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10.03.12-03.27 「畠山雄豪『First Contact』」

● 写真家からの最初の挨拶

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「畠山雄豪 個展『First Contact』」
会  期:2010年3月12日(金)~3月27日(土)
会  場:CAI02(大通西5丁目昭和ビル地下2階)

 ケータイのカメラで撮影をする。今の時代、撮影とはありふれた行為にも思える。でも、それだけでは「作品」にはならない。写真を「作品」にするには、コンセプトやセンスが必要であり、それはカメラの中にあるのではなく、撮影者の中にある。撮影する行為と写真家には、想像以上の隔たりがあると僕は思う。 

 これまで数々の受賞歴があり、展示実験集団「OUREYES」のメンバーである畠山雄豪の初個展が開催された。その様子を本人のお話を含めて、紹介していこう▼

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 空の景色。作品は、ポジ、ネガ、デジタルで撮影したものが混在している。

 畠山雄豪は、北海道大学にて建築を学び、都市計画について大学院まで専攻した。その中で、街のさまざな場所を調査のため撮影することから、写真に興味を持ったという。

  そこから、「OUREYES」としての活動やグループ展の参加をやってきて、さまざまな反応もらい、それを参考にしたうえで、個展をしようと考えた。

 個展となると、テーマはすべて自分自身で考えなければならない。そこで畠山は、最初ギャラリーの縮小模型を作って、そこから個展の作品配置を考えたという。この話は建築を専攻した人間の発想な気がした。

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▲  木のように見えるが、雪から出た植物の小さな幹を接写撮影したもの。

  結局、最初の個展から複雑なことをすると、伝わらない可能性を感じてシンプルな構成にしたという。作品自体は北海道の光景を素材にした風景。これは、北海道に住むひとにむけて、という意味と、畠山雄豪は出身は東京だが、写真をやるきっかけは北海道にあったことから、自分の写真のルーツを紹介する意味もあるようだ。

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▲ これは北大構内にあるたい肥を撮影したものだという。 

 作品写真をみてみると、空の景色や、雪の中の植物を接写したもの等、一目で北海道らしいものはない。しかし、「北海道らしくない北海道の光景」によって、違ったかたちで北海道を感じさせることができるのではないか。
 今回の個展にて、スタンダートな表現をみせた彼が、次の段階でどんな展開をみせるか楽しみである

Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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男性に読ませるシステム、それは女性が必要

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「Men's LEE (メンズ リー )」(2010年3月創刊)  

 男性むけファッション雑誌というのは難しいと思う。その中で「LEON」のヒットは記憶に新しいと思いつつ、もう創刊は10年くらい前なのね。

 そして、今回「Men's LEE (メンズ リー )」が創刊された。「LEE」といえば20代後半から40代くらいまでカヴァーする、手堅いファッション雑誌という印象がある。とりあつかうティストは僕は好きな傾向です。キレイでシンプルめかな。ある程度生活感もあって。

 それが男性誌を発刊とはどんな感じかしら、と思った。 レオンの「ちょいワル」に匹敵する、編集テーマがあるのか?「LEE」の流れだと「とてもイイ」とかそんな感じか?。現物を見てみると、表紙は江口洋介。この人選は僕は結構好きかも。「戦国自衛隊」しか知らないけど。いや、緊急医療のドラマも知ってるぞ。

 特集は「ジーンズ&チノ」と「キャンプ」という、かなり手堅いところから攻めている。ジーンズとアウトドアというのは基本ですよね。ただ、インパクトはないよなぁ、と思いつつ誌面を見ると、この雑誌は男性ひとりで読む、というより「LEE」を読んでる奥さん&彼女と読むというのが前提な感じがする。

 男性は純然たる女性誌を読んでもおもしろくない訳で(僕は好きだけど…)、そこに自分が参考になる要素があれば、女性と一緒に楽しめる訳だ。自宅で、夕食等を食べ終えたリラックスタイム。「ねー見て、見て」という感じで、男女2人でみるのがいいのか(想像)。

 「男女2人で読む」というのはありそうで、なかった発想であり、男性誌、女性誌という区別を超えるものである。地味ながら、パイオニア的発想ではないだろうか。まぁ、ファッションのセンスとか、共通しないと難しいかもね。あと、異性に批判的な記事はかけないね。でも、そういうページが一定の人気があったり。雑誌は難しく、深い。

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それは、それで好き

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FimlReview「スーパーコップ90」(1990)

 まぁ、左のチラシとおり作品。思いきったデザイン、フッきれた感じが好き。欲しくはないですが…タイトル文字黄色もいい感じ。いわゆるB級映画。つまり、スケールも内容も華やかさのない作品です。どうもB級映画という表現がしっくりこない。「低予算映画」といいたいけど、お金だけの問題でもないしなぁ。

 「ロボコップ」主演のピーターウェラーが、本作では「ロボ」ではなく「スーパー」に。「90」というのは、単に90年に上映されたからでしょう。これはもちろん邦題なんで、劇中でそう呼ばれる訳ではないです(原題は「RAINBOW DRIVE」)。確認してみると、「ロボコップ」の後に上映された作品なんだねぇ。だから、こんな邦題なんだろうね。

 あらすじは、ウェラーはすご腕だが、上司に反抗的な刑事。ある事件の捜査を止められるが、独自に捜査を進めていく…まぁ、よくある話ですよね。映画の刑事はこうでなきゃ!という設定。目新しさはありません。

 本作の味としては暴力的なシーンや銃撃戦はあまりなくて、B級作品特有のハッタリな見せ物的な部分は控えめなんだよね。ウェラーは、泥臭い感じはない、タフで神経質なキャラクターを演じている。部屋が妙にキレイでモダンな絵とかもあってね。テーブルの上もシンプル。そこで事件の考え事とかをしてる場面が好き。また、シーンごとの衣替えも素敵。ジャケットと派手なカラーシャツが似合ってます。

 こういったハードボイルドの主人公は、フッとみせる弱み、哀愁みたいのが大事だと思うのだけど、ウェラーはその点演技としては弱いかも。行動理由としては友人のカタキという部分はあるのだけど、あんまりそんな感じはしない。ひたすら、自分のポリシーで神経質に捜査をやっていく感じである。その動きは「スーパーコップ」というより「ロボコップ」。

 ウェラーといえばクローネンバーグ監督の「裸のランチ」主演のバロウズ役でしたね。キャラクター性がデザインのパーツみたいで、すっと抜けた人間味がないのが残念なんだけど、その点は「裸のランチ」ではハマリ役だと思う。あの作品で、主人公は人間味タップリだとシラけるからな。

 本作の監督は、もしかしたらカサヴェテスの「グロリア」みたいなオシャレな作品を作りたかったのかしら。それだと、ウェラーだと演技が硬質すぎたと思うし、他の登場人物も典型的すぎて、安っぽかったな。キャスティングでかなり印象変るかも。あと、サントラの安いシンセサウンドもヤメたほうがいいな…と昼下がり、冷蔵庫のあまりもので作った、キムチ&スパム炒飯と、わかめ&ネギ・スープを飲みながら思った。そのランチもまさに「B級」であるが、それはそれで好き。

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濃い緑茶、男達のヨーロッパ

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FILM REVIEW 「RONIN」(1998)

 ずっと、監督はマイケル・マンかと思ってた。違いました。60年代に活躍したベテラン、ジョン・フランケンハイマーですね。「ブラックサンデー」好きです。つまり、男の世界がタップリのクールな世界。アクションで世界はまわるようです。

  あらすじは、あるものを奪取するために、集められた5人の工作員。彼らのプロフェショナルなアクションを描いている。「奪う」というシンプルなストーリー。実務のリーダー格をロバート・デニーロが演じている。

 あらすじも配役も、あまりにも「ありふれた」設定ではないか。他の作品でも銃を持ってないデニーロのほうが難しいだろう。そんなんで2時間大丈夫かしら、と心配になる。

 そこはOK牧場。心配無用の男の世界。「男の会議→銃撃戦→カーチェイス→最初に戻る」そんなループで話しは進む。でも、飽きないぞ!。

 その秘密は…銃撃戦は反ジョン・ウー的な普通の打ち合い。その普通さが今は新鮮だよね。ワイアーアクションなんてありません。カーアクションについては「男といったら車だろう」という、今の時代の「趣味の多様性」なんて無視のブレないセンス。その結果は、フランス雑多の街中での大カーチェス。
 CGなしでアウディS8、プジョー605、シトロエンXM、メルセデス450SEL、BMW M5 が走りまわる。この地味めの車種選択もいいなぁ。サンルーフから、ロケットランチャーを使用するデニーロのテレのない真剣さがいいなぁ。

 プロの割にはトラブル続発なのは、リアルではないのだけど、それはエンターテイメントとして必要なこと。それがあるから娯楽作として楽しめる。

 本作は、ベテラン監督が自分の頑固なセンスを信じて、撮りあげた良作。甘い物を食べ過ぎた時、濃い緑茶で楽しみたい作品。

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-conceptshop-sow ver.135

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店 名:-conceptshop-sow ver.135 
エリア:札幌市中央区南1条西3丁目札幌PARCO5F
営業時間:10:00 - 20:00(土は20:30まで)
URL:http://www.naturalbicycle.com

  北海道発のオリジナルのストリート・アウトドアブランド「Natural Bicycle」。本ブランドの直営ショップ「SOW」は狸小路2丁目のさとうビルBF1階にある。

 2010年3月、札幌パルコ5Fにて期間限定店舗「sow ver.135」がオープンした。ここでは定番アイテムに加えて、新しい試みとして他のブランド・アイテムも取り扱っている。以下店内の様子を紹介していこう。

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▲  上記のとおり店内には、本ブランドの基本的なアイテムを中心に販売されている。「-sow ver.135」は、まだ本ブランドの存在をより多くの人に知ってもらうため、いろいろな人が足を運ぶパルコ内メンズウェアのフロアに出店したという。
 まず、知ってもらって、気に入ってもらえれば狸小路2丁目にある本店「sow」に足を運んで欲しいということだ。「まず、知ってもらう」ということが本店の主要なコンセプトのひとつになっている。

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▲ 本ブランドは、アウトドア系であるが、街遊びにでも着ていけるデザイン。カラーバリエーションも豊富に用意されている。

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▲  他ブランド「Gaimgraphics」によるTシャツ。アパレル専門ではないデザイナーズ集団のデザインは可愛らしくてクールだ。

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▲他ブランド「 MANIC DEPRESSION」のアイテム。ブラック・カルチャー好きなら、たまらないデザイン。ぜひチェックしておきたい。

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▲ お店の前のホールに展示されたドローイング。これは、オープニングパーティの時に本ブランドのデザイナーがライブで描いたもの。今後も機会があればイベントもやっていきたいということだ。

 札幌には多くのアパレルショップがある。しかし、札幌オリジナルのブランドは少ない。春にむけての新しいファッション・アイテムを探しに、足を運んでみてはどうだろうか。

Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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ロフトはいいよね。赤レンガからエスタへ。

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 ビックカメラの上(エスタの上)の6階に移転したロフトに行ってみた。1フロアだけど、取り扱い品目は旧店舗の8割だという。僕のように用がなくても行くようなロフト中毒者にとっては大変嬉しい。
 
 ロフトの新立地の感じからいうと、大丸や、ステラプレイス等の札駅ショッピングゾーンとの一体感があって便利。ビックカメラを見て、ロフトに行った後、7階に上って連絡通路でステラに移動すると、すぐ無印がある。その流れはエレガントだと思う。そこから、ステラのお店や、大丸に行けるのは結構楽しい感じ(その逆ルートでもいいかもしれない)。

 新店内は、ワンフロアにつめこんだ感があって、そこはエレガントな感じはないな。でも、エスタ内とは思えない「ロフト空間」にはなっているのはさすが。文房具から、バッグ、コスメ用品、お皿などの家事用品コーナーを、縦横無尽に移動できるのは便利かもしれない。どこになにがあるかは、おぼえないといけないかも。

 最近は、ネットで買物をすることも多いけど、こうした実店舗を見てまわるのは楽しいですね。赤レンガの元建物のほうが、雰囲気的に良かったけど、形態は変りつつ札幌にロフトは残ったことはいいことだと思う。集客という点でも、今の場所のほうがいい感じだと思う。

 

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要塞警察

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Film Review
「ジョン・カーペンターの要塞警察」(1976)

 カーペンター、好きなんですが、名作本作は観てなくて。数年前にリメイクの「アサルト13 要塞警察」は劇場で観たよ。イーサン・ホークとローレンス・フィッシュバーンが出てました。それで、基本設定を知った。

 引越で少数の職員しかいない手薄な警察署。そこがサイレンサー銃を駆使するストリートギャングに襲われる話。細かい部分は忘れた。そんだけ印象がない感じのリメイク。つまらなくはなかったけど。それは基本設定がいいからだろう。

 さて、では34年前の元祖はと思い観てみると、おもしろい!これはおもしろいぞ。こういったアクションの古い作品はテンポ的にツライ場合があるけど、そのへんはバッチリ。低予算作品でもあると思うのだけど、演出と編集でうまくカバーしてる。お金より技術より、センスという見本がここにある。

 隣家から500メートルは離れている孤立した小さな警察署の一夜。警察も、わずかな銃で反撃するが、死を恐れないストリートギャングは、ゾンビのように襲ってくる。アクションは決して派手ではないが、夜、電源と電話を落とされた署内でサイレンサー(消音銃)で、窓を壁をブチ抜いて襲われるところは迫力ある。このあたり、シーン自体は、シンプルなんだけと観る側にジワジワと感じさせる迫力があって観る側に想像させる。署内の人間は救援がくることを期待するが、気がつかれないシーンにもヤキモキ。今は、携帯ですぐ連絡かな。

 また、ドラマのキモとしては、警察署に囚人がいて、その囚人とタッグを組んで、この事態に取り組むのも味のある設定。「ナポレオン」と呼ばれている紳士的で実力もある犯罪者がいい味を出している。

 あと、監督自身によるシンセのサントラもかなりいい。これサントラ欲しいぐらい。


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10.03.06-03.20「大黒淳一 音の彫刻展」

●「音の彫刻」の中で。

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「大黒淳一 音の彫刻展」
会  期:2010年3月6日(土)~3月20日(土)13:00-23:00
会  場:CAI02(大通西5丁目昭和ビル地下2階)
主  催 : CAI現代芸術研究所
協 力:Tamagawa kasei Co., Ltd / TriState Co., Ltd / Sound Project Co., Ltd / 43d

  「音」は身の回りにありすぎて意識する機会は少ない。室内でも室外でも、音が氾濫する現在。僕たちはどこまで音を感じて、理解しているのか。音に意識的になるのには、独自の表現が必要なのかもしれない。

 大黒淳一は、市内で活躍するサウンド・メディア・アーティスト。国内外で音楽制作を行い、映像や空間のサウンドデザインを手がける。Marlboro,Playstation3などのCM音楽から、2009年北京オリンピックadidas art projectの音楽制作北アイルランドのベルファーストでのサウンドアートの滞在制作など、その活動は幅広く、自身による最新プロジェクトとして43dというアンビエント・レーベルも進行中だ。

  市内のギャラリーにて大黒淳一のエキシビションが開催された。「音の彫刻展」という、一見内容の想像がむずかしいユニークなタイトル。その意味・コンセプトについて大黒淳一に聞いてみた。

「音の彫刻展では『耳で見る』というコンセプトで目には見えない音という存在にスポットを当てています。普段の生活では殆ど意識する事のない聴覚とはどういう事なのか? という問いを出す為に、特殊なスピーカーを使用して音の線を空間内で作り出す事で『聞く』という感覚そのものを体験してもらう事が目的です。

 そして人間の耳には聞こえない低い周波数領域の音を形にする事に よって、その美しさや見えない価値観というものを作り出しています。 音楽の最小単位である音という事柄を作品として用いて、空間内でサウンドインスタレーションとしても機能させる時それは新しい音楽の表現にもなり得ると考えています。そういった意図で今回のサウンドアート作品を制作しております。」

 本展示についてイメージはわいただろうか?
音について日常では体験できない「なにかが」ここにはあると感じられたと思う。

 会場には、上記コンセプトに基づく3つの作品が展示されている。次に、その作品ひとつひとつについて大黒淳一に解説をしていただいた。以下、写真と一緒に紹介していこう。▼

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「『sonic line』という作品です。特殊な超指向性スピーカー を用いて見えない音の直線を空間に作り出しています。今回の音の彫刻展では、この作品を用いて見えない音の直線で空間を彫刻しております。」

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「『Phase +/- 』という作品です。特殊な振動モージュルを 用いて、人間の耳には聞こえない低い周波数を用いて純粋な音の形を浮かび上がらせています。左右、同じ音を用いてい るのですが片方には反転させた逆位相の音を入力しており、スピーカーに挟まれた中間の空間領域が無音になるというコンセプトで作品制作しています。」

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「『sound shadow』という作品です。音の影というタイトル通り、こちらも低い領域の音を使用して普段聞く事の出来ない音で鏡を振動させて、その反射光が音の形として見ることの出来る作品になっています。」


▼ 会場に入って、まず驚くのは全体がとてもにシンプルに構成されていること。余計なビジュアル的要素を排して、3つの作品に、すべての来場者の意識が集中するように配置されていると感じる。そこにストイックな魅力があり、作品世界に入り込みやすい。

 僕は3つの作品を何度もぐるぐるとまわりながら「音」というものを考えた。音楽以外で、これほど「音」について考えるのも珍しく、そうさせる空間がここにはあった。

 会場等にある本展フライヤーの裏面にあるテキストを目を通すと、本展示を体験するのに役立つ思う。機会のある方はぜひ足をはこんで欲しい。

Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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10.02.03-03.06「蔦井 乃理子/廣瀬 慎「土鍋と鉄鍋展」

● いつも使いたい、毎日の食事のための鍋。

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「蔦井 乃理子/廣瀬 慎『土鍋と鉄鍋展』」
日 時:2010年2月3日(水)~3月6日(土)11:00-18:00(日休)
会 場: kanata art shop(大通西5丁目11番地大五ビル6F)  


 kanata art shopは、市内の編集・デザインやイベント企画をおこなうkanata planning内にある3坪ほどの小さなカウンターショップ。道内外のクラフト作家が制作したオリジナリティあふれる食器、家具、アクセサリー、おもちゃ、ステーショナリーなどなど、生活を豊かにする良質な雑貨類を販売している。

 このお店と作家の距離は近い。150名ものクラフト作家とネットワークを持ち、作家とお客さんをつなぐ「情報ステーション」のようなお店を目指しているという。

 作家にリアルな「売場」という形の販路を提供し(web販売も)、訪れるお客さんの「こんなものが欲しい」というニーズを作家に直接伝えられるのが、このお店の他店にはない特長かもしれない。

 実際、ある作品の素材・雰囲気で、別の用途の作品が欲しい、という要望があったとき、そのことをお店から作家に伝えることによって、あらたな作品が生まれたこともあったという。

 2月初旬から開催されていた企画展示「蔦井 乃理子/廣瀬慎『土鍋と鉄鍋展』」に訪れてみた。本企画のコンセプトは「鍋」というと秋・冬といった「寒い季節に使うもの」という一般的イメージから離れてもらって「年中いつでもつかえるもの」という提案をしたかったそうだ。 

 同ショップの代表 平塚智恵美は、ふだんより土鍋で野菜を炒めたり、カレーや蒸し物等を作るという。近所のコンビニで手に入るような、ありあわせの材料で簡単においしい料理が作れる道具、としての土鍋・鉄鍋の活用をおすすめしたい、と話してくれた。

 以下の展示の様子をの紹介していこう▼

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▲ お店全体の様子。右側の棚および中央テーブルには土鍋、左には鉄鍋をメインに展示されている。ちいさなお店ではあるが、作家性の高いオリジナル作品が並んでいて興味深い。

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▲ 蔦井 乃理子作の土鍋。手作りのぬくもりが感じられ可愛らしい。置いておくだけでキッチンのインテリアになりそう。このお鍋で、鍋料理はもちろん、炒め物から蒸し物まで簡単においしいものが作れる。鍋は毎日使ってもいいもの。

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▲ これは3年ほど使用した土鍋。上の新品の写真と比べてみてほしい。鍋の中身の色が変っているのがわかる。それが「味」として感じられるのが土鍋の魅力。ふたも金たわしでゴシゴシ洗って、そのキズがいい風合いを出すという。持っていて時間が経つのも楽しい。

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▲ 廣瀬 慎の鉄鍋の展示。おもわず揃えたくなる魅力的な黒のラインナップ。シンプルながら、細部にこだわりが感じられる。鉄鍋は、そこから出る鉄分によって、鉄分補給ができるというメリットがある。特に女性にお勧めしたい。お湯を沸かしても鉄分によって味がまろやかになるという。

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▲ これは薫製鍋。下にチップをひいて薫製を作ることができる。自宅で薫製が楽しめるのは嬉しい。また、この鍋は薫製作りだけではなく、普通の鍋として炒め物等にも使えるので、便利。

 鍋の魅力、というのをあらためて感じさせる企画展示だった。
   土鍋で、カレーや炒め物を作りたくなった。

 お店では今後は「お茶」や「お花見」をテーマにした企画を予定とのこと。日常を豊かに、楽しくなるようなモノが欲しくなったら、このお店を訪ねてみてはどうだろうか 。一生付き合えるモノの出会いがあるかもしれない。

Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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10.03.02-03.06「S-AIR MORGAN展」

● 「おしぼり」から始まるコミニュケーション

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「S-AIR MORGAN展」
日 時:2010年3月2日(火)~3月6日(土)13:00-19:00 ※6日は17:00迄
場 所:OYOYOまち×アートセンターさっぽろ(南1西6第2三谷ビル6F)
入 場:無 料

 Morgan Wong Wing-fatは1984年生・中国北京在住の現代美術作家。北京798地区・香港などで展覧会を行っている。

 現在、市内のアーティスト支援事業を行っているICCS-AIRの招へいアーティストとして、今年1月より2ヶ月間札幌に滞在し作品制作を行っている。彼のとりくむテーマは、中国の伝統美術や文化、彼の家族やそこから発展する世代間格差などである。

 彼の札幌での体験を生かした展覧会が開催された。本企画は札幌で出会った、うなぎ屋のご主人とのコミュニケーションからうまれた。中国語と日本語を母国語とする2人の出会い。そのかかわり合いは「漢字」という共通の文字を頼りに信頼関係が作られていったという。その経験から、本企画展示のアイディアに発展したそうだ。会場の様子を以下に紹介していこう▼

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▲ 会場の入ると、来場者用におしぼりが置いてある。これを見逃してはいけない。これが実はモーガン・ウォンウィン‐ファンのアート作品なのだ。手にとってみよう。

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▲ おしぼりを開いてみると、モーガンによる中国語の言葉が刺繍がしてある。この言葉はおしぼりによって、それぞれ違っている。上記写真の「晩安」とは「おやすみなさい」の意味。モーガンにとって、おしぼりとは、「コミニュケーションのはじまり」としてのツールを意味している。
 おしぼりの文字を見て、会場にモーガンがいたら刺繍の中国語の意味を話しあって欲しいということ。そこからコミニュケーションが生まれる。

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▲ 会場奥には、「うなぎ料理人物語」と題された本企画のテーマのヴィデオ作品が展示されていた。この映像を投射しているスクリーンは実はおしぼりが使われている。テーマとの一貫性を感じさせるユニークなアイディアだ。

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▲ 会場では過去に作られた音や映像、テクノロジーを使ってコミュニケーションを行うインスタレーション作品の展示も同時に行われていた。

 「中国語」と「日本語」という二つの言語。ご存知のとおり日本語の漢字のルーツは中国の漢字である。ただ、現代の日本ではそのことを意識する機会はほとんどない。しかし、実は共通している部分も多い。
 上記のおしぼりの刺繍「晩安」の「おやすみなさい」という意味。このことは中国語がわからない日本人でも、思いつきやすいのではないだろうか。だから、モーガンとうなぎ屋さんのご主人とのコミニュケーションも進んでいったに違いない。


Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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10.02.13-02.20 「三上 理恵・佐藤 郁 『ふたり木版展』

● 版画が生み出すアートなフィールド

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「三上 理恵・佐藤 郁 『ふたり木版展』」
会  期:2010年2月13日(土)~2月20日(土)
会  場:CAI02(大 通西5丁目昭和ビル地下2階)

 「版画」というとクラシックなイメージがある。ひとつのワクの世界に入った小さな世界といった印象である。しかし、この展示では版画は平面の世界から、その場の空気に触れ合うように、ダイナミックな躍動感をみせていた。2人作家による「藍」と「増殖」というテーマで作られた45㎝四方の正方形。それは平面作品でありながら、立体的な空気感から、じわじわと「アートなフィールド」を作り出していたのではないだろうか。

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Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)

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チョコの不在

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 チョコ好きです。なんというか定番ですよね。チョコがない世界、そんな事態起きたらどうなるだろうか。ヒストリーチャンネルあたりでぜひ特集していただきたい。
 板チョコから、アーモンドチョコ、アイスやパフェのチョコ。ケーキ類。チョコを使ったカフェメニューも全滅。それだけで、今の世界からおさらば、はしないとは思わないけど、心に少し穴はできるような気がするな。チョコの不在は何を意味するのだろうか。

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