穴・穴・穴
洋画★シネフィル・イマジカ
「マルコヴィッチの穴 」(1999)
封切り当時は知ってはいたけど、観なかった。なんとなくコメディ作品なんだろうなぁ、と思っていた、
今回観てみるとコメディタッチではあるけど、人畜無害なコメディ作品とはまったく異なる。どちらかといえばアート映画に、コメディ風の味付けはしてある感じだ。
監督は、ミュージシャンのヴィデオ・クリップを手がけているスパイク・ジョーンズ。そのキャリアのためか、個々のシーンの映像はおもしろく、そして美しい。
脚本は本当にユニーク。もう、オリジナルの脚本なんてないのかも、というアイディアの出尽くした感のある現在で、まだまだ映画の可能性を感じさせるストーリ。
話は貧乏でしっくりきてない夫婦。夫は人形師だが、仕事がなく、しかたがなく奇妙なオフィスでファイル係に就職する。そこで彼はある「穴」を見つける。それは俳優ジョン・マルコビッチの中に入ることができる穴だったという話、主人公は恋心を持った女性をパートナーに、その「穴」をビジネスとしてスタートするが…
夫が人形師という設定のため、たびたび人形のシーンが出てくる。これがどれも見どころのあるシーンになっているし、これが本作のテーマにかかっていて、興味深い。また、7階と8階の間にある天井が低い「7と2分の1階」職場の存在もユーモラス。
「穴」のある実在の俳優がジョン・マルコビッチというのがいい人選だと思う。この俳優の真面目でクールな雰囲気のため、奇想天外な設定がすんなり納得できる。他の俳優だといかにも嘘っぽい(嘘なんだけど)話になっていたよう気がする。ラブ・ストーリーも用意されているのだけど、奇妙にねじれていてラストも一筋縄ではいかない感じでした。
主演の二人はメイク等でわかりにくいが、男優はジョン・キューザック。好きな俳優です。女優はキャメロン・ディアス。これはわからなかったなぁ。偏見を持たないで観てみると掘り出しものの作品です。借りる作品に迷ったらぜひどうぞ。
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