僕は特に三谷幸喜のファンではありません。でも、TV等でなんとなく観た時、大抵最後まで観てしまう。さすが、評価の高いのも頷ける。本作もアマゾンプライムの中で偶然観た。90分という長さが、週末の夕方、ごはんまで時間にピッタリの作品だと思った。それに空港を舞台にした作品は大抵わかりやすく、おもしろい。予備知識無しで観た。
はじまって思ったのが画質が悪いな、という感じ。照明がしっかりしてない。光が不安定。それで、観てから30分くらい気がつかない点がある。鈍い自分。それは、本作はすべてワンカットで作られていること。つまり編集がない。カット割りがない。最初から最後までリアルタイムでカメラが登場人物のドラマを捉える。そ舞台に近いが、舞台と違って空港の中をぐるぐるまわるので、追いかけるカメラと音声は大変だと思う。照明はもうナシなんだろう。
ストーリーは羽田行きの旅客機にトラブル発生。乗客はしかたがなく地方のちいさな空港に1時間ほど足止めされる。乗客のひとつの家族のドタバタを主人公の女性グランドスタッフを軸に進行していく。コメディタッチの作風。ワンカット撮影のため、編集による演出がおこなえない。そのためか、役者の演技は演劇的でオーバーアクションとなっている。本作の撮影方法は、脚本によってむき不向きがある。その点、小さな空港での1時間の足止め、という設定は密閉感があり、作品を見ている人間も足止めさえた乗客のひとりのような気分で楽しめると思う。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)