壊滅というテーマ
FilmReview
「合衆国壊滅 / M10.5 」(2004)
世界が壊滅、というテーマの映画が好き。正確にいうと、壊滅しつつある状態ですがね。完全に壊滅しちゃうと映画にならないか。どうだろう、完全な壊滅を描いた映画。人影はなくアンビエントな光景が広がっていく。それはそれでアリだと思うがドラマがないとね。
そういえば、少し前にヒストリーチャンネルで、現代から突然に人だけいなくなったどうなる?みたいな番組があって断片的に観たけどおもしろかったなぁ。結局、人間のためのものは人がたえずメンテンナス的なことをやっているから、成立しているのがわかる。手入れがなければ、あっという間に崩壊していく。弱いものなんだとわかる。
さて、本作は、TV映画なので大作な作風を期待すると肩すかし。しかし、それは聞いた事のないタイトル。ハッタリ感満載なパッケージデザインで悟っておこうよ。逆に低予算でアメリカの壊滅という大テーマをどう演出していくかが監督の腕の見せどころ。
本作では冒頭のシーンでまずビジュアル的に力をいえて(なかなかインパクトがある)。後はドラマ中心に切り替え。そのドラマもごくごく絞って、壊滅の危機の一部分としてうまく描いているとは思う。対策チームの活躍、巻き込まれた家族の人間ドラマなど、ありきたりだけど手堅い。SFXはなくても緊迫感は画面に伝わってくる。さすがにスゲーおもしろいまではいかないけど、平日の夕食後にちょこっと楽しむ良作という感じです。