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柔らかい機械

Cd DVD REVIEW
「カンダハール」( 2001年 イラン・フランス合作)

カナダに亡命したアフガニスタン人ジャーナリストのナファスは、カンダハールの妹より日食のに自殺するという手紙をもらう。彼女は妹を助けるためにアフガニスタンに戻る。アフガンへのガイドはなかなかみつからない。

結構、話題になった作品なので、タイトルは良く目にしていた。イメージ的にはイランを取り巻く政治的情勢のドキュメンタリー的な作品なのかな、と勝手に想像していた。実際観ると、イランの現状を描いた作品には違いないし、俳優もほとんど素人の当事者なのだけど、撮りかたはとってもシュールな世界が展開されていく。

緊迫感のない砂漠の中の生活、カラフルなブルカ(女性が身に付ける服で全身を含め完全に顔が隠れる)を着て砂漠を集団で歩いている光景は、SF映画のようだし、ヘリコプターで両足の義足がパラシュートで落とされる場面も、ひどく不思議な光景に思える(ごく現実のシーンのはずなのだが)。主人公はアフガニスタン人といっても、その考え方や行動は西欧ナイズされており、ドルを払い、ガイドを頼む。契約が成立すれば、その完全な履行を求める。

だが、そうやってコミニュケーションを取る相手のイラン人の対応はいい加減で、主人公と一緒に観ているほうもイライラしてくる。責任感のなさ、嘘、屁理屈。でも、そらと交互にシュールな光景を観るうちに自分の考えが揺らいでくる。西欧的な合理性、理詰めの発想は、それはベストなのだろうか。僕はベストだと思っているし、住んでいる世界もそれをベストとする。でも、なんだか自分の人生をすべて賭けるほどの価値観なのだろうか。どうも頭がフラフラしてきた。といっても、さすがに基本的な生活を変えることは難しい。だけど、表現の世界では少し頭を柔らしたいな、と思う。



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