪れて、文化的に楽しく歩くガイドの11回目。前回は札幌郊外にある文化施設を紹介してみましたSAPPORO GUIDE+  No.010 「北海道開拓の村を彷徨う。できれば冬」今回は、そこから近めの札幌郊外の「新札幌駅」に隣接する科学館を紹介します。

その名は札幌市青少年科学館。子供から大人も楽しめる科学の空間。プラネタリウムもありますよ。 では、くわしく説明していきましょう。 まず、気になるアクセス方法から。基本、公共の交通機関がおすすめ。地下鉄東西線「新さっぽろ駅」(大通から約25分)または、JR「新札幌駅」(札幌駅から約15分)ちなみに「新札幌」という名称は、この駅周辺を札幌の副都心にしよう、という構想のもとにつけられました。駅直結の大型のショッピングモールがあり、この近辺は生活のしやすい場所になっています。

本科学館は、昭和56年に開館。世界初の人工降雪装置の導入をはじめ、低温展示室等、北国特有の展示のある科学館になっています。そして、子供にもわかりやすい、インタラクティヴなものが多く、ワークショップ(工作教室等)も開催されています。あと、目玉はプラネタリウムでしょう。4Kプロジェクターによる映像。ひとつのプログラムが60分程度で、単なる星についてだけではなく、多彩な内容があります。

先に書いたとおり、本科学館は駅にあるショッピングモールであるサンピアザ、デュオ、イオン、ガテプリに隣接している。そのため交通アクセスもよく、モールには飲食店もエリアもあるので、科学館を楽しんで、飲食を楽しむ、という流れで利用しやすいですよ。

ishikawa

Text by アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

札幌市青少年科学館
北海道札幌市厚別区厚別中央1条5丁目2
観覧時間:5月〜9月:午前9時から午後5時まで
10月〜4月:午前9時30分から午後4時30分まで (入館は閉館の30分前まで)
料 金:展示室 ¥700 / プラネタリウム ¥500円
中学生以下無料
http://www.ssc.slp.or.jp/ 

 

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NEWS No.16062「東京・リトルプレスのある風景(3)ユトレヒト 」

2016.10.22
ユトレヒト

NUMERO DEUX NEWS 16062 アートなニュース


表現は楽しい。小さくて大きい「紙メディアの世界」=リトルプレス
リトルプレス、今と未来。そして、書店の未来。

A.)連載の(お約束の)イントロダクション

リトルプレスとは…個人や団体が制作から流通までを手がける小さな出版物。Zine(ジーン)ともいう。少し前なら、インディマガジンとかさらに昔はミニコミ誌とか呼ばれる種類のものかもしれない。もっと昔ならズバリ「自主制作」という感じですね。歳がばれるなぁ。意味合いはいろいろ変わっていく。「リトルプレス」のニュアンスは、規模さえ小さければテーマは自由。取材記事等のある雑誌ふうのものから、個人のアート作品に近いものまで幅広く感じる。

2016年9月。まだまだ暑かった都内。リトルプレスをあつかう魅力的なお店を7つ訪れてみました。今後、7回に分けて、ひとつひとつ紹介していきたいと思う。いよいよ(?)3回目。

B.)第3回目 「ユトレヒト」のもっている3つの「書店の未来」

初回はジュンク堂池袋店について書いた。2回目は同じく大型書店の代官山蔦屋書店について触れた。大型書店の「未来」。その中でのリトルプレスという視点で続けてみた。今回紹介するお店は大型店舗ではない。でも「書店の未来」というキーワードは引き継いで考えたい。今回紹介するのは、渋谷にある「ユトレヒト」である。

まず立地。最寄り駅のひとつが渋谷駅。人でいっぱい。この人の数も慣れるのだろうか、と思う。そうなった時、良くも悪くも自分は変わるのだろう。続けよう「渋谷駅」「原宿・明治神宮前駅」「表参道駅」から10分程度。住宅街の中にあるので、ややわかりにくい。でもウェブサイトには地図だけではなく、実際の道のりを写真で細かく説明されている。これをスマートフォン片手に見ていけば、たどり着けると思う。こうしたウェブの機能やスマートフォンの存在を生かした点は、立地の不利、というハードルを下げる。こんな点も「未来の書店」の必要要素。ウェブのデザインのセンスもよく、わかりやすい。自然にテクノロジーとつながってる。そこで感じるのが

→「未来の書店1=ネット等テクノロジーの自然な活用」。

「ユトレヒト」は、一般書店では、なかなかない国内外のアート、デザイン、ファッション関連書籍を中心に取り扱っている。その中にはリトルプレスも含まれている。書籍の販売のほかにも、インテリア・アパレルショップに置かれる本の選定やシェアオフィス等各種施設における設置する本の提案、アートブックフェア『THE TOKYO ART BOOK FAIR』の共同開催もおこなっている。つまり、本をキーワードに積極的に店外にビジネスを展開。これからの本屋さんは、外に出かける本屋さんじゃないとダメだと思う。

→「未来2=本売り場でお客さんを待つ、だけではない経営」

「ユトレヒト」は古い集合物件の中にある。その一室がシンプルに趣味良くリフォームされている。店内は明るく、そして、空間が多い。従来の書店は背の高さくらいある本棚を可能な限り壁面なり、フロアに設置するのが基本だったと思う。しかし、この書店は本の他にも空間を作っているる。例えば壁面はギャラリースペースになっている。その展示を観に来た人が、交流をしている風景がみられた。おしゃべりできる書店。リアルな出会いの場になる空間。そこに人があつまる。

→「未来3=居心地よく、コミニュケーションと出会いのある空間」

E.)エンディング本屋さんは、昔は本を売っていれば良かった。売れるものも大手出版者やメディアによりあらかじめ用意されていた。お客さんが来るのをただ待っていれば良かった。委託販売という低リスクもあった。しかし、今はネットだけの書店、電子書籍にその地位を簡単に奪われる自体となった。そうなった時、本屋さんは、本を売るのではなく人と人をつなげる「本という文化」を売らないといけない場所になったと思う。そうなった時、リトルプレスというひとつのジャンルは、有力に入り込む余地ができた。なぜなら、リトルプレスほど、本を「文化」として感じさせるものもないからだ。

ishikawa
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

ユトレヒト
所在地:東京都渋谷区神宮前5-36-6 ケーリーマンション2C
営業時間 12:00-20:00
月曜日休み(祝日の場合は翌日)

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