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V.A / PHOTO MUSIK2(YAMAOKA DISCS) 

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V.A / PHOTO MUSIK2

● アルバムという単位の魅力。北海道のテクノレーベルの第二弾アルバムから感じる。

「アルバム」という単位を考えるには、MP3のデーターよりCDやレコードといった現物のほうが考えやすい。でも、それは直さないといけないと思っている。音楽をデーターのみで持つ。その思想は受け入れないといけない状況になっていると、最近チラチラと感じる。

北海道を拠点に15年以上のキャリアを重ねるテクノ・ユニットYAMAOKAが昨年よりスタートしたレーベルYAMAOKA DISCSの第二弾コンピレーションアルバム(CD−R)がリリースされた。

第一弾コンピレーションは本サイトでも紹介しています。

本作のまず構成から着目してみると、前作は2組のアーティストで全6曲という内容になっており、レコードにおけるA面、B面のような対比の魅力を感じた。コントラストと言い換えてもいいかもしれない。

本作では収録アーティストは5組と増えた。しかし、曲数は全7曲という控えめな数字になっている。アーティストが増えたにも関わらず、この控えめな曲数は僕は嬉しい。この曲数に落ち着いた実情はわからないが、増やそうと思えばもっと曲数は増やす事は可能だったのではないかと思う。しかし、ここはあえて押さえたのではないだろうか。その結果、1曲違いという前作とほぼ同じフォーマットの中で、まったく新しい世界を提示するコンピレーションになっていると思う。

アルバムというのはアルバムであるから(当たり前だ!)ひとつひとつの曲の内容はもちろんだけど曲の並び方(構成)というのを考えながら作品とした全体を感じていくのは楽しい。

具体的には1曲目の静粛だけど、緊張感のあるエレクトロニクスサウンドから、2曲目からリズムへの予兆はあり、3曲目より本レーベルオーナーの明確なリズムを感じさせるトラックとなる。その流れは4曲目のダブにつながっていく。本作のリズムをもっとも楽しめる部分だ。5〜7曲目から、サウンドは再び内向的にシフトしていき7曲目の再び静粛な「終わり」を感じさせるトラックでピリオドが打たれる。全40分ほどの音世界は、この「並び方」自体も作品も魅力だと思うので、そういった部分も楽しんでいただければと思う。

Text & Photo by Shinichi Ishikawa(NUEMRO DEUX)

▼以下のサイトで視聴・購入も可能することができます。 

YAMAOKA DISCS 第2弾 V.A / PHOTO MUSIK 2
2013年2月リリース予定   限定70枚   Contact:yamaoka@h2.dion.ne.jp
WEB先行販売 S.O.L Sound http://sol.shop-pro.jp/?pid=53884033
PV  http://www.youtube.com/watch?v=PSZekRjfk4I&feature=share
https://soundcloud.com/yamaoka

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仕事の字間 第02回「同じモノを意識する」

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第02回「同じモノを意識する」(2013.1.19)

「仕事の」… 僕の考える仕事とは、報酬に関係なくなにかを成し遂げること。そして、人生は「ちいさな仕事」の積み重ね。そんなことを考えながら、おおくりするコラム。

 

僕は「ちっちぇ〜男」で結構。でっかい男になりたいと思ったことはない。だって、大事なことは「ちっちぇコト」に常に隠されているかと思うから。

モノは少なく暮らしたい。そのほうが家や仕事場を広く使えるし、精神的にも良い気がする。モノの数だけ心が重く感じるのは僕だけではないだろう。「モノの数と心の関係性」についてはまた別の機会に書くとして、今回はモノを少なくに反して「同じモノ」を持つことを提案をしたい。

同じモノを持つことは2つの理由が考えられる。ひとつは「予備」。もうひとつは「よくつかうモノ」。

「予備」はわかりやすい。例えば、電池や電球、テプラやプリンタのカートリッジ、コーヒーのフィルター、キッチンペーパーなどなど。これらがイザという時に無いという経験はないだろうか?それに備えて予備があれば、仕事の流れを邪魔されずに済む。

「よく使うモノ」については、普段持ち歩いているモノ、例えば、僕ならよく使う文房具。これは仕事場や自宅や出先で使うことになる。気をつけて持ち歩けば同じものを買う必要はない。しかし、これがなかなか難しい。バッグに入れたと思ったら、出先で自宅に忘れたことに気がつく。自宅で使おうかと思えば、仕事場に忘れたことに気がつく。それを防ぐために好きな文房具を、自宅用、仕事場用、バッグ用(出先用)で同じものを買って用意しておくのだ。そうしておけばば、使いたい時にいつでも使える。一安心。

以上のことは、人生においても大きな影響もない、どうでもいいようにも思える。つまり「ちいさなこと」かもしれない。でも、考えてほしい、生活や仕事の大部分は「ちいさなこと」の積み重ねではないか。そう考えると「ちいさなこと」を考えるのは人生を考えることだといえないか。このことは今後の本コラムの共通のテーマになると思う。つまり、ちいさな話が連載されて行く訳ですよ。

あなたも「同じものを持つこと」を意識していたらどうだろう。やり方はとっても簡単。買うときに2つレジに持っていくか、ネットでの注文の数量を「2個」にするだけ。簡単でしょう?人生のヒントはいつも簡単。でも、実行しないと意味がない。僕は最近、よく使う700円程度筆記具を同じのを自宅用、仕事場用、持ち歩き用に購入した。このこのとで気分がスッキリしている。

文と写真 石川 伸一(NUMERO DEUX)
 


 

 

 

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映画の"字"間 「コクリコ坂から」

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□ 映画の"字"間  第1回

 
「コクリコ坂から」

監督 宮崎吾朗 制作 スタジオジブリ 封切日 2011年7月16日 上映時間 91分

● 主役の2名以外に全力集中すること。

「映画」にとって、ストーリーは「大事」だが「絶対」ではない。映画にはビジュアルもあるし、サウンドもある。

金曜ロードSHOW!で観た。
僕は基本21時には寝室行きなので、寝よう寝ようと思いながらラストまで観てしまった。宮崎吾郎作品。僕は「ゲド戦記」を観ていません。

結論からいうと、おもしかった。僕を眠りの国に誘うのに打ち勝った作品だから。それはそれは凄い。

舞台設定は昭和38年。僕の生まれる前の話だが、作中で断片的に幼少に見た光景もあるし、見知らぬ光景もある。全編「こういう日本もあったのだな」というのを、終始もだえながら感じまくるのが本作の楽しみ方ではないか。

視線の位置。とにかく背景を一生懸命見る。主人公の男女が会話をしている時は、全力で背景を見る。炊事をしている時は、作っているものや、部屋の様子を強い精神で見る。背景美術を注視し、主人公2名以外をいかに集中して観るかがもっとも重要。

主人公の2名は料理の前に置かれた「お箸」のようなもの。
とっても大事だが本質ではない。

ストーリーは背景をみせるために存在する、
それに徹しているのは凄い。保険をかけてない。

若いカップルの誕生を出生の秘密という「ちいさなフック」を作っている。物足りない、という否定的な感想もあるみたい。でも、いいじゃん。最近の映画にある「敵を倒したら、まだ生きていて、また倒したら、真の敵はまだいる!」というクドイのはたまにお休みで。坂を自転車2人乗りで下るところは、まさに「ジブリ節」という感じで抜群の安定感はある。

ストーリーがシンプルだから、それ以外のところに目がいきやすいし、その目がいきやすい部分をしっかり作っている。これはアリだと思う。コンセプトとして成立いている。「『映画』って、ストーリーだけじゃないよ」というのをメジャーレベルの視線で作っている。それはとてもいいし、今後もトライして欲しい。

Text by Shinichi Ishikawa(NUEMRO DEUX)



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仕事の字間 第01回 「仕事の落ち着く空間」

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「仕事の字間」… 僕の考える仕事とは、報酬に関係なくなにかを成し遂げること。そして、人生は「ちいさな仕事」の積み重ね。そんなことを考えながら、おおくりするコラム。

第01回 「ワークスペースの落ち着く小空間のススメ」(2013.01.06)

昨年末に、自宅の仕事部屋の配置をいろいろ変えてみた。机の右側の木製のアレンジャーの上に、ちいさな空間を作った。しばらくは「なにもなさ」を楽しんでいたのだけど今は気に入ったカレンダーと花を飾っている。それが上の写真。

面積でいえばA4サイズほどの大きさ。でも、僕にとってはここは神聖な空間。目をむけると気分が落ち着く。なぜなら自分の好きなものがあるからだと思う。説明するとカレンダーは木目の無垢という素材、真鍮の金具、シンプルなデザイン。同じくシンプルだが存在感のあるグラス、控えめな植物。ここには編集やデザイン、いや生活そのものの基本方針のイメージがここにはあると思う。

なにか、考える時、迷う時ここを見る。

文と写真 石川 伸一(NUMERO DEUX)

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映画を考える「007 スカイフォール」(13.01.03)

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映画を考える"007 スカイフォール" (封切作品)
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※以下ストーリーの核心もふれるのでご注意ください。


「本作は最高傑作?。それは、
  50周年記念のコピーの一部かな」

007シリーズは、ヒーローの普遍性と、そうでない部分を示してくれる。悪役については、あいまいだけどね。

まぁ、今回の敵役、元M16のハッカー系諜報部員というのは新味はない。ただ、そこは俳優ハビエル・バルデムの魅力で最後まで見せてくれるし、歪んだMへの想い、ボンドにもつながる諜報部員の宿命というテーマも見えるので、薄っぺらくはなっていない。

007において現代の敵役の不在、というのは問題。近作では「麻薬王」とかあったけど、それは007の宿敵にはイメージが違う気がする。僕はいっそのこと今のリアル路線で過去シリーズの「スペクター」のような絶対悪の組織が登場すると、おもしろい。いいアイディアなのでは。現代のリアルな継続的「絶対悪集団」を描く方法はあるかと思う。

話を「スカイフォール」に戻そう。冒頭、迫力のアクションシーンからボンドの死?というフックでお客さんを惹きつけつつ、話はゆるやかになる。ボンドは大丈夫かしら?というところから、ボンドの復活、明らかになる敵の正体、スパイ不適格者ボンドというシリアスなところを少しひっぱって、お約束のパーティシーン。軍艦島から一気にいつものヒーロー007にターンするところは気持ちいい。

さらなる後半の籠城劇はビックリ。イギリス田舎でのアクションからラストの教会までの流れは、ちよっと幻想的で悪くない。だが、これが007なの?という疑問は残るけどね。

そんな変則感はありつつも、本作は50周年記念作品というところから、手堅く作っていて、冒頭のアクションシーンからお客さんの期待を裏切らない。007のキャラクターも従来のボンドぽいユーモアも持たせている。でも、ボンドガールは地味。それはそれで賛成。

総論。結局、必死に守ったMも死んでしまうのはイギリスの映画だな、という感じがした。新しいM、Q、マネーぺニーが、凄く活動的なキャラ設定の伏線があるので、次作にすごく新風を起こしてくれる予感。そこが今から楽しみ。ただ、あくまで007が個人のヒーローなんで、あんまり新しいMらとチームプレイが強くなるのは避けてほしい。スパイスな役回りをしてくれたらいいかと思った。

007シリーズは続いて欲しいと思う。
時代を考察するのに優れた資料のひとつだから。

Text by Shinichi Ishikawa(NUEMRO DEUX)

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