■公共の場に発表される、社会を良くする方法としてのアート。
「日常をARTする」
会 期:2010年7月9日(金)~7月14日(水) / 10:00-19:00
会
場:紀伊国屋書店 札幌本店(北5西5)
参加アーティスト:川上りえ/阿部寛文/erica*/大泉力也/大澤夏美/聡(sou)/中村絵美/能和暁/倉本祥平/鈴木真帆/ニシダヒデミ/福田翼/渡辺沙織/広沢聡史/Blue Raven/clover/G.B.E/43°/北大落語研究会/裏セブン/ALOHA! ORCHESTRA PROJECT
札幌駅前にある大規模書店、紀伊国屋書店 札幌本店は、豊富な書籍だけではなくDVDやCD、カフェもある。そのため、通勤、通学帰りに毎日のように、足を運ぶひとも多いかと思う。1Fにイベントスペースや2階にギャラリーもあるのも魅力的。 その2つのスペースを活用して「日常をアートする」という3回目を迎える美術企画が開催された。
内容は若手アーティストを中心に、1F入口ホールでは、音楽、お笑い、落語などのパフォーマンス。2Fギャラリーでは、平面、オブジェ、映像作品に加えて、紀伊国屋書店のブックカバーを8人のアーティストがデザイン。感想のメモを書くと、好きなカバーがもらえる嬉しいプレゼントもあった。
以下レポート写真をはさみながら紹介しよう▼
在廊していた本企画を主催のアート系NPO法人「h.i.p-a」の理事 濱口翼さんにお話を聞いた。濱口さんは、本NPOのキュレーターであると同時にオリジナル・ブランド、PATANICA(パタニカ)を主催。平面作品やアパレル・グッズの発表をしているグラフィックデザイナーでもある。
「h.i.p-a」は2008年より活動を開始。去年よりNPO法人となり活動幅を広めている。市内各所で多くのアート性の高い企画を主催・協力をしている。その理念は「芸術を通して社会貢献」をすること。日常生活にアートを浸透させていくためにアート作品の展示やパフォーマンスを、中島公園、札幌時計台、札幌市資料館、豊平館など公共性と歴史ある場所で行ってきている。
普通、アート展示というとギャラリーや美術館で行うのが一般的だが、そういった場所はあえて避けているようだ。
その理由を聞いてみると、大きく2つあるという。ひとつはギャラリーなどの美術施設は、展示をする環境としては良いが、どうしてもアート好きな一部の人しか来てくれない。本NPOの理念「芸術を通して社会貢献」することからいうと、この地に住む方から、訪れた方まで、さまざまな人に観て欲しい。そのため誰もが足を運びやすい馴染みのある場所で開催するそうだ。
もう一つは、観光都市として有名なところは歴史ある建築物が人気スポットになっている。札幌にも歴史ある建物がある。その魅力を知ってもらうために、北海道開拓時代の象徴である「時計台」や、元裁判所だった「札幌市資料館」等で、そこで働く市職員の方々と一緒にアートの企画を進めることは、魅力的な街作りに役立つことだと思うし、同時に楽しいことだという。
アーティストの選定は、これまでの本NPO活動の中で自然な形で知り合った人たちに出品をおねがいしている。アーティストの作品作りについて、個々に指示することはないが、ひとつだけおねがいしていることがあるという。それは、自分の作品に値段をつけてもらうこと。そのことで、アーティスト自身には作品に対して責任を持ってもらうのと、作品を観る方々にはアートもビジネスでもあることを知って欲しいということだ。
本企画の会場はギャラリーであるが、今回の展示でこのスペースを選んだ一番の理由は、ここが「とても人通りの多い場所」だからだという。
今後の企画として、北海道庁赤レンガでの企画を考えているという。これからも「h.i.p-a」の活動に注目していきたい。
「h.i.p-a」ウェブサイト
http://www.hip-a.com/
Photograph & Text by Shinichi Ishikawa (NUMERO DEUX)