▲絵本「くものもくもくん」ストーリーは、くもの「もくもくん」と小鳥の「ことりさん」との会話で進んでいく少し不思議 なお話(A5サイズ・オールカラー26ページ・2017年10月発行)。リトルプレス(自主制作の小規模出版)です。作家は室蘭在住。
はじめに。
「絵本を自分でつくりたい」という人むけの記事です。
僕はメディアに関する活動をしております。最近の活動のひとつとして室蘭在住の絵本作家「ちなころ」さんらリトルプレス絵本「くものもくもくん」編集・制作とPRのためのイベント出店のプロデュースをさせていただきました。その体験は、絵本を自分で作りたい!という方に参考になりそうでしたので、5つの記事にわけて書いていこうかと思います。以下まだ書きかけの内容になります。ご了承くださいませ。
本記事は以下の感じのまだかきかけの記事です。
<1.はじまり〜制作>
<2.プレ発表〜NEVER MIND THE BOOKS出店>
<3.宣伝を考える(1)>
<3.宣伝を考える(2)>
<3.宣伝を考える(3)>.……この記事です。
<4.イベント制作〜準備(1)>
<4.イベント制作〜準備(2)>
<4.イベント制作〜準備(3)>
<5.イベント出店〜当日>
1.スペースを「お借りする」から脱線してみる。
「タンネ」での見学と相談
さて、前回の本記事では、お借りする相談に行ったコミニュティスペース「タンネ」の運営者の方が、自身も「子供カフェ」という子供むけワークショップを主催していることがわかります。そこで、スペースをお借りするお話しから脱線して、室蘭のエリアで絵本の読み聞かせイベントをやること、についてアドバイスを聞いてみることにしました。それはやはり運営者がそういったお話しに対応できる方だと感じたからです。
そこは僕の感覚というか、その方の自己紹介や、雰囲気やお話しから、わかってきたことです。予想とおり運営者の方は唐突な私達の相談にもきちんと答えていただいて室蘭で読み聞かせをおこなっているグループをいくつか教えてくれました。さらに、もうひとり運営者である方はコネクションがあるもで、ご紹介いただけることになりました。そして、さらに話は別の展開になります。
2.スペースを借りる話から、読み聞かせイベントの情報
そして、イベントにブースと出演しないか?という話でした。
運営者の方から、数ヶ月後にこのスペースを運営しているNPO団体が、室蘭市民会館の貸しスペース借りきって1日「たねフェス」という映画上映や物販、ワークショップ等のイベントを予定しているので、そこで「くものもくもくん」の読み聞かせをやってみないか?というお話しでした。急なお話ですたが、その時が11月後半。そのイベントが2月中旬。年末やお正月をはさむので、制作期間にロスもありますが、最低限のパッケージは作れる感じがしました。
それに、先の記事に書いたとおり自主活動には「強制的な締め切り」があったほうがいいのです。「たねフェス」に参加します!といえば、その日にむかってやらなければなりません。それはタンネを借りて自主読み聞かせイベントをやる、というよりも現時点ではいいアイディアだと思いました。
なぜなら、自主イベントを単独でタンネで借りると当然、集客について考えないといけない訳で、そこは重大な制作のポイントになるなと思っていました。そこをクリアしないと、開催日を決めるのもなかなか迷ってしまいます。しかし「たねフェス」という大型の集合イベントに参加という形だと、とりあえず集客のことは少し横において、イベントの内容について集中して、発表できる気がしました。この時点で、タンネをお借りして自主読み聞かせイベントをやるというのは一旦取りやめて、2018年2月17日の開催する「たねフェス」の中で「くものもくもくん」の読み聞かせと、ミニライブをやらせてもらう方向になりました。
2.「絵本の読み聞かせ」を見学
僕達は「絵本の読みきかせ」を知らなかった。
私達は「くものもくもくん」を発行して、宣伝のために「絵本読み聞かせ」それだけだと、すぐ終わるからミニライブもやろう!と呪文のように言ってましたが「絵本の読みきかせ」というのはどういったイベントかリアルにわかっている関係者はいませんでした。もちろん、漠然としたイメージや、きっと自分が子供の頃を体験して記憶はあるかもしれません。僕といえば、絵本は好きで親に読んでもらったりした記憶がありますが、外で読み聞かせを体験した記憶がありません。でも、保育園であったような気がしています。
僕もふくめて関係者みんなが子供がいないので、そこがやっぱり見学をしないとダメだと思いました。先日コミニュテスペース「タンネ」の方から「わにわにくらぶ」という室蘭市内の「絵本の読み聞かせ」をおこなっている団体があることをお聞きしました。作家自身にそこに連絡をとってもらい、見学のおねがいをしてもらいました。作家から見学についてのおねがいができた、という報告があったので関係者で見学に行ってみることにしました。平日のお昼の少し前に会場である室蘭市立図書館の輪西分室に行ってみました。
行った図書館には、こどもが絵本を読みながら遊べるスペースがあり、そこは絵本の読み聞かせにもピッタリな空間にもなっていました。図書館の方に読み聞かせのスケジュールを確認して、はじまるのを待ちました。時間が近づいてくると、子供をつれてお母さんが集まってきました。そして、それから読み聞かせをするわにわにくらぶの方もいらっしゃいました。少し目につくカラフルなエプロンをしていて、読み聞かせをする人だとわかりました。そういう格好も大事だなと思いました。その方に挨拶をすると、後で代表も来るので紹介いただけるということでした。
お子さんやお母さんは子供の遊ぶ空間の中心の外側から囲む感じに座っていて、絵本の読み聞かせ会に慣れている感じでした。ほどなく、わにわにくらぶの方がさらに2人いらっしゃって、そのおひとりが代表の方だってので、名刺交換をしました。読み聞かせには代表をふくめ3人でおこなうようです。時間通りに絵本読み聞かせはスタートしました。
導入は、掛け声と手遊びのようなアクションからスタートしました。そして、実際の読み聞かせの最初の2〜3冊は思ったりよりお話しよりビジュアル重視の本がつかわれていて、絵本の内容と一緒に子供のアクションをおこない遊ぶ内容でした。参加しているお子さんに年齢からいくと、起承転結の話にはまだ早い感じはしたので適当だ思いました。
このあたりは僕が当初想像していた「淡々と絵本のストーリー」を読み聞かせる感じとは違いました。一番最後の読み聞かせでは、代表の方がストーリーのしっかりした絵本の読み聞かせをおこなっていました。
終了後、わにわにくらぶの代表の方と絵本の読み聞かせについて、お話しを聞かせてもらいました。わにわにくらぶはNPO法人で、子育てサポートの活動をいろいろおこなっていますが、「絵本の読み聞かせ」を通して本好きの子供をつくる、というのが重要なテーマになっています。読み聞かせ会を通して本が好きになり、成長しても本好きな子供が何人もこの活動から生まれていったそうです。
ただ、最近は状況が変わってきて「絵本の読み聞かせ」会に集まる子供も少なくなり、そこに集まる子供も、お母さんに抱きかかられているような小さな子供が多く。ストーリーで楽しませる本を読み聞かせるのはなかなか難しいようです。以前は、現在よりもう少し高い年齢の子供が集まり、そこでストーリー性の高い絵本を読み聞かせて、読書の楽しさを伝えて、学校に行く歳になっても「本が好きな」子供を育てることができたようですし、それは本NPOの大きな目的だったようですが、現在の難しさを代表の方は語ってくれました。
この点について僕が思うのはふたつあります。ひとつは明白な人口減少によって子供が少なくなり、読み聞かせにくる子供も少なくなったという必然的理由。もうひとつは昔は、こどもの娯楽が絵本や絵本読み聞かせ会は大きな存在だったのが、最近だとスマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機によって、子供に対する娯楽が増えたので読み聞かせ会に来る子供が減少したという「子供に対する娯楽の多様化」があるかと思います。たしかに、外で小学校に入る前の子供が携帯ゲーム機で遊ぶ光景は珍しいものではありません。
僕は思います。「絵本の読み聞かせ」が、スマホ、携帯ゲーム機等のデジタル・メディアによって、人気を失ってしまうのは、しかたがない、という部分もあるかと思います。ここで、デジタルを批判してもしょうがない。やれることは、絵本の読み聞かせだけのある魅力をみつけて紹介や発信をしていくことなんじゃないかな、と思いました。今回、大人になってから「絵本の読み聞かせ」を体験して、わかったことを書きます。それは「ライブ」だなということです。つまり、お客さん(子どもたち、その親御さん)の存在を意識した内容にしないといけない、ということです。その「生」のコミニュケーションが「絵本の読み聞かせ会」の(デジタルにはない)魅力であり、本質だということです。僕達は、いよいよ自分たちの「読み聞かせイベント」の制作をはじめることにしました。
次記事
<4.イベント制作〜準備(1)>
2.室蘭のコミニュティスペース「タンネ」に行くことにする。
イベントの場所は大事です。ライブを加えるアイディア。
「くものもくもくん」のイベントのために室蘭のフリースペース「タンネ」。そこの代表の方とコンタクトが取れました。イベントにおいて「場所」というのは大切。会場の見学を兼ねて、相談する日程を決めました。場所の大切さんというのはポイントは2つです。ひとつは「地理的」な部分、もうひとつは「スペース自体」の部分です。「タンネ」について、前者の部分について決して繁華街のように人が自然に集まるようなエリアではありません。ただ、この点は想定するイベントは何も知らない人が、ぶらりと入るような内容ではないから大丈夫かな、とは思いました。アート展示だと「なにも知らない人フラリと入る」という可能性を重視して、人通りの多い場所を会場にすることはあるのですけどね。
さて、では次は「スペース自体」です。相談当日、関係者らとタンネに向かいました。この時点で、絵本の読み聞かせとミニライブをやる、というイメージが作家から出ていました。読み聞かせだけだとすぐに終わってしまうので、ライブとセットでパッケージにするということです。タンネのレンタル設定も安めなので、週末等に借り切って「読み聞かせ+ミニライブ」のイベントをおこなうというアイディアでした。そのため作家の友人で音楽のできる人がこの時点で仲間に入っていました。現時点の関係者は作家、僕、絵本のデザイナー、音楽監修者の4人です。車でタンネに向かい平日の18時にタンネのドアを叩きました。
3.
「くものもくもくん」(A5 サイズ / オールカラー26ページ)
絵本 / リトルプレス / 2017年10月発行
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Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)