映画コラム「ウォンテッド」
FilmReview
「ウォンテッド」(2008)
冴えないサラリーマン主人公が、実は天才的な暗殺者として才能があり、父の復讐をするという、主人公はいわゆる「マトリックス」型のパターン。手ほどきはジョリー先生がやってくれるという。校長先生はモーガン・フリーマンという優良校の雰囲気。織物工場を隠れ蓑に1000年以上続いた暗殺機関によって、この世の秩序は守られるという設定。暗殺者のリストは織物の中にある暗号というのがやや不安な感じなのだけど、傷がすぐ回復させるお風呂や、弾丸を曲げて発射するテクニック等、オカルトな組織なのね、と納得する訳である。
上記DVDジャケではまったく無視されてますが、主人公はマカヴァイ君ですから!ハリウッド的にはまだ無名だけど、本作ではなかなか良い演技を見せてくれる。冴えないリーマンと超人的な暗殺者を同時にやるのは演技力がいると思います。ジョリーはいつものジョリーですから。
主人公の修行シーンは少したるい。まぁ、ここはラストを盛り上げる伏線ということか。一人前になるとジョリー先生と走る電車の上から暗殺試験。無事合格。どうも、主人公が暗殺者というのが、感情移入しにくい。父親のカタキをとる!という部分だけならいいのだけど織物リストを盲目的に信じて実行するのにためらいはないのかしら。それがあったら話が進まないのか。
まぁ、大事なのはアクションシーン。弾丸を曲げたり、敵の弾丸を弾丸やナイフで防いだり…現代劇のなかで、適度なバランスでオカルト的なアクションが展開されるのは小気味良い。後半になんだか「カサンドラクロス」みたいな列車シーンがあって、これもまた壮絶アクションとなります。それで解決とおもいきや、これらはラストの大アクションの伏線であるのです。
前半ややタルかったですが、後は一気に楽しめまた。オチもいいと思う。全体の荒唐無稽な雰囲気をマカヴァイくんの現実感がうまくカバーしていると思う。なのでDVDのジャケットにもマカヴァイ出してあげなよ。