映画を考える「007 スカイフォール」(13.01.03)
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映画を考える"007 スカイフォール" (封切作品)
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※以下ストーリーの核心もふれるのでご注意ください。
「本作は最高傑作?。それは、
50周年記念のコピーの一部かな」
007シリーズは、ヒーローの普遍性と、そうでない部分を示してくれる。悪役については、あいまいだけどね。
まぁ、今回の敵役、元M16のハッカー系諜報部員というのは新味はない。ただ、そこは俳優ハビエル・バルデムの魅力で最後まで見せてくれるし、歪んだMへの想い、ボンドにもつながる諜報部員の宿命というテーマも見えるので、薄っぺらくはなっていない。
007において現代の敵役の不在、というのは問題。近作では「麻薬王」とかあったけど、それは007の宿敵にはイメージが違う気がする。僕はいっそのこと今のリアル路線で過去シリーズの「スペクター」のような絶対悪の組織が登場すると、おもしろい。いいアイディアなのでは。現代のリアルな継続的「絶対悪集団」を描く方法はあるかと思う。
話を「スカイフォール」に戻そう。冒頭、迫力のアクションシーンからボンドの死?というフックでお客さんを惹きつけつつ、話はゆるやかになる。ボンドは大丈夫かしら?というところから、ボンドの復活、明らかになる敵の正体、スパイ不適格者ボンドというシリアスなところを少しひっぱって、お約束のパーティシーン。軍艦島から一気にいつものヒーロー007にターンするところは気持ちいい。
さらなる後半の籠城劇はビックリ。イギリス田舎でのアクションからラストの教会までの流れは、ちよっと幻想的で悪くない。だが、これが007なの?という疑問は残るけどね。
そんな変則感はありつつも、本作は50周年記念作品というところから、手堅く作っていて、冒頭のアクションシーンからお客さんの期待を裏切らない。007のキャラクターも従来のボンドぽいユーモアも持たせている。でも、ボンドガールは地味。それはそれで賛成。
総論。結局、必死に守ったMも死んでしまうのはイギリスの映画だな、という感じがした。新しいM、Q、マネーぺニーが、凄く活動的なキャラ設定の伏線があるので、次作にすごく新風を起こしてくれる予感。そこが今から楽しみ。ただ、あくまで007が個人のヒーローなんで、あんまり新しいMらとチームプレイが強くなるのは避けてほしい。スパイスな役回りをしてくれたらいいかと思った。
007シリーズは続いて欲しいと思う。
時代を考察するのに優れた資料のひとつだから。
Text by Shinichi Ishikawa(NUEMRO DEUX)