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映画コラム「RAILWAYS」

Railways

Film Review「RAILWAYS」(2010)

あらすじ:主人公は東京で妻と娘を持つ一流電器会社の49歳エリートサラリーマン。ある時、部下へのリストラ命令と同期の事故死、母の病気に直面して、会社を退職。地元で夢だった電車運転手になることを決意する。

● ファンタジーだから成立する作品。
  これは批判ではなくて、そうするべきなのだ。

運転手は子供の憧れ職業のひとつだと思う。子供からお年寄りまで乗せてあげて給料をもらう、という仕事内容のわかりやすさ、「乗り物の運転」という子供の興味のあるコト。それらの想いは年を重ね、社会というのを知るについて失われる場合も多い訳です。まぁ、そんな複雑な事情はヨコに置いておいて作品にしてみたのが本作であります。

上のあらすじとおりで展開も予想の範囲。ライトな娯楽作品で、家族でデートで若者からお年寄りまで楽しめます。キャストも主演の中井貴一、高島礼子、脇役も橋爪功、佐野史郎、宮崎美子という抜群の安定感のベテラン勢。ヒロインの本仮屋 ユイカもフレッシュで全方位な魅力も安心。王道の庶民派な素敵なお嬢様。彼女は別に鉄子じゃないけど「つかえるもは大事に使う」という視点で鉄道に理解アリというのが観客の共感を得ます。

主人公は一流会社員ですから、きっと早期退職で退職金タップリ、妻はお店オーナー、娘は父の退職に大変理解ありで、就活を放り出しての主人公母の看護。もう家族のスキなしです。その一体感は最後まで変わりません。主人公がクビになりそうになれば、お客さんらが社長に直談判。

理想論のファンタジー映画といえばそれまでですが、地方鉄道の待遇の問題というのも少しですが描かれてもいます。でも、基本的にはただ楽しむ映画だと思います。あえていえば自分なりの幸せの価値観を考えたくなる作品でありました。

本作は、同様のテーマで続編も作られるとのこと。多分、次作では、うまくいきすぎの本作に比べて、いろいろな軋轢が描かれるかと思います。ただ、リアル軋轢がありすぎると本作の「子供のころの夢を、年を取ってからの挑戦」というカルシタスが失われる訳で「こんなにうまくいく訳ないじゃん」とツッコミつつ、本作の抜群の安心感はキモだとは思う。そのあたりの釣り合いを、次作でどうとるか興味はあるので観たいですね。

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