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札幌ビエンナーレ・プレ企画実行委員 インタビュー002大平 具彦(おおひら・ともひこ)

Ohirat

札幌ビエンナーレ・プレ企画
実行委員インタビュー002
プレ企画実行委員長:大平 具彦(おおひら・ともひこ)

札幌初の国際的な芸術祭「札幌ビエンナーレ」を2014年開催実現のために有志による「札幌ビエンナーレ・プレ企画実行委員会」が結成され、第一弾として、今年4月に北海道立近代美術館で9日間(4/2-4/10)展覧会が開催される予定だ。

前回、美術監督である端 聡に話を聞いて出展作家の選定が進んでいることがわかった。今回は実行委員長の大平 具彦(北海道大学名誉教授)に札幌ビエンナーレのコンセプトについて話を聞いてみた。その内容から札幌ビエンナーレは単なる国際美術展ではなく北海道の経済にも深く結びついた、この地に大きな創造力をもたらす可能性のある出来事だということがわかる。



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『アートがアートという枠組みそのものから出て、社会環境や経済活動の中にまで入り込み、その血管となってゆくということですね。』
Interview with Tomohiko Ohira

「札幌ビエンナーレは、めざす本開催は少し先で、先ず「プレ企画」から始まるのですが、考え方やテーマは、実は大変アンビシャスです。それは、札幌ビエンナーレのコンセプトである「アートから出て、アートに出よ」という言葉に凝縮されています。私自身とても気に入っているのですよ。

ひとつは、アートは人間の脳の創造的インフラだという認識です。これまでは日常感覚的にも文化制度的にも、芸術とは衣食住が足りてたしなむ高尚なもの、何か特別の才能を持った人が表現する独特の世界として考えられてきたのですが、そんな風に狭く限られるようなものではなく、私たちの生き方やスタイル、知覚や脳の働きの構成成分そのものだととらえられるようになってきたのではないかと思います。そうでなければ、日本も含め世界中でこんなに多くの芸術祭やビエンナーレが開催されるはずはありません。何か大きな地殻変動のようなものが起きている気がします。おう、ならばシガラミのないこの札幌で、その輪郭を太く描いて、芸術そのものを再起動させてみようではないか、それが「アートから出て、アートに出よ」という言葉の一つ目の意味です。その最初の試みが4月の道立近代美術館での展覧会。楽しみにしていて下さい。

でも、そのようにつくられたアートも、実際に社会的に流通しなければ、従来までのままです。今、世界の色々な都市で「創造都市」が大きな潮流になっていて、札幌も「創造都市宣言」をしています。アートが持つ創造的な価値を生かして、アート自体が製品を新たに開発してゆく創造産業を立ち上げ、それを通して都市環境を豊かにしてゆく、そうした考え方です。アートがアートという枠組みそのものから出て、社会環境や経済活動の中にまで入り込み、その血管となってゆくということですね。これが「アートから出て、アートに出よ」という言葉の二つ目の考え。札幌ビエンナーレはアンビシャスにそれを大きな目標に立てています。現在、実行委員会の中で、そのためにはどういう枠組みをつくり出してゆくか議論中です。4月の道立近代美術館での催しの中で、経済とアートをテーマにしたシンポジウムなどできればと考えています。美術館でアートと経済が出会う——、斬新でしょう?

私自身、芸術と文化を研究テーマに大学勤めをしてきましたが、2年前に大学(北大)を定年退職し、大学とは別のことをしたいと思い、今や札幌ビエンナーレにすっかりハマっています。やりがいのあるプロジェクトに関わることができ、とてもハッピーと思っているんですよ。」

Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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