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殺人について。

D5洋画★シネフィル・イマジカ                  「デカローグ第5話 ある殺人に関する物語」(1988年)

 「デカローグ」とは、ポーランドの監督、クシシュトフ・キェシロフスキによる、ワルシャワ郊外の住宅地を舞台とした旧約聖書の十戒をテーマにした1時間ほどの映画作品。全10作品ある。

 前回観た第4話がはじめてのデカローグだったもので、今回の5話が僕が観るのはふたつめの作品になる。1話から順番に観てはいないのです。シリーズ共通の舞台であるワルシャワの街も馴染んできた感じ。第4話は近親相姦のテーマがありながら、父と娘のほのぼのとしたシーンもあり、ラストの仕上がりも前向きな感じでハッピーな後味だった。

 しかし、本作はタイトルとおり「殺人」をテーマにしていて内容は暗く。重い。20歳の主人公の青年のタクシー強盗殺人は、計画的ではあるがその動機は最後までよくわからない。

 結局、人間が人を殺すという動機はどんな理由でもありえると思う。人は人を殺すことができるのだ、そこまで本作はあえて殺人の理由を語らない。それを明確に語らないことで、本作のテーマが広く「殺人」というテーマを描いているのがわかる。また、殺されるタクシー運転手が人間的に嫌な奴に描かれていて、主人公青年が見知らぬ少女に見せる優しさが世の中の複雑さを感じさせる。

 殺人シーンは、執拗に長く、ぎこちない。本当の殺人というものは、そういうものかもしれない。観ている自分も殺人に関与しているような気持ちになった。

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