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映画コラム「スピード2」。そのガッカリを考察。

Sp2

Film Revew /「Speed2」
Story:警官とその彼女が豪華客船でバカンスを楽しむことになる。しかし、船はジャックされ客とともにタンカーに激突させる計画が進められる…

● 大作&駄作についての個人的考察

つまらない映画を観る、それもなかなか興味深い。これは嫌味じゃなくてマジな話。まぁ、低予算のアート狙いでつまらない映画、というのは結構あるとは思うだけど、大予算のアクション映画でつまらない、というのはなかなか考察のしがいがある!というもの。
以下、当然ネタバレございます。

キアヌ・リーブス主演でヒットした作品のパート2。でも、キアヌは降りている。当然出演オファ−はあった思うけど、予想としては、キアヌはシンプルなアクションものには興味はなさそうだし、ストーリーも限りなく二番煎じだから断ったのかな。僕は前作の「スピード」の魅力って、シンプルでこじんまりしたところ。そして、キアヌとブロックの典型的でないキャラ設定が良かった。キアヌのあんまり強そうでないとこ、サンドラの色気のなさ、そこが良かった。悪役のデニス・ホッパー先生はいつも感じだが、元警官の恨み節というのが普通にハマっている。

さて、「スピード2」である。まず、キアヌのかわりのヒーローがつらい。普通にマッチョな熱血警官で面白みがない。サンドラとの組み合わせも悪そう。なんか無理してつきあっている感がある。前作と違って、最初から2人は恋人という設定で関係性の発展を描けなくてマイナス。船でのバカンスも、ちよっとした仲直りも兼ねて、という感じなんで前半はダラダラと2人のゆるい恋愛模様を見せられるのはホント退屈。早くなんか爆発しろと思いたくなる。

さて、今回の悪人はどうだろうか?前作がホッパーだったら、今度はデフォーで!というのは簡単すぎるんじゃないか。キャスティング・ディレクターは仕事してるのかしら。僕は、デフォーという役者自体は嫌いじゃないのですよ。でも、今回の元コンピュターエンジニアという設定はなんか雰囲気が合わない。最後まで熱演はしているだけど、どうも空回りなのが悲しい。

他のキャストはどうだろうか? 最初のほうに主人公、ブロックと一緒の乗客が交流するシーンがいくつかあり、これはポセイドン・アドベンチャーなみに、パニックが起きてから、みんなで力をあわせて危機を脱出!というシーンがあるかと思えば普通に無かったです。ひたすら、ただの被害者でした。うーん。サンドラはみんなのためにいろいろ活躍するのですが、画面がどうもゴチャゴチャして印象に残りません。主人公も、アクションヒーローとしての職務を淡々とこなす。デフォー相手に。銃撃戦もなく、格闘もなく基本、追いかけっこのみ。みどころが…

ラスト、無事、燃料満載のタンカーへの追突が回避したが、リゾートな砂浜に船が突っ込んでいく。陸に乗り上げても別荘みたいなところに船は進んでいく。ここが一種のハイライトシーンとして、長いシーン。これが予算がかかっている割にはどうもおもしろくない。おもしろくしよう、といろいろ工夫はしているのだ基本のアイディアがおもしろくないのだ。別にそんなの、みたい人あんまりいない気がする。ちよっとなんかあって止まる、でいいじゃない。長過ぎる。

ここで僕がぼんやりと考えたのは先に脱出したデフォーの悪あがき。予想とおり、船が止まった後、そしてデフォーは?という感じになるのだが、サンドラ人質の割には緊迫感ゼロ。彼女にあっという間に出し抜かれ、飛行機で脱出。でも、それも失敗して、なんだかなー最後を迎える。

思うのは基本アイディアが、前作を受けついでいるので「激突」のスリリングにテーマを置いている。だから、ガンアクションも格闘も無い訳ね。客の活躍も。でもさぁ、それを律儀に守ってもただ今回はつまらないような。ここは的を集団テロリストにして、ダイハードみたいな感じもでいいかと思ったけど。

バスの暴走にはたしかに「スピード」感がある。でも、どうも豪華客船の暴走にはピンとこない。なんで今回は「船」なんだろうね?飛行機とか、鉄道、また船ならずっと小型の船舶がいいと思う。豪華客船というスケールの大きさがスリル感と反比例している。なんか、前作のおもしろさのエッセンスを無理解なまま、とにかくお金をかければ!というノリが出た作品だな、と思う訳です。

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12.02.10-12「北海道の冬を編集する」ワークショップ in TOMAMUアイスビレッジ

Tomamua_2

● MAGNETは共催でワークショップをおこないます。

「北海道の冬を編集する」ワークショップ
in TOMAMUアイスビレッジ
極寒のトマムでメディアをつくる術を学ぶ3日間

日 時:2012年2月10日 13:00〜2012年2月12日 14:00

場 所:星野リゾートトマム(北海道勇払郡占冠村字中トマム)

★1月31日(火)まで参加者募集中!

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11.10.29-12.01.15 AMUSE LAND TOMORROW 2012 おばけのマ〜ルと絵のふしぎ

SapporoArt Scene Repo .jan.2012
ちいさな「おばけ」と知る美術。

AMUSE LAND TOMORROW 2012 in MIGISHI Museum
おばけのマ〜ルと絵のふしぎ
10月29日(土)~2012年1月15日(日) 10:00~17:00
北海道立三岸好太郎美術館 (北2西15)

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▼ マ〜ルとその仲間たちと学ぶ美術の世界。

おばけのマ〜ル」とは、市内在住のイラストレーター中井令(絵)と石狩市在住のライターけーたろう(文)による絵本。中西出版により現在まで4冊発行されている。内容は円山に住むちいさなおばけ「マ~ル」が「円山動物園」「さっぽろゆきまつり」などを舞台にさまざまな楽しい出会いを体験していくもの。最新作「おばけのマ〜ルと ちいさなびじゅつかん」(2008)では中央区の「北海道立三岸好太郎美術館」が舞台となっている。

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同美術館ではそんな縁もあって「マ〜ルとの関連企画も過去に開催されている。今回は北海道道立近代美術館で毎年企画されている展覧会「アミューズランド・トゥモロー」シリーズとして開催。道内作家の作品を展示し、マ〜ルや仲間たちと作品について考えてみようという企画内容となっている。各作品には「どうして、この色にしたのかな?」「どうして、みたとおりに描かなかったのかな?」などの問いかけがあったり、その場でできる簡単なワークショップも用意されている。ほか札幌の小学生がマ〜ルをベースにてつくった作品も紹介されていたり、マ〜ルの絵本も自由に読めるようになっている。

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会場はワークショップ用のテーブルや、作品に対する特別なキャプションがつけられ、通常時の展示とは違う雰囲気となっている。美術館というと「美術を鑑賞する場」という静かな空間のイメージがある。だが、今回は鑑賞というのを少し超えて「いろいろ考えてみる、やってみる」という場になっている。会場では子供のづれの方も多く来場しており、活気ある雰囲気となっていた。

美術館という場所も時代とともに変化していくのかもしれない。単なる作品の保存と紹介の場所としての役割から、よりアクティブな美術の紹介と教育の現場として、過去を知り、現在から未来を考える場になっていくかもしれない。そういう「新しい美術館のカタチ」の一面を今回の企画は示していると感じた。

Text & Photo Shinichi Ishikawa / NUMERO DEUX

 

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