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NEWS No.180301「登別市議会・観光委員会との意見交換会」

2018.03.10

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「一極集中型」(点)の観光から、
「ネットワーク型」(点をむすぶ)の観光へ移行する。
新しい観光のための小さいステップ。

今の観光は名所を「確認」することだと思う。僕達は旅の前に効率よくネットやガイドブックで、旅先の名所を調べる。そこまでの道のりを調べて、そこへ行く。到着した先でガイドにある写真と同じことを確認する。これは名所という「点」を求めて、そこをクリアする喜びを体験する。これは観光の王道であり、これからもそうありつづけると思う。ただ僕はさらに違う「観光」がないかと考えるのだ。

僕は近頃「面」で考える観光というの考えている。「断片」といってもいいかもしれない。それを見物しにいく。簡単にいえば、見知らぬ土地のさりげない光景に着目するということだ。具体的には、週末に車や公共交通をつかって見知らぬ土地にいってみる。そこでふつうはネット等で、そこの名所・名物を調べて訪ねるところだが、そこをあえて避ける。そこに住み人が子供を遊ばせるような公園、公民館等の公共施設、住宅街などを歩いてみる。最初は近場で十分だ。例えば、札幌市内でも僕は行ったことのないエリアはたくさんある。特に地下鉄のアクセスから遠いところは、知らないところが多い。そういう場所に行ってみる。

そこに人がいる以上、家があり、ちいさくても公園があり、お店もあるだろう。正直、最初は退屈かもしれない。でも、見知らぬ土地を歩く新鮮さはあるはずだ。そこを「楽しむ」のは内面の楽しみであり、僕ならそこを歩きながらメディアや原稿のことを考えるだろう。それは人それぞれで、写真を撮ってみてもいい、仕事や家族のことを考えてもいい。大切なのは「その場」に居ることを楽しむことなのだ 。楽しむとは「考える」ことだ。

僕は登別市の議員サポーターをしています。このは議員の会議で出席して議員と意見交換する内容です。先月、それが開催されました。その内容について、僕が考えたこと書いてきます。

本会議の重要なキーワードとして「全市観光」というのがありました。これは登別全体を「観光市」として捉えて、いろいろな観光スポットを開拓していこう、というアイディアです。この点について登別をあまりご存知ではない人には説明が必要かと思います。説明してみます。登別は全国的に有名な温泉スポットであることはご存知かと思います。

では、登別市全体が温泉街な雰囲気かというと、その点はかなり異なります。それは僕は登別に住んでみて初めて実感しました。では、それは住まないと実感できなかったのか?という訳ではなくて自分の不勉強を感じています。例えば、登別市の地図を見てみると隣の室蘭よりずっと大きな市だということがわかります。恥ずかしながら、僕はわかっていませんでした。

登別市とはかなり広いエリアなのです。僕が住むまで登別のイメージは「全体が湯気が出ているような温泉のまち」でした。しかし、僕の住んでいる場所では、登別温泉に行くのは少し手間だと感じるくらい距離感があります。でも、その代わり海が近いし、登山が楽しめる山もある。大学のキャンパスを歩く楽しみもある。その場所なりのガイドブックにはない「ちいさな観光エリア」だと思います。それは「全市観光」のポイントになると思います。

「全市観光」とは名所を否定するものではありません。名所の間に存在する「ちいさな観光エリア」と「名所」をむすんでいって「面」仕上げる。それが僕が考える「全市観光」です。僕は名所や名物を作り出すのも大事ですが、同時に既にある「ちいさな観光エリア」をきちんと整理して、紹介することが大事なのです。名所をつくるよりも、今あるものを発見して、キチンと紹介するメディアをつくるほうが重要だと思うのです。

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Text by  メディアリサーチャー石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「登別市議会・観光委員会との意見交換会」
会期 : 2018年2月8日(木)
会場:登別市役所

 

 

 

NEWS

NEWS No.180203「林 紗綾香 / 空ろ木の花(うつろぎのはな)」

2018.02.20


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普遍性の再発見は、
ベッドのスマホをやめさせる。

最近、ベッドの枕元にスマートフォンを置くのをやめた。そんなに深い意味はないが、そこにあるとついつい使いすぎてしまうからだ。使うこと自体悪いことではないし、それは好きな行為でもある。でも、好きなことが必ずしも自分に良いことにつながらないこともある。ベッドの中のスマホはそんな行為だった。僕は寝ながらSNSに反応し、メールに返事をする。そう、寝ながら。そこには風景はなく。指と液晶ディスプレイだけが浮かび上がる。

私達は、日々たくさんのコミニュケーションをおこなう。人と人は交流する。口から言葉を使って。カラダを使って。機械を使って…多くなれば、なるほど僕達の感覚は麻痺していく。きっと、大昔のコミニュケーションとは、一大事ではなかったのか。スマホどころか、電話もない手紙もない時代。その当時は「その時」に人の口から出る言葉、仕草というのは、とても大切に扱われたと思うのだ。物理的距離もこえられず、記録もされないコミュニケーションというのは、なんて貴重なものだろうか!

林 紗綾香(はやし さやか)の本作では、2つの「窓」に映る情景を描くビデオインスタレーション作品となっており、1日という時間の流れの中で昭和の日常を映し出す内容となっている。そこには、ノスタルジックというより僕には大切な「発見」があった。普遍性の再認識である。

平成も終わろうとしている今。なぜ「昭和」なのか。それはきっと、わたしたちがもっともリアルに感じられる「昔」ではないだろうか。例えば、軽い読者等にある「昭和あるある」という思想は、実は深いレベルのものであり批評性や記念性、進化も含めた記憶断片だと僕は思う。

本作にミニマムな映像の中に浮かびあがるイメージはなんとも愛しく、ノスタルジックと同時に現代的でもある。つまりここにあるのは「普遍」のイメージなのだ。僕は現代のアートにおいて「普遍の表現」にむかう、というのはとても大事なことだと思っている。なぜなら、現代スマホ片手に生活する僕達がもっとも忘れるのが「普遍」なのである。普遍性から離れれば離れるほど僕達は混乱してしまう。僕がベッドからスマホを手放したのは「寝る」という行為を邪魔しない普遍の再発見だったからかもしれない。

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Text by  メディアリサーチャー石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「JR TOWER ARTBOX  林 紗綾香  /  空ろ木の花(うつろぎのはな)」
会期 : 2017年12月1日(金)~2018年2月28日(木)
会場:JRタワー1階東コンコース(JR札幌駅直結)

 

 

 

NEWS

「 リトルプレス絵本『くものもくもくん』をつくる!」<1.はじまり〜制作>

2018.02.16

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▲ 絵本「くものもくもくん」
ストーリーは、「くものもくもくん」と「ことりさん」との会話で進んでいく少し不思議 なお話(A5サイズ・オールカラー26ページ・2017年10月発行)。リトルプレス(自主制作の小規模出版)です。作家は室蘭在住。

はじめに。この連載記事は、
「絵本を自分でつくりたい」という人むけの記事です。

僕はメディアに関する活動をしております。最近の活動のひとつとして室蘭在住の絵本作家「ちなころ」さんのリトルプレス絵本「くものもくもくん」編集・制作とPRのためのイベントのプロデュースをさせていただきました。その体験は、絵本を自分で作りたい!という方に参考になりそうでしたので、5つの記事のわけて書いていこうかと思います。以下まだ書きかけの内容になります。ご了承くださいませ。

本記事は以下5つの記事になっています。まだいろいろ書きかけです。

<1.はじまり〜制作>………この記事です。
<2.プレ発表〜出店>
<3.宣伝を考える(1)>
<3.宣伝を考える(2)>
<3.宣伝を考える(3)>
<4.イベント制作〜準備(1)>
<4.イベント制作〜準備(2)>
<4.イベント制作〜準備(3)>
<5.イベント出店〜当日>

<1.はじまり〜制作>

1.きっかけ
それは突然というよりも。ひとつの流れ。

私の仕事上の知人で、絵本をつくりたい!という女性がいました。彼女は特にクリエイティヴな職種という訳ではないですが、趣味で手作りアクセサリーをつくって展示販売会に参加した経験のある器用な人です。彼女は手書きで絵本を書いて、それを自分で撮影して。それをフォトブックのサービスを使って絵本の形として1冊作っていました。

ただ、この方法では一冊のコストがとてもかかります。また、文字のレイアウトにも制限がありました。そこで彼女は本格的な自費出版を考えて、インターネットをつかって絵本の自費出版の会社を探していました。このあたりで僕はこの彼女の絵本の話を耳にしました。彼女は自費出版のために結構な自費予算を考えていました。それは正しい。

一般的に自費出版できちんとした印刷で作り上げれば、かなりのお金が必要です。そこで、僕は彼女に提案してみることにしました。僕はちょっと彼女の活動に興味を持ちました。そこで、僕は彼女に提案してみました。僕が彼女の自費出版を手伝えるかもしれない。ただ、もちろん、僕にできること、できないことがありますから、そこはよく話し合って、それでもよければやります、ということで慎重に話は進めました。

その結果、お手伝いをやらせていただくことにまりました。その概略は、原画から印刷データーの作成、絵本の判型、紙、レイアウト、構成等編集、印刷業者の発注。そして、印刷刷り上がり後に宣伝等のマネジメントもおこなうことになりました。

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▲「くものもくもくん」中ページ。

2.絵本「くものもくもくん」絵本の制作のプロセス
そこは似ている…いつものメディア作りと同じかな。

この絵本は、本当にちいさなお子さんをターゲットにした絵本です。そこは作家自身に確認をしました。制作のプロセスとしては、まず作家さんから手書きの原画をいただきました。これを印刷用のデーターにする必要があります。原画の性質からスキャナーでは難しそうでした。ですので簡易撮影ブースを使って一眼で撮影、データー化しました。

そして、ページ構成、文章面のフォント選び、紙の選定等をおこない入稿をおこないました。印刷業者はグラフィックです。それまでの絵本作家さんの対面の打ち合わせは3〜4回だったと思います。メールでは気がついた時によく連絡をとってました。facebookのメッセンジャーがGmailでした。色校を経て作家さんの自宅に納品しました。刷り上がって納品された時は、最初の楽しみです。でも、これは「始まり」なのです。これからいかに本を「宣伝」する、という活動に移ります。

今の世の中、絵本を作るのはお金さえあれば簡単です。それを紹介すること&宣伝(PR)すること、いいかえれば絵本(メディア)を作って他者とコミニュケーションすること。人と人のコミニュケーションするのが難しいように、人とメディアも難しいのです。

次回、<2.プレ発表〜出店>に続きます。

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「くものもくもくん」(A5 サイズ / オールカラー26ページ)
絵本 / リトルプレス / 2017年10月発行
instagram
https://www.instagram.com/moku_mo_kun/?hl=ja
minne 販売サイト
https://minne.com/items/11744794

★本記事のお問い合わせはQZJ12432@nifty.comまで。
#絵本  #リトルプレス  #絵本   #絵本作り  #絵本作り方

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Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

 

 

 

 

 

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