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文芸アクションは作れるか?

57 DVD REVIEW
「パッセンジャー57」(1992) 

 ウェズリー・スナイプスの結構前の作品。ハイジャックものかと思っていたら、それだけではないのが特徴かな。

 内容は、スナイプスがヤル気を無くしたハイジャック警備の専門家。事件に偶然巻き込まれ型の話。敵は頭の良い病的なテロリスト。なんか「ダイハード」を感じさせる展開。「ダイハード」は本作の4年ほど前の作品だから、実際影響を受けているかもしれない。

 ストーリーは、最初に書いたようにハイジャックものに+アルファを加えた味付け。そこは目新しいけど逆にハイジャック特有の閉じこめられた「密閉感」が薄めなのは評価が分れるところか。

 銃撃戦は少なく、スナイプスの特技の武道も、それほど印象的ではない。悪役の存在感も含めてアクション映画としては平均点をクリアーしていて、退屈はしないのだけど、観を終わって素直に「このシーンは良かったねぇ!」という部分はあまり残らないのが残念。シーンとしては、ハラハラするスタントシーンも多いのだけど、ストイックすぎる。もっと見せ場的な派手な演出もあっても良かった。

 アクション以外の普通の会話などのシーンでカメラ・ワークが凄くカッコ良かったり地味な部分が印象に残る。キャラの味付けも少し深い感じで、娯楽アクション映画の体裁にしては、妙に凝った部分や展開の複雑さが印象深い。ただ、結果的に文句なしのおもしろさがダウンしてしまったような印象。

 恐らく、作り手としてはアクション映画なんだけど、ガンにも肉体アクションにも頼らない、というところがポイントにしていると思う。スナイプスは演技派でもあるので適役でもある。その方向性は悪くないのだけど、こういった設定の映画の場合、わかりやすいアクションのニーズもある訳で、難しいものですね。

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