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マニアックな視点よりドラマ模様

HnDVD REVIEW
「ヒトラーの贋札」(2007)

Story 舞台は第二次世界大戦のドイツの強制収容所。そこで技能を持つユダヤ人の囚人たちは作戦のための贋札作りをやらされていた…

 「ヒトラー…」と邦題にありますが、ヒトラーは出てきません。気配するない。原題にもなし。原題は「偽造」という意味のようです。

  アカデミー賞を受賞するなら…バランス良くないといけないのかな。マニアックな視点はアカデミー賞では減点されるのか、そんなことを思った。

 本作は、バランスがいい。僕むきには、ポンド札を偽造する過程をリアルに説明的なドラマになってくれればいいなぁ、と思った。10人以上の囚人チームがどんな役割分担をしているか、知りたかった…でも、そんな部分は残念ながらなし。わずかに劇中で「これだ!この素材だ!」「印刷機を替えてみては?」なんてセリフにワクワクするのは僕だけか。マニアックな視点だ。

 ユダヤ人収容所では彼らだけが優遇されている。シャワー。白いシーツ。余暇には楽しめる卓球台もある。でも、壁一つを隔てて暗示される彼ら以外の囚人達の残酷な待遇。そのコントラストが彼らの微妙な立場を示し、味になっている。

 本作は当時の収容所のリアルな現状というよりも、ひとつの制作を受けたグループ(組織)の話にフォーカスされている。その中の人間模様として優れた作品になっていると思う。難点というと、ラストが少々キレイすぎる感じがした。でも、ではどんなラストシーンいいかというと…思いつかない。

 史実、というよりも今のドラマとして置き換えて観るのがいいかと思う。だから、ヒトラーも出てこない。

 

 

 

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