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2016.9.10 映画の琴(コト)『ブラック・ハット』

2016.09.10

ブラックハット

『ブラック・ハット』(2015年)

監督のマイケル・マン好きです。ハリウッド映画の中で、良くも悪くも個性のある監督だと思ってます。まずは、銃撃シーンの良さ。リアルかは別として燃えるガン・アクションを魅せてくれます。もひとつは、独自の男目線映画。本作では、珍しく(?)ラブ・ロマンスもあるのですが、わりと身勝手な感じであります。正直、ヒロインが主人公に(極めて短時間で)魅かれる理由はよくわかりません。でも、いいのです。マイケル・マンにとって、そこに時間をかける必要性を感じでいないでしょう。内容はハッカー映画かと思ったたら、大規模テロを捜査するアクション映画という感じ。それだと地味なので、主人公は服役中というワルな要素を入れた感じです。んで、なんで服役中?というところは、殺人じゃまずいし、泥棒も冴えないし、ハッカーにしよう、という感じではないでしょうか。でも、いいのです。本作には僕を燃えさせるガン・アクションがありました。それで十分なのです。

70点(お役にたったらシェア願います)

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

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2016.9.03 映画の琴(コト)『シン・ゴジラ 』

2016.09.04

シンゴジラ

『シン・ゴジラ』(2016年)

本作の良さは、ハリウッド映画を意識しないこと。「新世紀エヴァンゲリオン」の方法論をうまく実写作品のせたこと。そして「ゴジラ」というテーマで関係者が一丸となって、良い作品を作ろうとしている感じがしたこと。そう思わせる「ゴジラ」のブランド力は素晴らしい。

おもしろかった。同時に凄く思い切った作品だと思う。作中に言い訳のようなシーンがない。作り出したリズムに、お客さんが乗ってくれるように信じて、作られた作品だと思う。テンポの良さに、かっこのいい編集。そして、多くないが印象に残るアクションシーン。センスの良さと、エンターティメントのバランスがとてもいい。

ゴジラとは「危機」の象徴である。それは台風かもしれないし、兵器なのかもしれない。それに対するのは「避難する人々」と「危機に対応する人々」である。この構図は(誰にでも起こりうるという意味で)日常的でもあり、(滅多にはおきないという意味で)非日常だともいえる。

シンプルで大スケールのテーマ。これを映画として、ドラマとビジュアルで、どう消化していくかが、昭和29年の第一作からシリーズ化した「ゴジラ」映画の取り組んできた問題であった。
そして、平成28年の「シン・ゴジラ」は、実に日本映画らしくて、アート映画でもあり、エンターテイメントな映画にもなっていると思う。あらためて、映画を振り返るとこんな映画が全国の主要映画館でヒット上映されるのは、とてもいい。それが今後の日本映画界にきっと、いい影響を与えてくれると思う。

95点(お役にたったらシェア願います)

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

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2016.9.01 映画の琴(コト)『草原の実験 』

2016.09.01

草原の実験

『草原の実験 』(2014年)

無声映画。でも、その分映像がかなり「語りかけて」くれる。そのためか、無声なのを忘れるくらい。シンプルな構成。登場人物も少ない。映像は美しく、主人公の少女をはじめキャストもいい。また、そのためか僕にはリアリティというところが、いろいろ揺らいでくる。まるでSF映画を観ているような気持ちになる。非現実感。不思議な映画だと感じる。本作にはスクリーンの背後に自分の信念を語るようなアート映画特有の理屈っぽさはない。だからといって、素直なエンターティメント作品でもない。でも、楽しかったり、悲しい作品である。本監督には、この雰囲気で別のテーマの作品を観てみたいと思う。しかし、このテーマがあってのこの物語を考えれば、本作にしかありえないバランスということなのだろうか。

 70点(お役にたったらシェア願います)

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

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