ブロンソン主義
Film Review
「メカニック」(1972)
あらすじ:主人公は「メカニック」といわれる一匹狼の殺し屋。緻密な計画で殺しを実行する。ある時、自分がてにかけたギャングの息子を自分の弟子にすることにする…
映画に騙される、というのはどういう気分なのだろうか。良い、悪いではなく、
騙されるということ。悪い作品なら、騙されるのか、それとは別になにかがあるのか。ひとつ、いえることは時には「騙されてもいい」という気分で映画を鑑賞する場合もあるということ。
チャールズ・ブロンソンの映画はついつい観てしまう。
結構、駄作もあると思うだけど、あんまり気にならない。良い、悪いを越えた「騙されてもいいわよ〜」という気分になって許してしまう。結局、スクリーンでブロンソンが動いていれば満足なのだ。
本作は、駄作ではなく良い映画だと思う。そのため、それまでに観たいくつかの作品が駄作であったことに気がついた。イタタ、痛し痒しな作品なのである。諸刃の剣というべきだろうか。
古い作品だけど、アクションのキレもなかなかいい。特にオートバイの追跡シーンなど、シンプルだけど迫力がある。「メカニック」と称されるブロンソンの殺し屋の設定もいい。クールなんだけど、贅沢な暮らしを好み、高級コールガールと一夜を共にする。殺しの方法もムダに工夫がいっぱい。
ブロンソンって、インテリの役も似合うなぁ、と思う。ニーズがあればどんな役でもブロンソン臭を隠さず、演じられるのは凄い。それとも、僕はやっぱり騙されているのかしら。弟子を演じる、ジャン・マイケル・ビンセントも、ブロンソンに負けないい味出してます。主演のTVシリーズ、エアウルフの最初の頃とか良かったなぁ。
全体にオシャレ感のあるアクション映画で、ありそうでないブロンソン映画
ではありますね。ブロンソン映画をまず楽しむなら「狼よさらば」より、いろいろ含みがあって、いいかと思いますよ。