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016 塚本晋也 「バレットバレェ」

      

塚本晋也 最新監督/主演作「バレットバレェ」

    低予算で作られた「鉄男」が国内はもとよりヨーロッパでも高い評価を受けている塚本晋也。最新作「バレットバレェ」は自主で制作した最新作。札幌のシアターキノにて本作のプレミア上映時に舞台挨拶もおこなった塚本監督にニュメロデューはインタビューしてみました。

Story

    主人公は売れっ子のCMディレクターだが、ある日一緒に暮らしていた女性が拳銃自殺をしてしまう。シヨックで自暴自棄になった主人公はふとしたことから、からまれた不良グループに女性を死に追いやった拳銃で復讐しようとする。その不良グループの対立グループとの抗争、死ぬことばかり考える女の子の存在。すべての要素はラストの疾走につながっていく。意味のないバイオレンスの意味を表現する傑作。

"BULLET BALLET" site
http://www1.sphere.ne.jp/there-s/

札幌での上映館シアターキノのサイト
http://ponpoko.tanukikoji.or.jp/kino/

●「バレットバレェ」
塚本晋也 監督インタビュー

●最近は何をしていますか?

最近、DVD化の作業をしてますね。「鉄男」とか「東京フィスト」とかです

●バレットバレェを作り終えた感想は?

    感想としては…ですね、随分時間をかけて作った作品で、一番長くかかったんですよね。難産の子供が生まれて、世間と交信をはじめたという感じかな。でも、いつ終わったのも釈然としなくて、まだ終わった気もしない感じです。

    もともとは、ちっちゃい(作品の)感じで作り始めたのですが、いろいろなテーマがはいってきて、大作みたいな感じになりましたね。思い入れもありましたし。

●本作では主役から美術まで、何役もこなしていますが、最終的には自分ですべてディレクションでとりたいということですか?

    最終的、というよりも方法論の違いで、発注で引き受ける企画と、自分の個人でたちあげる企画との違いです。企業から発注される企画は締切とか制約がある訳で、そのなかで思う存分やる、という感じですね。ただ、「双生児」ですが、衣装とヘアメイク以外は、ほとんど自主で作る場合と同じなので、発注と自主で相当違う、という訳ではないです。発注の仕事だとどうしても期限があるので、プロフェッショナルなスタッフにいろいろやってもらわないと間に合いません。「バレットバレェ」の場合は自主で、期限が無いので、全部やらせていただきました。

●本作はバイオレンスなテーマを持つ作品ですが、反面、極力直接的な暴力的シーンは控えめですよね。これは意識なさったんでしょうか?

    いつもと比べると(暴力的なシーンは)少ないかもしれません。まぁ、それまでは劇画が大好きで、その世代なものですから、血しぶきが上がったり、そういうのにダイナミズムを感じたりします。ただ、「バレットバレェ」の場合はドキュメンタリータッチにしたかったので、ドキュメンタリーって意外と核心の部分が見えなかったりしますよね。そこを自分で想像するっていう部分が90年代ぽいと思います。例えば、「セブン」とか最後に凄く残酷な印象を与える訳ですが、考えてみると殺りくそのもの、というのはない。70年代のニューシネマが暴力描写を出していたとすれば、現在は「出さない」という方向に戻ったのかな、という気がします。

●ラストはハッピーエンドと感じました。

    僕もそう思います。でも、ここは二つに別れて、救いようのないラストだ、という人もいるし、珍しくハッピーエンドだね、といわれることもあります。両方当たっていると思います。まぁ、ほがらなか音楽がかかって、厭世的になっいて、死ぬことばかり考えていた女の子も、もうちよっと先延ばしにしようという感じになっているので、そういう部分はハッピーエンドだと思いますけどね。

●モノクロで撮るというのは最初からのアイディアですか

    モノクロでしか考えてなかったですね。本作のなかにも出てくる戦争(第2次世界大戦の)映像とかありますよね、ああいうイメージで(バレットバレェ)にドキュメンタリー性みたのをもたらしたかった、というのが基本にあるのです。モノクロが好き、というのもあるのですが。

●今回、ブランキー・ジエット・シティーの中村達也さんらが出演していますが、現場で雰囲気とかどうでしたか?

    もともと役者さんの演技がどうか、というよりも存在感とかに憧れて出演を頼のみます。それでも、最初はお芝居としてはどんなもんかな?と思ったりしますが、そういうものを超えた存在感によって映像にダイナミズムを感じるんで、それは今回もうかなり感じることはできました。役者の上手い方がきて、それなりにやってもらっても、そんなに喜びがないというのはありますね。それよりも、「セリフどうなっちゃうんだ、ヤバイなー」というぐらいの方々が凄くいい雰囲気になっていく感じが、醍醐味を感じます。

●金属的なものについて感じることは多いですか?

    あんまり考えていないですけど、今回拳銃も金属なんで、そういえば、そうかなーという感じはします。ただ、いつもよりは薄い感じかもしれません。でも、消えるものではないかな、という感じはします。(金属の)肉体に対して硬いもの、という凶暴な感じは鉄にしても、拳銃にしても、ありますね。でも、普段から鉄が好きで、愛撫している訳ではないです(笑)

●プライベートの楽しみは何ですか

    おおむね、本屋さんにいってますね、そこで次作のアイディアを妄想していたりしてます。本屋さんに行くとき、一番浮かぶのです。

●映画のアイディアも本からくるのですか?

    うーん、本を読むのは好きなのですけど、映画のアイディアというのが意外と読んだ本、というのからはあんまりこないかもしれませんね。それよりも、サブ・カルチャーぽい文章とか写真集とかから、共通するテーマをみつけてそれを映画のなかに使うことはあるかもしれないです。

●札幌の印象はどうですか?

    (北海道にくると)千歳空港から、まず夕張に行ってしまうんですよね。夕張映画祭がはじまった時は5年ぐらい毎年行ってまして。ただ、ここ数年は行ってなくて。考えてみると札幌はこのあいだ(札幌シアターキノでの「バレットバレェ」のプレミア上映)が、初めてかな。まだ、そんなにわからないですが、札幌という都市は東京より、広く、豊かに作っているかな、という印象はあります。東京はもうグチャグチャですから、あまり豊かさは感じないですね。

●そのグチャグチャに魅力を感じたりはしないのですが?

    いや、感じないですね。都市生活というのは嫌いではないのですが、まぁ、都市でしか暮らしたことはないのですけど。どちらかというと、整理してクリーンな都市(笑)というのがいいですね。まぁ、映像的には嫌いではないですけど、それもいいイメージではなくて反面的な使い方ですけど…例えば「ブレードランナー」の酸性雨の都市とか。状況とか良くないけど、作品としてはおもしろい。ただ、自分がそういうところに住みたくはないな、と。

●都市を描く監督ですよね?

    間違い無くそうです。でも、自然もだんだんやっていきたいと考えていますが、今まではそうですね、街を嫌いとは思っている訳でもなくて、暗いな息苦しいな、という愛情もあると思います、好きだけど嫌いという感情を都市にむけてますね。今までは、そこしかない、というのがありましたから。








   

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