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ダークナイトというタイトル

Dn 「ダークナイト」

 バットマンの新作。「バットマン ビギンズ」の続編。あえて、バットマンとタイトルに入れず「ダークナイト」としているのが新鮮でカッコいいし、本作を最後まで観ると、そこに強い意味があるのがわかる。

 僕はバットマンの映画というとティム・バートン監督の「バットマン2」がベスト。その立場で「バットマン ビギンズ」を観た時は少々物足りなかった。
 「ビギンズ」はそのタイトル通りバットマン誕生、というプロセスから描いている。正直、僕はあまり楽しめなかったのだけどノーラン監督がバートン監督が作ってきたバットマンのシリーズとは異なる流れを表明するには必要なことだったのだろう。

 でも、わかりづらく、面白味に欠けるアクションシーン、渡辺謙のミスマッチな印象等。バートンのバットマンを越えているとは思えなかった。でも、少なくてもバートン版とは違う世界観は確立はできていたと思う。

 違う成り立ちを見せたところで、いよいよ次作である本作「ダークナイト」は勝負の作品だったに違いない。バートン支持の僕はやっぱりバートンの「バットマン2」が良かった!と言う予定で先行上映行ってみました。

 結論からいうと、おもしろかった!バートン版とは違うけどおもしろかった。つまり、ノーランは成功した作品を作りだしたと思う。

 バートン版が、ちょっとオタク的な視点で、マイケル・キートンというヒーローにはむかないようなクセのある俳優を起用して、そこに人物のリアルさを出して成功したり、
 舞台の架空の都市「ゴッサム・シティ」も少々非現実的なファンタジー的な雰囲気で、当然そこで活躍する悪役ジョーカーはじめその手下たちも毒々しいおもちゃのようなキャラクターとなっていた。バット・モービル(バットマンの車)は、秘密機能が楽しい「夢の車」という感じだった

 対して、ノーマンの描くゴッサムシティは、僕たちの住む現代社会とほぼ同じ世界である。登場する悪役達もジョーカーをのぞけば、普通の刑事アクション映画に出てきそう悪役な顔ぶれ。そして、バッド・モービルは、現実の軍隊配備されていそうな武骨でリアルな「特殊車両」という感じを出している。

 この2人の監督の作品の「車」の扱いの違いはなかなか象徴的だと思う。

 ノーマンは「バットマン」と「ジョーカー」の存在を除いては、徹底したリアリズムで作品を描いていく。いつも、唐突に表れるバットマンは、正義の味方というより「不審人物」という感じで、市民そんなに愛されている訳でもない。その違和感は作品のテーマを意味していて、対するジョーカーも「犯罪のために犯罪を行う」いうティストレスな悪役。もう更正不可能な人物で出口なし。

 ヒリヒリした世界感は、観る側にもびっしりと伝わってきて見事なんだけど、ここまで追いつめられていると、次作はどうなるのだろうか?と心配になった。でも、130分という長さを感じさせない良作であることは間違いない。

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