(最終日)11.04.02-04.10 「札幌ビエンナーレ・プレ企画2011 美術館が消える9日間」

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「札幌ビエンナーレ・プレ企画 2011
—アートから出て、アートに出よ。― 美術館が消える9日間」

会 場:北海道立近代美術館 
会 期: 2011年4月2日(土)- 4月10日(日)

主催:札幌ビエンナーレ・プレ企画 実行委員会
http://www.sapporo-biennale.jp/

【出品アーティスト石倉 美萌菜 / 磯崎 道佳 /伊東 篤宏/伊藤 隆介/梅田哲也/金子 良(のびアニキ)/黒田晃弘/contact Gonzo/鈴木 涼子/高橋 幾郎/トーチカ/初音“スクラッチ”ミク/結城幸司


● 感じれれた未来への方向性。
   札幌ビエンナーレ・プレ最終日レポ。

先日、初日のレポートを書いてみた。それに対になるレポートとして最終日のレポートと全体的な感想も書きたいと思う。

本プレ企画には4000人の来場者があったそうだ。札幌ビエンナーレ・プレは地元発の企画であり、かつ特定の主催スポンサーはいない。実行委員会はボランティアを基本とした有志の団体である。その点を考えると、とても注目を集めた企画であったと思う。

僕はこの9日間は、慣れ親しんでいた「近美」が違って見えたと感じた。今までのイメージは公共の施設然とした静粛な美術館空間であった。それが、今回のビエンナーレ・プレでは、展示と同時にフォーラム、ライブやダンスパフォーマンス、映画上映などが17時以降も開催されたためか、美術館は活動的な空間になっていたように感じる。そこが新鮮だった。

美術館は、過去の記録を展示したり、現在の一部を切り取って展示するためだけの密室空間ではない。外の社会に密接に結びついて、活気ある表現を現在進行形で紹介でする場であっても欲しいと思う。

僕は札幌でのビエンナーレに一番必要なのはこの地で人々を引きつける「活気」だと思う。その点について今回のプレ企画から「活気」感じられたし、それは正しい方向性だと思う。

ビエンナーレ・プレの第二弾は秋の10月29日から、札幌の芸術の森で開催される。次回もぜひ注目して欲しい。

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▲by 金子 良(のびアニキ) ドジ、他者とのコミニュケーションがうまくとれない、というキャラクターをテーマに展示会場から街中でも活動を展開。今回の展示では複数のインターホンで観客と会話をすろというアートパフォーマンスをみせてくれた。

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▲by 磯崎 道佳 カラフルに装飾されたビニールに覆われた空間が作られていた。中には木製のテーブルが配置され、そこに来場者が「言葉」を刻みこめるようになっている。体験型の作品であり子どもからお年寄りまで自分の言葉を書いたり、目を通していた。

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▲ by トーチカ 男女2人組のユニット。空中にペンライトで絵を描いていくワークシップを全国で行っている。今回は、東日本大震災にむけた応援メッセージの作品を展示していた。オープニングイベントでも素晴らしいパフォーマンスをみせてくれた。トーチカの展示の様子。インタビューも実施しました。

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▲ by 初音“スクラッチ”ミク   パーテションに仕切られた独立した光のない空間。中に入ると中心に置かれるオブジェ。その前に立つと、オブジェが光を放ち、サウンドが響く。初音ミクが作り出す「音」と「映像」の世界。

 

Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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札幌ビエンナーレ・プレ企画 実行委員インタビュー008
沼山 良明(ぬまやま・よしあき)

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札幌ビエンナーレ・プレ企画
実行委員インタビュー008

実行委員:沼山 良明(ぬまやま・よしあき)


札幌初の国際的な芸術祭「札幌ビエンナーレ」を2014年開催実現のために有志による「札幌ビエンナーレ・プレ企画実行委員会」が結成され、第一弾として、今年4月に北海道立近代美術館で9日間(4/2-4/10)展覧会が開催された。道内にてNMAという名義で、28年間前衛的な音楽のライブをプロデュースしてきた沼山良明。札幌ピエンナーレ・プレでは音楽系企画の実行委員として活躍した。NMAとしての活動のキッカケから、その内容、行政と音楽活動のかかわりあい、そして札幌ビエンナーレ・プレとお話を聞いた。

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『私は楽しいことや豊かな生き方はすべて人のつながりから生まれると思います。行政も、アーティストもプロデューサーも、もっと人としてつながれば豊かな表現活動ができんじゃないかな』Interview with Yoshiaki Numayama

NMAのはじまり

私は実行委員として音楽関係のプロデュースを行っています。個人では本業の傍らNMAという名義で北海道にて28年間、前衛的な音楽をライブを通して紹介する活動をしています。そのあたりのキッカケ、活動をしながら考えたこと、札幌ビエンナーレ・プレについてお話しようと思います。

学生のころから音楽が好きでロックのコピーバンドをやっていました。その後調律学校を卒業してピアノの調律師になりました。仕事をしていて考えたのは音楽で食わせてもらっているんだから、なにか音楽で社会にお返しができないかな、と思いました。それで最初はクラシックのピアニストやジャズのコンサート企画などを始めました。

それが、今のNMA(Now Music Arts)名義で前衛音楽のライブを企画するようになったキッカケは、副島輝人さんとの出会いによります。この方は前衛ジャズシーンでは世界的な音楽評論家・プロデューサーで、ドイツの「メールス・ニュー・ジャズ・フェスティバル」に行って取材してきて、撮影した8ミリ映画を全国行脚し上映会をしていたのです。札幌では「アクト」というジャズ喫茶で上映会をやっていて、そこで副島さんと知り合いました。上映会を観たら自分でも行きたくなって、83年に副島さんと一緒にそのフェスに行ってみたのです。

「メールス・ニュー・ジャズ・フェスティバル」は世界中の新しいジャズを紹介する音楽祭です。このフェスはもともとは個人の企画でスタートしたのですが、2年目から開催地のメールス市から資金を出してもらっているそうです。フェスは8千人くらい入るサーカスのテントで昼から夜まで4日間行われます。メインステージのほかに実験的なライブをやる小屋もあります。

このフェスで、ジョン・ゾーン、アート・リンゼイ、ビル・ラズウェルといった、当時ではまったく日本では知られてない素晴らしいミュージシャンが出演すると、むこうのお客さんはみんな彼らを知っていて、ワーッ!となるんです。それを見て日本でなぜこんな凄い人たちが紹介されないのかな、と疑問に思いました。それがNMAをはじめたキッカケになっています。

83年から副島さんや、知り合いのミュージシャンを通じて前衛音楽のライブを年に5~6回企画をはじめました。私がミュージシャンを選ぶ基準は、お客さんに新しい表現を紹介できるか、という点です。そのミュージシャンと知り合いだとが親しいとかでは決めない。そこはシビアに判断していく。去年、この人に来てもらったから来年も同じ人で、という決め方はしない。同じ人でも次回はお客さんに違う表現をみせてくれるなら、おねがいするでしょうね。

● 単独のライブから「ナウミュージックフェスティバル」へ。

そして、発展させた形として1986年から「ナウミュージックフェスティバル」という複数のミュージシャンが登場するフェス形式のライブ企画をやることにしました。その理由は今までの単独の企画だと、お客さんが「これは知らないから、行かない」という感じ勝手に判断されてしまう。でも、フェス形式で56組のライブをやれば、違ったタイプの音楽を一度に聴けるから「この音楽は知らなかったけど、いいな」と気がつく人もいる。そうやってNMAのファンを増やしたい、と考えました。

会場は大谷会館や道新ホール、札幌芸術の森ができてからは、素晴らしい環境なのでそこでやっていました。2日間ぐらいの日程で、1日目にゲストを招いたワークショップやレクチャーもやりました。フェス形式にして、今までと違う手応えは感じたし、NMAのファンも増えたと思う。出演した東京のミュージシャンが「これが札幌で、できるのになぜ東京でできないんだ」と感じてくれて東京、神戸と連携で2年くらいやっこともありました。

でも、フェスは正直赤字でしたね。赤字を出してそれを返して、またフェスをやるという感じです。フェスをやってると税務署の人も来るんですよね。どれだけ儲かっているかと勘違いして。毎回赤字だと知ってびっくりして聞かれます「なぜ、儲からないことをやるんですか?」ってね。僕は「別に赤字にしたくてやっている訳じゃない、トントンでいいから、という思いでやってる。現実はそうはいかない、だから赤字が出てるんだ」と説明する。でも納得してくれない。最後に「男には赤字になるとわかっていても、やらなきゃならないことがあるんだよ」といいましたね(笑)。

96年くらいにいよいよ資金繰りがダメで次のフェスは無理かな~と思った時に、 東京の知人から「オマエの活動に100万出してもいい、という人がいるから会うか?」という連絡があって、行きましたね東京(笑)。帝国ホテルのロビーで、女性の方に100万円いただきました。それで97年は開催できたのですが、それ以降はフェスという形では頓挫しいます。ライブの企画自体は定期的にやってます。

●行政とのかかわりについて

私は行政が音楽や芸術にお金を出す場合は、プロデューサーの「人」としての技量を見極めて、信頼関係ができたらすべてまかせる、というスタイルをとって欲しいと思う。今の日本では、行政がお金を出す場合は行政自体に悪影響を及ばさない予防策のためか制約や取り決めが多くてプロデューサーの自由な発想で企画を進めることができない。申請自体も面倒だと思う。そういった細かい部分は、お金を受け取るプロデューサーを信頼できればまったく不要だと思う。

日本ではまだ人ではなくて肩書きや状況でしか判断していないと感じる。ヨーロッパの行政のほうが、生まれた時からアートや音楽にいろいろ触れる機会が多いため、人を信じて行政が協力をしている。だから、最初にお話した「メールス・ニュー・ジャズ・フェスティバル」も、メーレス市はお金だすけど、口は出さないそうです。それはプロデューサーを信じているからなんです。

ヨーロッパのちいさな町に日本のミュージャンがツアーをすると、そこにはたしかなプロデューサーがいる。その人は行政から信頼されてサポートを受けている。そういう町がたくさんあるから、しっかりとしたツアーができる。立派なコンサート設備があるとか、ないとかではないんですよ。一番大切なのは人。北海道なら釧路のthis isの小林さん、 苫小牧ならアミダ様の田中ツルさんたちのような熱い人がいればライブはできるんです。行政の人にもっとアートに興味や関心があれば、もっと変わっていくとは思いますね。

●札幌ビエンナーレ・プレ

札幌ビエンナーレ・プレ協力のお話をいただいて、個人ではできないことが、できるかもしれないと思いました。大友良英水戸芸術館「アンサンブルズ」展(昨年秋から今年1月)をやるのを見て、美術館で実験的な音の展示(サウンドインスタレーション)やライブパフォーマンスをやることに興味があった。それに札幌という都市ではひとつのジャンルだけに絞って集客するのは難しい。ビエンナーレ・プレのアートあり、音楽あり、パフォーマンスありといういろいろな表現を集めるのは、多くのお客さんが来る可能性が広がって、素晴らしい思います。

私は楽しいことや豊かな生き方はすべて人のつながりから生まれると思います。行政も、アーティストもプロデューサーも、もっと人としてつながれば豊かな表現活動ができるんじゃないかな。

Text&Photo by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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(初日)11.04.02-04.10 「札幌ビエンナーレ・プレ企画2011 美術館が消える9日間」

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「札幌ビエンナーレ・プレ企画 2011

—アートから出て、アートに出よ。― 美術館が消える9日間」

会 場:北海道立近代美術館 
会 期: 2011年4月2日(土)- 4月10日(日)休館日:4月3日(月)
開館時間: 9:30〜17:00(入館は16:30まで)

入場料:一般1000円、学生600円、 小中生、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方は無料
団体は10名以上
チケット販売:道新プレイガイド、大丸プレイガイド、4プラプレイガイド
主催:札幌ビエンナーレ・プレ企画 実行委員会
http://www.sapporo-biennale.jp/

【出品アーティスト】

石倉 美萌菜 / 磯崎 道佳 /伊東 篤宏/伊藤 隆介/梅田哲也/金子 良(のびアニキ)/黒田晃弘/contact Gonzo/鈴木 涼子/高橋 幾郎/トーチカ/初音“スクラッチ”ミク/結城幸司

● ついにはじまった札幌ビエンナーレ・プレ初日レポ。

4月2日(土)朝、窓から外をみると雪が降っていてびっくりしました。外出するのに冬のコートを着ようかと思ったり。午前9:30分ころには外出する理由があったのです。それは、本日からスタートする札幌ビエンナーレ・プレを観に行くためです。外出する時間にはちょうど雪は降っていない感じでした。それなら、春物のジャケットに一応、帽子を持って会場である北海道近代美術館に行くことにしました。

美術館の前に到着すると上の写真のとおり、サインボードがありました。白いバックのデザインがまだ雪の残る札幌にマッチした感じです。会場にはほぼ開館直後に入ることができました。初日だけあって、実行委員やアーティストの方等の関係者がたくさん来ていました。エントランスには実行委員の方々、展示室内にアーティストが作品のチェック?をしているのもみかけました。

展示空間は暗幕によって、いくつかのエリアに分けられていて、同時にいくつかの展示会に来ているようで得した気分になれます。暗幕を越えるごとに次の空間には何があるのかな?という楽しみでもあるし、暗幕によって分岐するところもあるので、一度戻ったりすると、方向がわからなくなって迷うのもそれはそれでおもしろい。展示場の出口をでると、関係者やアーティストがいたるところ立って打ち合わせをしてるのをみかけました。

取材でいろいろ展示の写真を撮らせていただきましたが、これから行く人も多いのでここで紹介すると楽しみ半減かと思います。会期終了後にあらためてレポートを書く予定もあるので、以下ほんの少し紹介します。あえて作家名も紹介しないようにしますね。行ってからのお楽しみです!4月10日までなのでお見逃しなく。

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▲ エントランス付近。入ってすぐにただごとではない雰囲気があります。

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▲ これも作家と作品です。作家がいて成立する作品。

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▲ 個人的に好きな作品。クールでインタラクティブ。 

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▲これからのアートは参加型がたいせつかな、とふと考えました。

Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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Sapporo biennale-pre Artist Interview "Tochka"

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札幌ビエンナーレ・プレ招聘アーティストインタビュー
トーチカTochka)
ナガタタケシ&モンノカヅエ

札幌発の国際美術展を開催する試み札幌ビエンナーレ・プレ。それがいよいよ2011年4月2日(土)から同月10日(日)まで北海道立近代美術館にて開催される。道外招聘アーティストの中には早めに札幌入りして制作を行っているアーティストもいる。

ナガタタケシ&モンノカヅエのユニットトーチカTochka)もそのひとつ。3月27日(日)夜より来札して制作を進めている。その合間におこなわれた歓迎会の席にてトーチカの表現と今回の展示についてお話を聞いてみた。

2人はソフトな印象でわかりやすくトーチカの成り立ちや表現について話してくれた。話を通してアートのおもしろさやアートによるコミニュケーションのチカラ伝えたい、という想いを2人より感じた。ぜひ彼らの展示を観に行って欲しい。

Interview With ナガタタケシ&モンノカヅエ

●"PiKA PiKA"という表現とそれの生い立ち

------札幌には2日ほど前に来られたそうですね。週末の札幌ビエンナーレ・プレの開催のための制作をしている最中でしょうか?

ナガタタケシ:(以下N)札幌に来てからずっと制作をしてますね。今回は展示とオープニングパーティでのパフォーマンスとワークショップもあるのでやることは多いです。それぞれ準備は違うものなので。

------早速本題ですが「PiKA PiKA」についての説明とその成り立ちを教えていただけますか?  

僕たちのアート活動は、いろいろな人が参加してもらうワークショップを通して作品を作るスタイルをとっています。作品ごとに何十人、何百人という人がかかわります。「PiKA PiKA」は光をつかってみんなで落書きをやっていく表現です。これは言葉や文化や宗教を越えてコミニュケーションをとることが可能で実際、外国でもおこなっています。

モンノカヅエ:(以下M)「PiKA PiKA」は国に関係なくみんな楽しんでもらっています。この国だから、という反応はないような気がします。私たちは難しい英語はしゃべれませんが、それでも「PiKA PiKA」を通してコミニュケーションがとれるのです。

N:はじめたキッカケは神戸で子供も大人も対象にしたワークショップをやることになったときですね。それまでは子供むけにしかやっていなくて。

M:夏休みの企画だよね。2005年ですね。

N:夜にもやるものだったので、光で絵を描けないかなと思いました。僕は大学で実験映像を専攻していたので技法は知っていました。それを使ってみんなで共有できるアート表現ができないかな、と考えたのが夜にペンライトで空中に絵を描く表現「PiKA PiKA」です。実際やってみると、思ったより身体を動かすし、子供は原理がわからなくても、光をふりまわすのを楽しんだり、同時に大人も楽しめるのがわかった。そして、できた映像もおもしろかった。これは続けていこうと思って現在にいたります。

作品のつくりかたはいろいろありますが、ワークショップの場合は3〜4人でチームを作って、まず4コママンガを描きましょう、と教えて、紙にどんな話をつくりたいのかイメージを膨らませてもらいます。そして絵コンテを描いて、実際に描く分担を決めていきます。10秒間の中で一枚の作品を完成させるので、その点も打ち合せしていきます。でも、まったく即興でやることもあります。

M:クリエイティヴ系の仕事をしている人と一緒にやる時は、みんな好きにやっていいよ〜という感じです。

N:今お話したとおりワークショップから始まったプロジェクトですが、そのもとのようなことがあります。それは僕達が東京でテレビ向けのアニメーションやミュージックビデオを作る映像制作の仕事をしていて、その日々の中でだんだんストレスを感じていました。

M:納期があって、それまでに仕事をする。それは当たり前なのですけど「描きたい!」じゃなくて「納期があるからやらなきゃ」という感じになっていて…

N:この業界で働いている人はもともと、絵を描くこととかが好きでそれを仕事にしたのに、どこかで疲弊しているのを感じていました。クリエイティブの本当のおもしろさを思い出そうよ、ということで東京の同じような仕事をしている人や海外の知り合いにも声をかけてバーベキューを企画して飲んで食べて、そして「PiKA PiKA」のようなことをやって交流することをはじめたのです。

M:最初の1年はよくやってましたね。

N:交流のためのツールとして使って、そこでできたものをYouTubeで流したり。

M:ホント、お金がなかったから生まれた企画なんです(笑)。東京だと飲みに行ったら一回5〜6千円かかりますよね。飲んで働いて、飲んで働いてという感じになって。循環が悪いというか。それならコンビニでなんか買って、夜に公園とかで遊べることがないかな、というところから始まって。クリエイティブ系の人は夜元気ですし(笑)。楽しさが伝わる表現っていいなぁと思います。

N:根本にあるのが、アートや、クリエイティブのレクリエーションやリハビリテーションという発送です。創る楽しさや、子供心を引き戻していく場を作るというのがぼくらの使命だと思っいてます。

M:「ラクガキ」におもしろさを感じていて「PiKA PiKA」にはそういった表現の提案というのもあります。あと外でできるのもポイント。みんな外で遊ぼうよ!という想いもあります。

●今回の展示について

ーーー次に今回の展示について教えていただけますか?

M:今回の札幌での展示は今までお話したこととはまったく違う感じになります。

N:3月12日の東北地方太平洋沖地震の震災を受けた方々のために僕達はプロジェクト「きみでいて ぶじでいて × Safe And Sound Project」に取り組みました。それを今回の展示にしたいと思ってます。内容を説明するとユニクロのCMなどを手がける第一線で活躍する映像作家、CM監督である関根光才さんとのコラボレーション企画です。はじまりは関根さんのお知り合いであるサウンドクリエイターの菅野よう子さんから、関根さんにこの震災ために菅野さんが作った曲でなにか一緒にできないかという話があって、関根さんから僕達に話があって、関根さんと僕達で世界に被災地にむけたメッセージを募集して、それを発表するプロジェクトをやろうと。被災の日から一週間以内に。

僕達がなにか作品を作るのではなくて「PiKA PiKA」のやりかたをみなさんにお知らせして、それで被災地にむけたメッセージを入れた作品を作ってもらう。関根さんは写真を募集しました。それを素材にして最終的には菅野さんの音楽をつけたミュージックビデオすることにしました。ウェブサイトで募集して、被災地にむけてのメッセージを2日間だけ英語と日本語で募集しました。すると700枚くらいのメッセージが集まりました。それを今回、展示する予定なんです。

M:自分たちは募集や編集しただけで、作品自体は世界中の方々が描いてくれたメッセージなんです。こういった活動は阪神淡路大震災の時からおこなっていて、被災を受けた人にどうすればみんなの気持ちが癒えるのかなと考えました。義援金の寄付はもちろん大切なもだけど、お金やモノだけでは足りない気がしたのです。被災を受けた方々の気持ちを照らすような作品を集めて紹介したいと思っていました。

ーーー「気持」というのは大切ですね。最後にひとことおねがいできますか。

今回は制作して一週間で帰る予定なのですが、本来、僕らはひとつの場所に半年や1年をかけて作品を作るスタイルなんです。昨年は2年かけて愛知で作品を作りました。その前は1年近く金沢で。近々は九州に行く予定もあります。そういった制作場所のひとつとして、札幌、北海道で将来やりたいですね。今回の展示でここに来たのがその足がかりになればと思っています。

★トーチカのさまざまなアート活動はYouTubeで観ることができます。  

Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)  

 


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札幌ビエンナーレ・プレ企画 実行委員インタビュー007柴田 尚(しばた・ひさし)

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札幌ビエンナーレ・プレ企画実行委員インタビュー007
実行委員:柴田 尚(しばた・ひさし)

札幌初の国際的な芸術祭「札幌ビエンナーレ」を2014年開催実現のために有志による「札幌ビエンナーレ・プレ企画実行委員会」が結成され、第一弾として、今年4月に北海道立近代美術館にて「美術館が消える9日間」4/2-4/10)展覧会が開催される予定だ。

今回は実行委員の柴田尚に話を聞いてみた。柴田尚は20年以上前から、札幌の現代美術シーンのさまざまな企画に関係し、10年ほど前からS-AIRというアーティスト・イン・レジデンス事業(2005年よりNPO法人化)を行っており、その代表を務めている。これは、海外からアーティストを招聘・滞在させて作品を制作してもらうアート事業。自らを「自分は民宿のオヤジみたいなものですよ」と語るが、そのアートに対する知識は深く現場の感覚にも詳しい。今、なぜ国際美術展なのか、そして札幌での目指すべき方向性、4月の近美での担当企画について話を聞いてみた。

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『僕は北海道の売りは、食、温泉、人や風土だと思っていますから。東京では絶対できないことをする、ここを訪れる人に北海道まで来て観たいものをイメージして企画を考えるのが大事だと思う。』
Interview with Hisashi Shibata

国際美術展とは基本は国内外から作家を呼んで開催する大規模な美術展といえます。内容はいろいろですけどね。2年ごとに開催するのをビエンナーレ、3年ごとならトリエンナーレと呼ばれます。もっと長いスパンのものもあります。今、景気は低迷していますが、国内の国際美術展は増えている僕のようなオヤジの美術関係者には国際美術展は夢でね。日本では以前、日本国際美術展というのがあって、それが「東京ビエンナーレ」と呼ばれるようになった。1970年、第10回展「人間と物質」がピークで話題になったけど、結局続かなかった。国際美術展ではその後、韓国や中国などでも行われるようになり、他のアジア諸国に遅れを取るようになったのです。それを知っている世代が今の国内の国際美術展情熱を持って取り組んでいる場合が多い。だから、景気は関係なくて日本の美術史の流れで盛んになっていると思う。それに今は美術界が経済界と同じ土俵で話せるようになった。それは芸術文化も産業になってきて、企業も国際美術展に注目してお金を出すようになっている。

れから国際美術展をやるには「やり方」がものすごく重要になる。僕はここ10年の芸術・文化全般にかかるテーマはコミュニティとコミュニュケーションだと思う。その両方にまたがるインターネット上のツールとしてSNSとかツイッターがある。

今、地域とアートを考えると、現在はものすご細かい場所(地域)でアートができるようになってきた。昔はアートシーンとは都市のものだったけど、今は美術館のなかった島でも美術展ができて、そこには個性的なアートシーンが可能になった。僕はそれを「アートシーンの毛細血管化」といっている。札幌は10年前まで「地方の一地域」だったけど今は「大都市」として見られている。美術館はたくさんあるし、ICCのようなクリエイティヴ施設や、ほか文化施設もたくさんある。アートのイベントをやるなら「地域」発信というスタイルではなくて、そこからもう一段上のハードルを目指すべきだと思う。

北海道で国際美術展を開催するコンセプトとしては、なるべく幅はあったほうがいい。経済はもちろん教育、文化、福祉も独自の感じで混ざればおもしろい。北海道は札幌という大都市があって、そこから広大な自然につながっている、という世界にも誇れる絶妙なバランスがある。それが一番の売りになると思う。道内の広域に目をむけて市町村も結べる企画ができればいい。僕は北海道の売りは、食、温泉、人や風土だと思っていますから。東京では絶対できないことをする、ここを訪れる人に北海道まで来て観たいものをイメージして企画を考えるのが大事だと思う。おいしい食べ物、雪とかランドアートなどの自然をね。

4月の近美で僕が制作するアート企画を紹介すると、ひとつがワークショップの「観光大使はアーティスト」。これはコンテンポラリーダンサーの木野彩子と映像作家の石田勝也が道内を日帰り旅行をして、その過程で制作した映像スケッチ作品を最終日のシンポジウムで紹介します。このアイデアはね、4月の近美が基本館内中心だけビエンナーレのむかう方向はもっと外に目をむけているぞ、という意味で札幌と札幌ではない道内をむすびつけるワークショップを考えました。楽しい実験だと思ってます。タイトルにある「観光」というキーワードはおもしろい。その土地に住んでいない人の視点というのは、そこに文化や経済がからみつくイメージがあってビエンナーレのコンセプトにもつながると思う。

もうひとつは、最終日に近美の講堂でおこなうシンポジウム―札幌ビエンナーレはどうあるべきか?」では、札幌ビエンナーレという大きなプロジェクトの今後の方向性が出せればいいなと思っています。ゲストとしてお呼びする加藤種男さん(アサヒビール芸術文化財団事務局長)は、国内のさまざまなアートフェスに足を運んでいらして、「創造都市」をテーマに掲げる横浜市の文化行政にも関わった方。札幌市も同じテーマに取り組んでいるから、参考になる部分はとてもあると思う。」 
Text&Photo by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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11.04.03 MAGNETフォーラム

【札幌ビエンナーレ・プレ 連携企画】
Free Paper MAGNET主催フォーラム
「札幌というまちを編集する」
〜「まちづくり」は「まちをデザイン/アートすること」

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明日4/3(日)開催です!(詳細は以下にあります)
メール予約終了しました(会場定員に達しました)。

▼ 参加者へのおしらせ

来ていただいた順に会場に入っていただくので、メール予約済みの方もできれば早めの13:30分開場にあわせて受付いただければと思います。受付をやってくれるのは札幌のデザインユニットFutaba.の2人です。とっても豪華な受付です。おふたりとお話をするチャンスもあります(お話するのは受付時ではないフォーラムの終わった後あたりでおねがします…)。

14時のスタートまで少し時間があるかもしれませんが、それまでの時間が少しは退屈しなような僕と渡辺さんが作ったマグネットの最新号「函館の観察点」という函館をテーマにした小冊子を差し上げます。そして、あなたなりの「まちの編集」について考えていただければ。

また、フォーラムの中でゲストの加賀城くんによスケルツォのミニミニ・パフォーマンスも予定されてます。どのダイミングかお楽しみに。

終了は16時30分くらいを予定してます。
みなさん楽しみしてくださいね。

あと1Fの特別展示室で札幌ビエンナーレ・プレの展示もやっているので、別途料金はかかりますが、ぜひ観ていただけければと思います。本フォーラム後だともう美術館の閉館時間になってしまうので、フォーラムの前に観に行くのがいいかと思います。よろしくおねがいします。
(2011/4/2)

▼ フォーラム詳細

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日 時:2011年4月3日(日)14時より
2時間程度(13:30開場)

会 場:
北海道立近代美術館 2階映像室

料 金:メール予約  700円・当日1,000円 ※入場者50名限定
進 行 :石川 伸一 / 渡辺 保史 
ゲスト:
後藤 一也(UHBディレクター)・ 猪熊 梨恵(札幌オオドオリ大学学長加賀城 匡貴(スケルツォ
お問い合わせ:qzj12432@nifty.com

●メール予約で割引入場できます。


事前メール予約で700円で入場できます。以下のメールアドレスに「4/3フォーラム希望」という題名でお名前をお知らせください。ひとつのメールで複数人申し込んでもらってもいいですよ。全員のお名前をお知らせください。


 

ツイッターで意見募集中! http://twitter.com/#search?q=%23403MAG
関連コラムhttp://numero.txt-nifty.com/blog/cat22608082/index.html

● フォーラムの内容

主催者は編集やライターの活動をしています。その得意分野である「編集」という観点から「まちづくり」をデザイン、アートという観点で考えていきます。

「まちづくり」に 興味のある方、 これから関わりたい方、もう関わっている方、この札幌でなにか新しい活動をしたい方…にヒントになる内容にしていきたいです。ぜひお越し下さい。本企画は札幌ビエンナーレ・プレ連携フォーラムです。
(石川 伸一MAGNET編集長 / ニュメロデュー)

 
Ps.この日まで考えることはBlogやTwitterにアップしていきたいと思ってます。
http://numerodeux.jp.org  / http://twitter.com/numeroo

 ● 進行者プロフィール

フリーペーパー「マグネット」
2002年に創刊。札幌より発行しているアート・カルチャー系フリーペーパー。高橋幸宏(YMO),原田知世,テイ・トウワ等のアーティストの取材記事から、2008年には札幌市が主催したクリエイターの世界会議「アイサミット」の広報、2009年~2010年は北海道舞台塾の公演パンフレットも制作。発行人は石川伸一・アートディレクターは菊池信悟(rocketdesign)。
http://numerodeux.jp.org
/ http://twitter.com/numeroo

渡辺 保史
1965年生・函館出身。nextdesign.workshop主宰/北海道大学CoSTEP客員准教授/同大学院環境科学院GCOEプログラム上級コーディネーター。活動分野は情報デザイン、科学技術コミュニケーション、ワークショップ。札幌オオドオリ大学、札幌CGM都市宣言、サイエンスサポート函館にも関与。ライターでもある。http://twitter.com/nextdesign


● ゲストプロフィール

後藤 一也(UHBディレクター)
北海道文化放送(UHB) 制作部(四月から「U型テレビ」編集長として総合演出担当)。1970年音更町生まれ。北海道大学経済学部卒。報道部記者、ディレクターを経て、ドキュメンタリーを制作。「ある出所者の軌跡~浅草レッサーパンダ事件の深層」(2005年)でギャラクシー賞、放送文化基金賞など受賞。「石炭奇想曲」(2007年)で日本民間放送連盟賞最優秀賞、ギャラクシー賞など受賞。 「雨はすべてを洗い流す」(2010年)で「地方の時代」映像祭優秀賞など受賞。フジテレビドラマ「風のガーデン」に助監督として参加。共著に「シリーズ日本のドキュメンタリー3」(岩波書店)
http://uhb.jp/ugata/



猪熊 梨恵(札幌オオドオリ大学学長)
1985年札幌市生まれ。札幌市立高等専門学校インダストリアルデザイン学科建築デザインコースを卒業後、同専攻科に入学。2008年春修了。学生の頃から、狸小路をステージとした移動型アートパフォーマンス”コン・プラ”をはじめ、北海道内の学生作品展”STEP”の初代実行委員として活動。卒業後、2008年春から株式会社インプロバイドに所属し、クリエイターと企業をつなげるウェブマガジンmosslink・age(モスリンケージ)などを担当し、企業や札幌のクリエイターへのインタビュー情報を配信。2009年9月に退社後、札幌オオドオリ大学学長として奮闘中。
http://odori.univnet.jp/


加賀城 匡貴(スケルツォ)

パフォーマー。ステージ+映像で「笑い」を表現する。1999年、『scherzo(スケルツォ)』第1回公演(札幌)。2005年、全国ツアー。06年、Zepp 公演(札幌)。09年、チェコ・プラハ日本人学校で、ワークショップ『脳トレ!ツアーin チェコ』。10年、『ものの見方が変わる公演』(札幌、東京)など。著書に、学校図書『脳トレ!パッとブック』(全4巻/教育画劇)。
http://www.scherzosketch.com/

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札幌ビエンナーレ・プレ企画 実行委員インタビュー006木野哲也(きの・てつや)

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札幌ビエンナーレ・プレ企画実行委員インタビュー006
実行委員:木野 哲也(きの・てつや)

 札幌初の国際的な芸術祭「札幌ビエンナーレ」を2014年開催実現のために有志による「札幌ビエンナーレ・プレ企画実行委員会」が結成され、第一弾として、今年4月に北海道立近代美術館で9日間(4/2-4/10)展覧会が開催される予定だ。今回は企画実行委員の木野哲也に話しを聞いた。

彼は札幌ビエンナーレ・プレの共催企画として札幌パルコ新館にて3月16日より開催されるアート展 「THE BEGINNING −Exhibition of Hybrid Generation」のキュレーターのひとりでもある。

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『僕は結局、札幌、北海道のアートシーンにとって、一番いいことは多くのクリエイターがそれで食べていけることで、それができる街だと思っている。』
Interview with Tetsuya Kino 

「僕はプレ企画実行委員をしてます。札幌でいろいろな音楽、アート関係のプロデュースをしていて、代表的な活動としては「マジカルキャンプ」という野外芸術祭の制作もしている。自分と表現の関係を考えてみると、最初はその中心は音楽だった。高校の頃から自分もバンドをやっていて、企画ということばを知らないうちから、音楽を通して人の集まる場をつくる、ということをやってきた。でも、個人的には音楽以外の演劇とかダンスやトークのイベントに行ったりするのも好きで、こぐま座の人形劇を観て感動したり、泣いたりもする(笑)。ここ3~4年くらいは演劇のおもしろさに気がついたり影響されたり。

人間がメシを食ったり寝たりする日常以外で、精を出してなにかを表現する場が好きなんでしょうね。だから、表現ならすべてのジャンルに興味がある。アートについては1999年ぐらいから興味が出てきて、自分のプロデュースする音楽イベントに演出としてライブペントをやってもらったりして、それが空間に良いスパイスとなって更に興味が出てきたし、アーティストの仲間もできていった。その積み重ねとして、今回のパルコの新館で、札幌ビエンナーレ・プレ企画との共催企画ができたのはとても嬉しい。この企画は僕と、ファンの蔦(洋平)さん、(ドゥヴィーニュ)仁央さん、トオンカフェの中村(一典)で作っていった。

札幌パルコとつながりができたのは本当に偶然。フライヤー配りで、あるバーに行ったとき、そのお店のスタッフが常連のお客さんを紹介してくれた。それが札幌パルコの社員の方たちでそこでつながりができた。そこから、パルコの営業のライブイベントをコ-ディネートした。そして、今回パルコの新館の空きスペースをなにかに使ってみないか?という話をいただき、今回のチームからも別ルートでそんな話があって、それなら札幌ビエンナーレ・プレ企画で使うべきだと僕は思った。

なぜかというと、僕は美術館以外の場所でアート展をやることに凄く興味があった。街の中心部にアート展がポップアップで登場して、一定期間やってフッとなくなる感じの企画をやりたかった。それは今回のビエンナーレ・プレ企画のテーマのひとつである、いかに美術ファン以外の人にPRするのかというテーマにも合っている。まさに札幌の中心地にあるパルコでできることは凄く良いきっかけになると思った。

今回のコンセプトとして、会場がファッションビルの中だから入場を無料にして、わかりやすいアートの入口としての内容にしたかった。作家については僕たちが道内で期待できるアーティストを20人集めた。この人選は中村の力が大きいと思う。彼はギャラリーカフェをやっていて、若者からベテランまでアーティストとのつながりを持っている。本展では展示のほかにトークショーを予定していて、現代美術コレクターの宮津大輔さん、札幌市立大学デザイン学部教授の武邑光裕さんをお招きする。本企画は札幌ビエンナーレ・プレ企画との共催になったので、プレ企画の一発目といったらおこがましいけど、近代美術館へ向かう勢いある助走になっていくと、とっても嬉しいな。

僕は結局、札幌、北海道のアートシーンにとって、一番いいことは多くのクリエイターがそれで食べていけることで、それができる街だと思っている。僕はこれからも今世界に目をむけている20代、30代のアーティストをよりスパイシーなやりかたで、メジャーとアンダーグランド、パブリックとインディペンデントをつなげて、もっと実績を積んで説得力のあるプロデュースができればいいなと思う。」 

Text&Photo by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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プロポーザル一般募集中(3月25日まで!)(延期)

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札幌ビエンナーレ・プレ企画2011
「プロポーザル国際コンペティション作品募集」
※3月13日(日)記事修正→ 応募期間を「3月25日」までに延期しました。

▼ あなたの北海道、札幌を舞台にしたアートの
 アイディアを募集します。


応募内容:

「プロポーザル」とは「提案」「企画」のことです。
提案書、企画書の募集となります。

テーマは
「北海道、札幌で、あなたなら、どんなアートをしますか?」

自由な発想で、北海道を舞台にしたアート表現のアイディアを
応募してください!!

応募資格:

未発表のオリジナル作品であれば、個人、グループ、年齢、国籍
は問いません。アート関係者でなくても大丈夫です。 

応募期間2011年2月15日(火) ~ 3月25日(金) 24時必着

賞:

<入選作品>
→ プロポーザルを 「札幌ビエンナーレ・プレ企画 2011」公式サイト上にて公開

<大賞作品>
→1名又は1組 「札幌ビエンナーレ 2014」で実施


詳細や具体的な応募方法は以下をごらんください。
http://www.sapporo-biennale.jp/?page_id=653

 

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札幌ビエンナーレ・プレ企画 実行委員インタビュー005 西川 吉武(にしかわ・よしたけ)

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札幌ビエンナーレ・プレ企画実行委員インタビュー005
事務局長:西川 吉武(にしかわ・よしたけ)

 札幌初の国際的な芸術祭「札幌ビエンナーレ」を2014年開催実現のために有志による「札幌ビエンナーレ・プレ企画実行委員会」が結成され、第一弾として、今年4月に北海道立近代美術館9日間(4/2-4/10)展覧会が開催される予定だ。 

 札幌初の国際的な総合芸術祭「札幌ビエンナーレ」を2014年開催実現のために有志による「札幌ビエンナーレ・プレ企画実行委員会」が結成され、第一弾として、今年4月に北海道立近代美術館で9日間(4/2-4/10)展覧会が開催される予定だ。 今回は事務局長の西川吉武に話を聞いてみた。西川は経営コンサルタント会社ビーシーコムの代表であり、札幌交響楽団公認のファンクラブ「札響くらぶ」の副会長でもある。その視点は「つながり」にあるようだ。

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『私は大平さん(実行委員長)、端さん(芸術監督)のつくる壮大なコンセプト、イメージを信じています。私が事務局長として意見させてもらうなら「市民とどうつながったのか?」ということなんです。』
Interview with Yoshitake Nishikawa

「私は事務局長をしています。自分の仕事は裏方かなと思います。ビエンナーレに関係するアーテイスト、スタッフは、カルチャーの違う人の集まりで、それぞれの価値観も違います。そういった人とのあいだをつなぐのが自分の仕事だと思っています。さらにはアーティストと市民もつなぎたい。つなぐことによって、win-win(双方有益)の関係ができて、意味のあるつながりになって、大きなうねりをつくれればいい。それがビエンナーレを成功させるポイントだと思います。その詳しいお話をしたいと思います。

なにかを変えていきたい時、つながらないとはじまらないと私は思います。つなぐことによって意味が出てくる。つながるなかで「ああ、そうか」と気がつくことがたくさん出てくる。様々な価値観を持つアーティスト、スタッフ、市民を結びつける。それによってアーティストや市民の変化が起きることも狙いです。

札幌ビエンナーレは、ただ観せる、観るで終わる行為ではないと考えています。どうすればアーティスト、市民、産業界がつながるのか、その結果として新しい価値観を創造できるのか、それを検証していきたいし、プレ企画では私は完全版を出す必要はないと思います。プレ企画は検証の場で、どうあるべき姿に持っていくかということなんです。経済につながる動きが出たり、食や観光と結びつく可能性が出てきます。人が動いて新しい価値観ができることによって、市民が「こんな世界もあるんだ」という反応が生まれ、市民が新しい考えや感覚を持って活性化したり、ビジネスのアイディアになるかもしれない。それが本質のひとつだと思う。それが私が描く札幌ビエンナーレのありかたです。

私は札幌ビエンナーレはひとつのプラットフォームだと考えています。そこになにかがのっかると、いろいろなつながりができる特性があるといい。そのためには支えるスタッフがしっかりしているのが重要だと思う。

最後、私が一番大事だと思うのは市民が応援してくれる土台をどれだけ作れるかということなんです。私は大平さん(実行委員長)、端さん(芸術監督)のつくる壮大なコンセプト、イメージを信じています。ただ、私が事務局長として意見させてもらうなら「市民とどうつながったのか?」ということなんです。市民につながるには打ち上げ花火じゃいけない。続かないといけない。続くことは市民に支持されてるのと同義語です。市民の支持があってはじめて札幌ビエンナーレのコンセプトが生きる。その支持を積み重ねていって札幌が創造都市となることにつながると思うのです。
Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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札幌ビエンナーレ・プレ企画 実行委員インタビュー004 山本 謙一 (やまもと・けんいち)

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札幌ビエンナーレ・プレ企画実行委員インタビュー004
運営委員長:山本 謙一(やまもと・けんいち)

 札幌初の国際的な芸術祭「札幌ビエンナーレ」を2014年開催実現のために有志による「札幌ビエンナーレ・プレ企画実行委員会」が結成され、第一弾として、今年4月に北海道立近代美術館で9日間(4/2-4/10)展覧会が開催される予定だ。 

 今回は運営委員長の山本 謙一(建築家/アウラ・アソシエーツ都市建築設計所長)にお話を聞いてみた。山本は海外からアーティストを招聘・滞在させて作品を制作してもらうアート事業を行っているS-AIRの元代表、現在は理事として見守っている立場で、その視点はビエンナーレにおける「ひとづくり」「まちづくり」にあるようだ。

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『札幌ビエンナーレは展示表現とそれを可能にする「持続性のあるクリエイティブなまちづくり」=「創造的なひとづくり」という地域目的で進めるべきだと思う』Interview with Kenichi Yamamoto

 

「私は運営委員長をしています。自分の仕事は本祭まで目を向けてどうアウトラインを作っていくか、札幌ビエンナーレを次世代の人間を育てる孵化器として機能させることを考えています。あと商工会議所等の関連活動も行っているので、そこと美術界をつなぎあわせるという役割もあると思います。

アートNPO法人S-AIRにおける10年の事業40か国のアーティストを招聘して作品制作と展示をしてもらいました。 そこでは限られた中でメデイアコンテンツ、食、観光、教育、医療福祉分野等とアートに関して、地域の生活芸術文化にどんな可能性があるのか官学民のコラボレーションを通じて国際市民交流のまちづくりをエクササイズしてきました。その経験と感触から、この札幌にはこうした事業を担う人的潜在力育ってきており、より充実した広がりのあるこの活動に関しては、意欲的な明日を担うスタッフに育成の場として、おまかせしたいと思っています。

ビエンナーレは本祭を2014年に想定しています。すると、今一番に考えるべきは中期計画の視点です。具体的にそれはチーフ・スタッフの育成だと私は思うのです。20代〜30代の人に力をつけてもらって、彼らの時代を作る足がかりをつくりたい。ひとづくりができれば良いアウトプットにもつながります。そして、それを更に次世代につないでいくというシステム構築の場でもありたいですね。その意味で志と視野を広げるお手伝いができればと思っています。

企画である程度成果を出すというのは確かに重要ですが、人材も予算も限られている為、無理をして、人が燃え尽きたり、経理が赤字になって持続性が無くなるのを私は一番心配をしています。プレ企画は規模の大きさを一番に求めるのではなくて、しっかりとした世界的な通時性と共時性、そして新たな地域性の予感を醸成したコンセプトワークを編出し、そしてここが重要ですが、それを共有、展開、そして浸透できるようキッチリすべきだと思います。そんな風に展示表現のコンセプトを小規模でもいいから語れる、そんな可能性のカタマリを表現してゆくことをめざすといいですね。

ビエンナーレの目的にはまちづくりも重要な位置づけとなります。まちづくりはひとづくり。それが札幌市のかかげる「創造都市」というテーマにもつながっていく。創造的なひとを作って創造的な場を作る。もちろん経済社会活動においてもより創造的な経済人や市民をより多く輩出してゆける地域を目指すべきです。それには持続性が必要となる。

従って、札幌ビエンナーレは2年一度やる美術展ですから、展示表現とそれを可能にする「持続性のあるクリエイティブなまちづくり」=「創造的なひとづくり」という地域目的で進めるべきだと思う。地球市民として絶えず世界最新動向を現場から嗅ぎ取る事ができ、そこから地域を見つめ、地域資源を国際交流互恵関係であらゆる分野へ繋ぎ、魅力発信し、そして常に見直し検証する、そんなプラットフォームとしてのひとづくり活動がビエンナーレ活動の本質の一つだと思ってます。」

Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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