パッケージには「『マトリックス』シリーズの制作スタッフが描く」と書いてある。でも、壮絶アクションや大スケールのSFXを期待してはいけない。本作は、簡単にいえば「密閉空間での地味SFスリラー」。僕はこうした風味の作品も大好きです。お話は、地球からはるか彼方の星で起きたトラブル。主人公ら救出チームが、ワープみたいな転送技術で送り込まれます。彼らはこうした危険な任務を引き受けるかわりに、高額な報酬を受け取る貧困層でもある。送り込まれた先では、危険なウィルスが蔓延と正体不明なエイリアンの存在。貧しさから抜け出すために、愛する者のために送り込まれた主人公。不安定感いっぱいな星の暗い寒い施設の中、命がけの任務にあたります。そこにはスリラーが待っています。
本作は、オーストラリア映画。ハリウッド映画のような派手さや、大予算を感じられない。でも、低予算を手堅いストーリーとセンスでカバー。安っぽさは感じられない。話自体もオチをふくめてひとつのSF映画のパターン。でも、そこを手堅くまとめている。SF好きなら観る価値のある作品かと思う。僕は好きです。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)