困らないサスペンス
DVD REVIEW
「スイミング・プール」(2003・フランス)
これも、観た後スッキリの正当派サスペンスを期待するならハズレかも。フランス映画(というかヨーロッパ映画)らしい内向的で味わい深い作品であり、2人の女性のドラマとして見ごたえがある。
宣伝では殺人事件の「サスペンス」的な内容が強調されているけどね。殺人事件はたしかにターニングポイントだけどドラマを構成するひとつの要素にすぎないと思う。
豪邸に若く毎晩違う男を連れ込む自由奔放な娘と、作家で自立したインテリな中年女性の奇妙な共同生活。水と油な二人の女が少しづつ心が通じ合うのは良い雰囲気。たしかにミステリーはあるのだけど重点は2人の女性ドラマ。その描き方が作品に深みを与えている。映像もエレガントだし、ラストも大げさにできるところを静かに流しているのが良いセンス。内面世界を描いたユニークな作品だと思う。