いろいろあったり、なかったり
FilmReview「エンドゲーム 大統領最後の日」(2006)
アート系映画といえば、わけのわからない結末。学生時代は、そのわけのわからなさに「さすがアートだなぁ」と感心をしたところですが、今はそうでもない。わけのわからないだけでは、価値にはならない。わけをわかるか、わからない中になんらかの魅力を見つけないと、おもしろくは感じられない。大人になりました。
そこで、自分にとっての映画について、スタート地点に戻った気がする。以下、映画の大事な内容に触れるので注意。
さて、本作のタイトルはハッタリかと思ったら、冒頭でいきなり大統領は暗殺。その真相を探る「大統領をまもりれなかったSP」を主人公を描いてる。彼を助けるヒロインとして、事件の真相を探る記者が登場する。最初に大統領が死んでしまうのが、なんとも。それだけ大事件だと真相がわかってもあんまり意味ないんじゃない、と思ってしまう。生き返る訳でもなし。
作り手側も、そこを意識してか、本作はサスペンス風味だけど、正統派サスペンスにせず、そのためかラストにも真相の爽快感はあまりなしか、僕がわかってないかどっちか。主人公の内向的な部分が、静かに描かれるのだけど、大統領暗殺事件という割には、まわりがずいぶんノンビリムード。主人公も上司から「気にするな」という感じに声をかけられ終了。うーん、普通、大統領が目の前で暗殺されれば、こんな簡単にはすまないでしょう。
アクションシーンは少なめだけど、ピリリと良い感じ。まぁ、ほかのシーンがわりとフラットなので、なおさら目立つけどね。主役、がんばっていますが、主役を張るにはやや弱い気がする。
バート・レイノルズ、ジェームス・ウッズといった、ベテランキャストは、なんとも本作のダークな雰囲気を盛り上げる。それだけですが。
観終わると、原題の「END GAME」というのがピッタリな、抽象的な内容。でも、時間を返せ!というほどでもなく、サスペンス風味のアート系映画なのかな、ふと思った。